プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ワープ

2007-12-13 20:39:55 | インポート

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 先日、大阪万博公園内の国立民族博物館でやってた「オセアニア大航海展」を見に行った。

 今年はホクレア号もやってきたし、太平洋の航海カヌー文化への一般的関心も徐々に高まりつつあるようだ。

 広い広い太平洋を航海して各地に移住していった太古の人々。航海機器を一切使用せず、五感を総動員した天体観測や自然観察によって進路を定めていくというその原始航海術の面白いところは、何千年にも渡って世代ごとに継承され少しずつ技術が高められていったところだ。もちろん最初は船の形すらあるはずもなく、きっとただただ水平線の向こうにいってみたいという狂おしいまでの願望だけがあったのだろう。そいつが太平洋の航海カヌー文化を貫くDNAだ。

 ホクレア号もそうだし、今回の展示会のような形でその文化に向き合うと、彼らの先祖が最初に胸に抱いた「未知なる世界に対する夢のような熱情」が、時空を取っ払ってリアルに目の前に現出するかのようだ。そして同じような熱情めいた何かが自分の胸の奥にも潜んでいるということに気づく。


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裸感

2007-12-13 12:38:54 | インポート

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 冬季のシーカヤッキングでは夏季に比べて、より野性世界に身を置いている感覚がリアルだ。冬場、ぼくらはたくさん服を着込むし、コタツ、ストーブ、ファンヒーターなど暖房器具に囲まれてぬくぬくとした生活を送る。寒い季節はできるだけ外界の雨風から「人工的に」肌身をカバーしようとするのが人間という動物の習性だ。

 そんな生活パターンに慣れたところで何の覆いもない海上の風に身をさらしてみると、他の季節より「裸感」が強くなる。もちろん実際に裸で漕ぐわけではなく、しかるべきウェアに身を包んで完全武装するのだけれど、なんというか風ひとつがより肌身に染み入るような感じがするし、風にあおられた波頭ひとつひとつがより直接的に心に染み入ってくるような感じがする。

 また、プランクトン含有度が著しく減った海水の透明感も、「裸感」をいっそう演出する。

  心身ともに着膨れしがちな冬の人工的インドア都会生活が鬱陶しくなったならば、この裸感を味わいに行くのも悪くない。

 冬場のシーカヤックでは風裏を選ぶことが特に大事だ。そして太陽の軌道。ポカポカとした太陽光線に包まれながら上の写真のような(湯浅湾・やびつ海岸)透明感あふれる浅瀬などを漂う快感は、ほんとはあんまり他人には教えたくないものである。

 ※和歌山・湯浅湾のやびつ海岸から宮崎の鼻付近にかけての海岸線は、冬季に漕ぐのがすばらしい屈指のフィールドだ。海水の透明感、断崖絶壁のワイルドな感じ(下の写真のような)、無人感が特筆ものだし、京阪神からアプローチしやすいエリアなので日常の延長で楽しめるのが何よりいい。

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伊勢のエビ

2007-12-09 10:03:46 | 紀伊半島カヤックツアー

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 先日伊勢方面に行き、英虞湾をたっぷり漕いで周遊したあと、海辺で焚き火を囲んで伊勢海老、カキなどをたらふくいただいた。おいしかったです。

 夜、ちょっと冷え込んだけれど星が驚くほどたくさんでていた。

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南白浜

2007-12-09 01:44:48 | 紀伊半島カヤックツアー

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南紀白浜よりも少し南下した南白浜あたりの海岸の雰囲気が非常にいい。富田川という川の河口には塩湿地性のヨシ原が昔ながらに広がっていてカモやその他水鳥が大量に群れを成し隔絶した隠れ家のように楽園を形成している。川から海へと注ぐリバーマウス付近の砂嘴には焚き火に非常に適したおびただしい流木が打ち上げられていてキャンプするのに最適だ。砂嘴の向こう側には秘境的な感じの断崖絶壁がそびえていて美事だがそいつは特に早朝すばらしく、水面からいっせいに立ち上がる霧のベールに包まれ荘厳な無言の音楽を奏でる。同じくヨシ原にも幻想的な霧が招かれピーンと張り詰めた冷気を裂くようにカモがガアガアおしゃべりする。川から海に出る開放感、荒海から静水の河口に入っていく安堵感、どちらも味わい深くカヤックで何度も何度も往復したくなってくる。川から海に出たすぐの岩礁地帯ではでかいヒラスズキが釣れることで有名で朝もはよから釣り人が竿を振っている。うねりが入ると砂嘴のあたりでサーフがたつのでカヤックサーフィンもできる。
 今度こっそりカモをとっ捕まえて浜でカモ鍋キャンプでもしてみるのも一興。
 ついでにヒラスズキのカルパッチョとムニエルなんかもいただき、ワインをボトルごとラッパ飲みして満点の星を眺めまくりながら潮騒の音を聞いて眠りたい。

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発見されるのを待っている

2007-12-05 22:08:59 | 紀伊半島カヤックツアー

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 冬の海って普通の人にはなかなかなじみがないだろうけれど、海水中のプランクトンが減り、ものすごくきれいになることが多い、シーカヤッキング的にも外せない季節だ。

 たとえばこの写真は和歌山・田辺湾の海景。ほん数日前にシーカヤッキングした時のやつだ。上二枚は南方熊楠の尽力で天然記念物に指定されたことで有名な、神島周辺海域(亜熱帯性植物の多様性豊かな原始の香りのする無人島)の写真。そして下の写真はすべて畠島という無人島周辺の浅瀬のものだ。

 どこか熱帯系の南の島って感じがするでしょう? 答えはただ単なる和歌山の冬の海だ。大阪からは車で二時間、出艇場所近くのコンビニで買った豚マンをくわえながら漕ぐなどというノリの、ごくごく日常の中で触れることのできるフィールドだ。いいでしょ。

気づかないまま通り過ぎる身近なすばらしい自然もまだまだあるんだな、ってことに気づいていきたい。

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夕日評論家

2007-12-04 02:07:50 | インポート

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 日もすっかり短くなり、西向きに開けた湯浅湾では、ツアーの終わりがけに夕日を眺めながら海上をプカプカするのが最高です。小春日和の日の夕暮れはもうやばいくらいに美しいです。息を呑みすぎて吐くことを忘れてしまいそうです。陸から見るのもいいけれどやはりカヤックから見るほうがリアリティ、臨場感の桁が違います。モノラルのちゃちなラジカセで聞く音楽と、5.1サラウンドチャンネルで聞く音楽くらい違います。こういう時、やはりカヤックは感性の乗り物だって感じになります。海に揺られてる体感、風や波に裸で身をさらしているヒリヒリした感覚が、リアリティの輪郭を濃くするとでも言いましょうか。

 なお、湯浅あたりでは対岸の四国の山々の影響により、水平線ぎりぎりのところで山の稜線に太陽が隠れますが(それがまた味わい深い)、白浜以南に行くとさえぎるものがなくなるので太平洋の海中に没していく姿を見ることができます。下の写真は、南紀すさみあたりから眺める夕日。なんといいますか、音と永遠を感じさせますね。。

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