近日リリースされる自著「森と黒潮と神話の旅」(彩流社)は最初6月26日発売予定だったけど、ちょっと日が延びたようだ。https://www.sairyusha.co.jp/book/b10135405.html
まあ出版業界って、未だによくわからない世界だ。仕事は遅いし、理解できない慣習みたいなものもある。少なくとも、有名じゃない書き手にとって、取り巻く環境は非常によろしくない。
じゃあお前はなんで本なんかを選ぶんだと言われるだろうけど、結局メディアとして「本」が最も優れているというか、信頼が置けると思うから。理由は2つある。
一つは、あらゆるメディアの中で唯一、受け手側に主導権があること。たとえばテレビ、ラジオ、YouTubeなどは、受け手は完全に受け身というか消費者だ。時間の流れに身を任せ、最後まで話を聞かなきゃ意味が分からないがゆえ、一本10分の動画でも「長いな」と思ってしまう。おまけにCMまで見させられる。一方本は、飛ばし読みもできるし、パッとページを開いた途端、カメラアイのように文字が入ってきて心が揺れ、脳がスパークすることがある。意外に瞬間的な媒体なのだ。そもそも暗号のような文字列を読解するのは己自身だし、その本の良さが分かるのは、読む人間の感覚や知性が素晴らしいからであるとも言える。
あともう一つは、本はコミュニケーションツールとして優れているという点。執筆中は「こんな内容、分かる奴いるんかな」「発表するあてもないこんな文章を書いてる俺って究極の馬鹿かもしれんな」などと思ったりもするが、いざリリースしてみると、全く見ず知らず、なんの接点もない赤の他人が読んでくれていたりする。さらには「感動しました」といってレビューを書いてくれたり、実際に店に訪れてくる人もいる。それは自分の作品というより、「本」というものの特性として、読み手の感覚や知性が素晴らしいわけだけど、そういう良い人と好い関係性で繋がることができるという意味で、コミュニケーションツールとして優れているってわけ。
だから別にバズらなくても、そういう人が1000人ほどいたら、面白いなと。
しかし先にも言ったとおり、出版業界は書き手の環境としては、あまりよろしくない印象。ならば自分でレーベルを立ち上げようかなと、最近よく考える。