プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

開くべき価値観

2024-04-25 21:48:00 | 新聞記事



毎日新聞連載コラム「シーカヤックで地球再発見」80回目の今回は南紀串本大島・樫野崎です。ぼくの考える、海をゆくカヤッカーが開いてゆくべき価値観について触れています。興味がある方はどうぞご一読下さい。

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黎明期として

2024-04-25 21:46:00 | 新聞記事




 毎日新聞連載コラム「シーカヤックで地球再発見」、79回目は台湾南部の話。ここに出てくるlafin sawmah氏はアミ族の木工芸術家で、YouTubeにも上がってるが、自然の本質を内奥で捉えた実にいい作品を作る。しかし残念なことに昨年6月に亡くなった。

 ぼくは彼が生きてたら間違いなく兄弟分みたいな友達になってただろうと直感する。運良くまだ生きている者として、彼の遺志を継いでいきたい。この冬に行ったポリネシアの旅も、彼のスピリットに捧げている。

 古代に隆盛を誇り、近現代にいったん駆逐され、前世紀末から今世紀になって再び復興してきた自然文化としての環太平洋カヌー文化は、今まさに黎明期そのものだ。ぼくなりの感性で、一つのスタイルを探求していきたい。


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枠組みを越えて

2024-04-25 21:42:00 | 新聞記事


 
 毎日新聞連載コラム「シーカヤックで地球再発見」、今回は台湾の蘭嶼島についてです。これはポリネシアのカヤック旅と繋がっています。よろしければご一読ください。

 ちょっと硬い言い方をすると、環太平洋にまたがるカヌー文化の本質的特徴を現地での海旅経験を通して掴み取り、そこからヤポネシアのカヌー文化の今後のあり方や可能性を考える旅。カヌーをカヌーというジャンル的枠組みを超えて、「自然文化」としてのレベルに押し上げたいという思いがぼくにはある。

 舵を失った船のように文化的ディレクションを失った今の日本。それでも物だけは豊富で、安いエンタメやSNSとともに消費生活にどっぷり浸ってたらそれなりに楽しく過ごせるようにできている。しかし、そんなのはゴメンだ、という人もまた増えている。
 ぼくはカヌー文化/自然文化というところで、そういうのとはまた違う、別の道筋が見出せると思って、色々やっている。

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ポリネシアカヤックトリップ19

2024-04-25 21:39:00 | ポリネシア•カヤック旅











 タヒチ島にあるFAI VAAというアウトリガーカヌービルダーの工房を訪問。

 別にうちでアウトリガーカヌーを導入しようと決めたわけではないが、海や先人へのリスペクトに根ざしたポリネシアのカヌー文化には何かしら未来を感じさせられるものがある。

 一方、同じ太平洋で四方海に囲まれた日本のカヌー文化の現状を考える。日本のフィールドに最も適したカヌーはカヤックだが、社会的にも文化的にも地位は低く、過小評価されている。その辺をどう打破していくかの取っ掛かりを探っているだけ。

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ポリネシア•カヤックトリップ18

2024-04-25 21:36:00 | ポリネシア•カヤック旅









 ポリネシア•ランギロア環礁往復縦断。
 世界で2番目にデカい環礁と言われるが、最果て感が強くて予想以上に味わい深かった。  

 なんせ200以上のモツ(小島)がある中で、主に人が住むのは2つの島だけ。理由はあまりにもノノ(サンドフライ)が多いからだという。ぼくもこっぴどくやられた。ノノは最恐の生物だと身をもって知る。

 半径25キロ圏内に夫婦2人以外誰も住まないゾーンがあって、たまたまそこを通ったときに彼らがいて、泊めさせてもらった。で、サヨナラする際に、ぼくに妙になついてきた犬が沿岸沿いについてきた。最初、ぼくも面白がって犬の散歩気分で進んでたけど、3キロも5キロもついてくる。小島と小島の間もガンガン泳いで渡る。そのうちもう一匹の犬も合流。さすがに腹が減るだろうと思い、サッと釣りして釣った魚をおろしてあげたりする(魚はいくらでも釣れる)。するとますますなついたのか、気がつくと10キロを超えてきた。 

 さすがにヤバいと思い、振り切るべく見えなくなるくらい沖まで離れたんだけど、15キロ地点くらいでやっと悟ったのか、哀しみと、バーカという侮蔑と、達者でなという惜別が入り混じった不思議な遠吠えを数分繰り返してトボトボ戻っていった。
 こいつら、人恋しいのだろう。
 こっちもだいぶセンチメンタルになる。


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ポリネシア•カヤックトリップ17

2024-04-25 21:10:00 | ポリネシア•カヤック旅











 ポリネシアではどこの海辺でもカヌーが転がっている。1000年以上続く海洋文化の象徴。これらを何気なく見ているとき、ひるがえって日本はどうなのかと思う。

 実はカヌー文化は日本の方が遥かに古く、例えば38,000年前に伊豆半島から神津島に渡った痕跡が残されている。また地味だけど旧石器、縄文、弥生期にかけてのカヌーの残骸が、結構出土している。 
 最近ブームなのか、色んなところで縄文縄文と聞くけど、なぜか土器や土偶のことばかり取り上げられる。だけどほんとの縄文スピリットを体現するのはカヌーなんじゃないかと思う。

 土器は学者が編年を調べやすいからクローズアップされるようになり一般化したが、正直なところ、別に現在使いもしないお椀や鍋の破片に、あまり心は動かされない。一方、カヌーは漕いでみさえすれば、その岬や島や海浜に吹く風や波を、身体感覚をもってして時空を超えて同じ次元で共有できるわけで、断然スピリットを感じる。
 日本の自然観のルーツである縄文的自然観、やりようによっては、神話の発生起源的なところまで探れるツール。

 四方を海に囲まれ、14125個も島のある日本列島。縄文がブームになるなら、カヌーもブームにならないと、ニセモノのような気がする。現在、日本で最も親しみやすいカヌーがカヤックだが、ポリネシアのようなシングルアウトリガーカヌーを導入してもいいかもしれない。

 


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ポリネシア•カヤックトリップ16

2024-04-25 21:07:00 | ポリネシア•カヤック旅











 旅用フォールディングカヤックってこんな感じ。バックパックから取り出して2、30分で組める。この中にテント、寝袋、食料、水、衣類、調理用品、モバイル機器、カメラ、本、釣り竿、その他もろもろを積みこむ。
 あとはマップとデッキコンパスと洞察力と忍耐力さえあれば、世界中どこへでも。

 瞬間瞬間の風や波の調和点を見いだして進んでゆくことが大切。言い方を変えるとカヤックとは、その地の自然の息吹に絶妙にチューニングされゆく楽器のようなもの。いい感じで進めているとき、本当にその場所の山や風や潮や魚がバシっとシンクロし、全体でハーモニーを奏でているように聞こえてくることがある。身一つで頼りなげだからこそ、語りかけてくれる声みたいなもの。

 なかなか世間は気づかんけど、地球環境を尊ぶべき今の時代にこれ以上マッチした乗り物はない。
 何千年前からあり、何千年後、何万年後、プルトニウムの全減期後も存在する普遍的道具。 
 比して、人生は短い。
 興味ある人はぜひやった方がいい。

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ポリネシア•カヤックトリップ15

2024-04-25 20:59:00 | ポリネシア•カヤック旅











 ポリネシア フアヒネ島。
 ファレポテと呼ばれる、昔の首長たちの集会所を復元した場所まで来た。現在はミニ博物館になっている。入り口には復元に寄与した太平洋考古学の権威、篠遠喜彦氏をたたえる石碑が建てられている。

 フアヒネ島は特に篠遠氏と縁の深い場所で、20m級の外洋航海カヌーの残骸を発見しポリネシア人の意図的航海の有力な裏づけに寄与したり、山の中で埋もれていた数々の重要なマラエ群を発掘、復元したりと、ひときわ情熱を注いだ島。
  
 今でも島民に、「タオテ•シノト(篠遠博士のこと)を知ってるか?」と聞くと、みな知ってるという。自分たちの文化的アイデンティティを高めてくれた人物として尊敬してる人も多いようだ。だいぶ昔だが、人気歌手のボビーホルカムが篠遠氏をたたえる「タオテ•シノト」という曲をリリースしている。
 ぼくはこの場所に、海からカヤックを漕いで訪ねたかった。

 タオテ•シノトの縁もあることだし、縁を薄れささん意味でも、フアヒネ島と日本のどこかの町と姉妹都市提携結んだりしたらいいんじゃないかな(実際は篠遠氏はハワイの博物館から派遣された東洋系ハワイ人って思ってる人も多いが)。環太平洋の文化的交流として日本の若者はアウトリガーカヌーのパドリングを学び、フアヒネ島の若者は日本の武道とか芸事を学ぶとかしたらどうだろう、などという考えが、ふとよぎった。
 


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ポリネシア•カヤックトリップ14

2024-04-25 20:56:00 | ポリネシア•カヤック旅











 フアヒネ島の離れ小島。
 漕いでる最中にマグロ漁師夫婦に招かれる。

 マグロ漁というと日本では遠洋漁業をイメージするが、彼らは朝四時に家の前から出漁し、2、30分走ったところのポイントで数時間釣り、昼前には帰ってきて昼メシ食ってゆったりするスタイル。
 これまで釣った80キロのマグロや200キロのカジキの写真を見せてもらう。
 彼も祖父が中国人で、太い腕に「李」というタトゥーが入っている。

 今朝獲れたキハダマグロを巨大クーラーボックスからおもむろに取り出して捌き、奥さんの巻いてくれた手巻き寿司、刺身、揚げ物にして頂いた。
 自然とともに暮らす豊かな生活。
 最も満員電車が似合わないタイプのキャラ。
 なんてかっこいい男よ。
 こんな生き方は憧れるね。

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ポリネシア•カヤックトリップ 13

2024-04-25 20:54:00 | ポリネシア•カヤック旅











 フアヒネ島のジャングル開墾アニキが今朝、出艇時に手向けの歌を送るよ、とフアヒネ島の歌を歌ってくれた。さらに中空の空いた木をジャンベがわりに演奏し、おまけに昨日解禁になったばかりのマングローブガニまでくれた。
 そして彼のいとこはアウトリガーカヌーにチャリを乗せてどこかに。ここは道路が通じてないので、道路のあるところまでチャリを持って行くらしい。
 すごいスタイルだ。

 昨日たまたま気まぐれにお宅訪問したにも関わらずフレンドリーに接してくれ、飾らない日常を見せてくれるって不思議っちゃ不思議だけど、これがカヤック旅の世界。昨日まで何の縁もゆかりもなかった相手の懐にいきなり入れるわけ。そしてぼくらが思っている以上に世界にはいい奴らがいる(危ないのもいるけどそれもカヤック旅モードに入ると感覚鋭くなるから分かる)。世界中の見知らぬ他者は明日友だちになる可能性を有した存在である、それがカヤック旅の真髄的価値観。
 特に若い人はカヤック旅したらいいと思う。
 いい風に世界観、人生観が変わるから。 

 そしてぼくは残りの日数、完全に気まぐれの即興演奏旅でいくことにした。



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ポリネシア•カヤックトリップ12

2024-04-25 20:52:00 | ポリネシア•カヤック旅















 ポリネシア フアヒネ島。
 
 ウクレレの音に釣られて上陸した場所。
 二週間前からジャングル開墾中でこれから小屋を建て、畑を開墾し、ニワトリやブタを飼い、海で漁する理想郷を作るのだという。
 千年くらい変わってないノリか。
  
 ジイちゅんが中国人だという気のいいポリネシアンのアニキとそのイトコで、30年くらい前に祖父母が住んでた場所らしい。何でまた新たに、と聞くと結構人間臭い理由を語ってくれたが、いずれにせよこんなことできるのは豊かだなと思う。

 今日はここで泊まらせてもらう。
 ちなみにここらのウクレレは八弦で、弦は釣り糸。


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ポリネシア•カヤックトリップ11

2024-04-25 20:50:00 | ポリネシア•カヤック旅







 ポリネシア•フアヒネ島。
 Va’aと呼ばれる6人乗りアウトリガーカヌー。先祖の海洋民スピリットを呼び起こし未来へ繋いで行くための乗り物。国技みたいなもので、結構みんながたしなんでいる。いいね。これ、うちでも導入しよかな。


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ポリネシア•カヤックトリップ10

2024-04-25 20:46:00 | ポリネシア•カヤック旅










  
 再びライアテア島に戻り、無人のモツ(小島)に住む漁師一家と二日間過ごしたあと、今度は外洋側から再びタプタブアテアのマラエ(聖地)へ。
 ここでちょいと沈思黙考。

 はるかアジアから渡ってきたポリネシアンはここを起点にさらなる未知を求めてハワイやイースター島やニュージーランドへ散っていった。
 言わばカヌー文化の聖地。しかしその後、未知の地はなくなり、やがて外洋航海カヌーの伝統も途絶えた。結局、地球も物理的に有限だったってこと。
 そしてその後、世界は物理的有限性の下、陣取り合戦の争いに明け暮れることとなり、それが今日まで続いているのは誰もが承知のこと。
 環境問題も同じ。

 だけど、地球の物理的有限性と表裏一体性をなす感覚的無限性というものを考えたとき、まだまだ未知は続くのではないか? 例えば自然と人との調和による心の豊かさなんて、まだまだ原始の段階だろう。AIがさらに進化していくこれからは人間性の体現たる文化芸術の領域が大事になってくるが、キーになるのは人と自然との関係性になるとぼくは思う。

 そう考えるとき、自然との究極の対話といえる外洋カヌー航海術の価値が再び浮上し、するとこのタプタブアテアのマラエの意味合いも一段と深まるだろう。
 ぼくはこの地で最大の敬意をもって、地球の物理的有限性に対する感覚的無限性という言葉をささげた。

 しばらくして人がやってきたのでそろそろ行こうかと動きだすと、何と近づいてきたその人は数日前にタハア島のキャンプ場で一緒に過ごした双子のフランス人兄弟だった。再会のハグと握手。さらにその後、この旅の初日に世話になった人に偶然出会い、6人乗りのアウトリガーカヌーの練習の人が足らんから、漕ぎ手で参加してくれということになり、乗らせてもらった。ワーと呼ばれるアウトリガーカヌーで、現代タヒチ人のスピリットを体現する乗り物。
 マジ漕ぎ練習だったので、写真はGoProのみ。

 旅が深まると起こるシンクロニシティ。
 吉兆。


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ポリネシア•カヤックトリップ9

2024-04-25 20:42:00 | ポリネシア•カヤック旅











 さよならタハア島。
 美しい島、美しい人々。

 これまで訪れた土地の中でも、最も木々のエネルギー感が強い場所だった。それがバニラを始めとしたハーブ類の豊富さに現わされる。ぼくも2週間ほどシャワー浴びず毎日海水で体洗ってたらあちこち塩負けしてただれたりしてたんだけど、買ったタマヌオイルを塗ったら、一晩で治った。

 ぼくは環太平洋の「自然文化の未来」というのを一つの旅のテーマにしてるんだけど、この島のサイズ感からして、最高級のバニラやアロマオイルやMCTオイルだけ作っていげば、あとは過剰な銭金ツーリズムに毒されなくても昔ながらの笑顔で生きていけるのではないか?
 空港がないのもいい。

 海と山のコラボレーションが人々に恵みをもたらす、というのは環太平洋の自然文化のテーゼだけど、それは実は日本も同じこと。
 色々学ぶところがあった。

 感慨深くタハア島を背にして漕ぎつづけ、ふと振り返ると濃い雨雲に隠れて見えなくなっていた。


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ポリネシア•カヤックトリップ8

2024-04-25 20:40:00 | ポリネシア•カヤック旅











 時速2キロの超スロートリップ。
 目標に向かってマジ漕ぎするのいいが、同じ周辺を行ったりきたりしながら結果として少しずつ進むというこんな感じも、やりたかったスタイルのひとつ。
 ゆっくりといっても、その場の自然のエッセンスを掴みとるためにあえてそうしてるわけで、感覚研ぎ澄ませることには結構気合い入れている。

 タハア島は木々の緑の生命感がすごい。
 それがこの島の放つヴァイブレーションになっている。何もない島だけど立ち去りがたい魅力がある。
 それと会う人々がこの上なく優しい。


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