プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

センティネル族の笑顔

2011-01-29 13:19:42 | インポート
Sentinel

Senti

 インド亜大陸とマレー半島との間には大きく海が広がっているが、その大洋の真ん中からやや右側あたりにタテ列でズラーっと島々が並んでいる。
 アンダマン・ニコバル諸島と呼ばれる列島で、国はインドに属している。
 オンゲ族、ジャラワ族、ションペン族 アンダマン諸島民、センティネル族、ニコバル諸島民・・・、そこには数万年前から変わらず狩猟採集生活をし続ける先住民族が点在し、暮らしている。

 写真は、その中でも最もプリミティヴ・原始的であるとされるセンティネル族のもの。
 外部との接触がほとんどなく、誰も彼らの言葉を話せる人間はいないという。
 地球上でも、もっとも孤立した人たちだ。

 クリックして拡大してみると分かるけれど、上の写真では笑顔で右手が差し出されていて、すごく友好的な、ほのぼのとしたムードが漂っている。一方その下の写真は低空飛行の飛行機から撮られたもので、こちらに向かって矢を放とうと、怒っている感じがうかがえる。
 上のは2年ほど前にカヤックトリップで実際にアンダマン諸島に行き、現地の博物館に展示されていた写真をぼくが映したものでおそらく1950年代とかそれくらいのかなり古いやつ。一方下のは、2000年代の新しいやつ。
 対極的な2枚、何を意味するのだろうか?

 最近ちょっと思うところがあって色々調べてると、どうやら1980年代に外部からの侵入者によるセンティネル族虐殺事件があったようで、真相はよくわからないけれどたぶんそれを境にして態度が大きく変化したんじゃないかと思われる。密漁者によるいやがらせや暴力沙汰、野次馬根性的な好奇心丸出しでのちょっかいなどもあるみたいだし・・・。ロンリー・プラネットという旅のガイドブックを見ていると「数年ごとに接触を試みる一団がココナッツやバナナ、豚、赤いプラスティックのバケツを手土産に、センティネル族最後の砦である北センティネル島のビーチにやってくるのだが、弓矢の嵐を浴びせられるばかりである」・・・、と書かれている。また数年前に北センティネル島に漂着した漁師2人が殺される事件もあったようだ。
 
 一番上の写真の、たとえようのないほのぼの感を見れば見るほど、逆に彼らの怒りとか警戒心が何倍にも増して浮き出てくるような感じで、切なさを覚える。特に左から2番目の人なんか、すごく人懐っこくていい人そうだしね。本来は非常に友好的な人々なのだろう。

 ぼくが彼らに興味を抱いたのは、「2004年のインドネシア・スマトラ島沖地震による大津波がアンダマン・ニコバル諸島を襲った時、波や潮流の変化にいち早く気づいた先住民系の人々はさっさと高台に逃げたためほとんど被害がなかった」、という雑誌記事を見て以来のことだった。自然のリズムとともに生きる人の観察眼とか知恵とかすごいなあ、というのと、活断層の上に並ぶこの島々の、数万年前からダイレクトに口承伝承されているであろう地震や津波に関する神話ってものすごくディープなものなんだろうな、っていうところからの興味だ。
 ぼく自身がシーカヤックであちこち旅して得た、口ではなかなか説明しずらい感覚的なトリップ世界とかと、もしかしたら繋がる部分があるのかな、とか、そういうこともたまーに考えたりする。
 おかしいだろうか?

 しかし彼らの、水で薄められていない純粋培養された神話的世界観とか、コスモロジーとかって、めちゃ偉大なものに違いない、とぼくなんかは思っている。

 上の写真を見ていて思うね。
 人間のディープな自然感覚とかプリミティヴな感性とかそういうものはきっと、この写真のニイチャンらの右手を差し出す笑顔のように、森羅万象と心の奥底で繋がっているのだろう、と。あるいは、シーカヤックの世界観を突き詰めていくと、彼らが伝承し続けてきたであろう数万年来の自然の叡智の素晴らしさみたいなものが分かってくるんじゃないだろうか、などと。
 あるいは平和とか。
 ま、色々哲学させられるたぐいの笑顔だね、これは。


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読書トリップ

2011-01-25 11:01:53 | インポート
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 (ニュージー・ミルフォードサウンド、2010年カヤックトリップ)

 本を読むこともトリップ先での大いなる楽しみのひとつ。普段なかなか読む気になれないようなディープ系のノンフィクションや小説、アカデミックな本からかる~いエッセイまで、不思議にいつもとは違ったいい感じで染み入るように頭に入ってくるし、いろんなインスピレーションが湧く。特に知り合いが1人もいない見知らぬ土地とか人間が1人もいない自然フィールドでの夜、荒天の日なんかは本が友達になる。たまに、読書だけのために旅をしたくなることもある。

 しかし本って重いんだよね。カヤックトリップではせいぜい5,6冊しか持って行けないし、読んだら捨てざるをえない。

 というわけでソニーの電子書籍端末を購入~。
 ipadとかシャープのガラパゴスとか色々候補はあったが、ほとんど紙と同じ質感の画面で目がチカチカしないのと、1回の充電で2週間ほど持つこと、値段、サイズ、そして何よりシンプルなのがいい。
 あくまで旅先での読書のためだけだから、多機能はいらないしね。
 1400冊ほど持ち運べるって、カヤックトリップのスタイルが革命的に変わりそうだ。
 透明防水ケースに入れ、海上で読書ってのもやってみたい。

 購入後、さっそくネット上の書店を見に行くが、その在庫数のお粗末なことよ。本屋で立ち読みすると事足りるようなビジネス書や2年ほどすると古臭くなって読んでられなくなるような自己啓発本とかばかりで、しかも定価売りだし、ダウンロードしたくなるようなものがあんまりない。
 なんじゃこれ、しょうもな~、と落胆。
 唯一、無料ダウンロード可能な古典文学に興味を覚えた。芥川龍之介、太宰治、横光利一、宮沢賢治、夏目漱石、泉鏡花、森鴎外、梶井基次郎・・・・、それからエドガー・アラン・ポー、GK・チェスタトン、ドストエフスキーなど。こういうのは普段かったるくてなかなか読めないものだが、人生をやってるうちに一度は読んどいた方がいいものといえるだろう。ホコリをかぶって見向きもしなくなったようなものの中になにかが隠されているかもしれない。というわけでこれら無料のやつを100冊ほどダウンロード。

 結局、次のカヤックトリップも普通の本を何冊も持っていくことになる。
 ハードだけ充実してソフトはショボショボなんて、ハコモノ行政と同じじゃないか。
 アマゾンレベルの在庫を目指してほしい。

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春日程の、決定分

2011-01-23 01:17:03 | インポート
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 (写真、アラビア・クムザール半島:2009年カヤックトリップ)

 12月後半以降グーンと真冬の寒さになり、「こんな時期にもう海どころじゃないぜ」とみなさんカヤックに関しては冬眠モードになっていることと存じますが、一方こう寒くてくすぶった感が続くと、「そろそろ春に向けてなんかないかな・・・?」とうずき始める頃合いじゃないかな、ともお察しします。

 さて、今年のアイランドストリームのツアーは、基本的に次の3つのテーマに分けて、よりヴァラエティ化・充実化を図りたいと思っています。
 ①五感をフルに使って湯浅湾の四季を楽しむ、通常のシーカヤックツアー。
 ②数回程度の経験者でも存分に楽しめる、穴場カヤックトリップツアー。
 ③よりレベルアップし、シーカヤック本来の冒険心を鼓舞する、チャレンジツアー。

そんな中で、第一弾として、春の大まかなツアー日程の決定分を下に記しておきます。
なお、さらに日高川とか熊野川、みなべや産湯海岸その他たくさんのツアーがありますが、それらはまたのちのちこの間に挟んでいきたいと思います。とにかくラブリーなコースがたっくさんあるんですよ。
 
 なお、通常のツアーは3月からのスタートとなりますが、3月はスクールをメインに展開したいと思います。6月12日のロングツーリングは今季前半のひとつのクライマックスで、「今年はイッチョがんばろか」と思ってる人はこれに向けて練習してみてください。きっと新たな世界が開けますよ。

☆3月5日(土)~6日(日)
「1泊2日・合宿スクール&ボタン鍋パーティ」
今シーズンをフルに楽しむために。
http://homepage3.nifty.com/creole/gasshukkuschool.html

☆3月13日(日)
「中紀・美浜~日の岬ツアー」
大海原の旅情を掻き立てられる好コース
http://homepage3.nifty.com/creole/hinomisakitour.html

☆3月19日(土)~21日(月・祝日)
「シーカヤックアカデミー2011・東紀州」
豪華な講師陣を迎え2泊3日の本格キャンプツアー
http://kumanokaidou.blogspot.com/p/home.html

☆3月23日(水)~4月10日(日)の期間・毎日催行
「春うららかな湯浅湾と、桜花見ツアー」
春の海特有のほっこり感と、隠れ名所での桜花見を。
http://homepage3.nifty.com/creole/hanamiyuasa.html

☆4月14日(木)~17日(日)まで、各日。
「近江八幡水郷・花見ツアー」
うららかな春の水辺に癒されるツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/suigoutour.htm

☆4月24日(日)アースデイイベント
 「田辺湾神島・天然記念物の無人島でエコ活動」
恒例の海ゴミ調査&クリーンアップイベント(特別無料)
http://homepage3.nifty.com/creole/kasimasoujitour.htm

☆5月11日(水)~12日(木)
「福井高浜・1泊2日グルメツアー」
渋い海岸線ツーリング&海辺のハウスで手料理を。
http://homepage3.nifty.com/creole/takahamatour.htm

☆6月1日(水)~2日(木)
「南伊勢・秘境キャンプツアー」
幻の海跡湖をめぐる探検ツアー。
http://homepage3.nifty.com/creole/minamiisetour.htm

☆6月12日(日)
 「湯浅~南紀田辺、1日50キロ体験ツーリング」
魂を鼓舞し、明日への扉を開くロングーツーリング
http://homepage3.nifty.com/creole/longtour.html


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バサースト

2011-01-22 09:17:11 | インポート
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 (お知らせ:アースデイ・イベント、南紀田辺湾・神島でのシーカヤック・エコ活動が4月24日に催行決定。詳細はこちら。http://homepage3.nifty.com/creole/kasimasoujitour.htm

 さて、こう寒いと南の方への憧憬が湧きあがってきますが、去年冬のカヤックトリップで行った南半球・タスマニアのことをふと思い出しました。
 近場を漕いでると遠くのことを想い、遠い異国を漕ぐと近所を思い出すというのも人間の感情ってやつ。心の中にそういうタンクみたいなものがある。
 いわゆるひとつのプラネット感覚。

 レンタカー借りて北海道の8割ほどの面積の島の外周をグルーっと回ってあちこちでカヤック&トレッキング&釣り・・・、とバタバタ動き回ったのですが、島の南西部の4分の1は道がない完全ウィルダネス。ほんとならそこを2カ月ほどかけてじっくり漕げれば理想ですがさすがにそうもいかないのでブッシュパイロットに案内してもらい、空からダーっとフィールドリサーチして脳内カヤッキングしました。

 ここ、カヤック&トレッキングでいつか旅したい。人生短し。

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 入り組んだ海岸線。おいしそうな入り江や小島が無数にある。

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 野性のおごそかさ、畏怖を感じさせる海岸線。質問:沖からカヤックを漕いできたとして、あなたならどこに上陸しますか?

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 こんな感じで助手席に乗り、飛ぶ。めちゃ迫力あり、なかなかの脳内カヤッキングができた。

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 このジャングルをくねる川とかも、ひじょうにそそられる。

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 漕いでて荒れてきても逃げ場のない海岸線。

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 こんなやつで案内してもらう。

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 こういう感じも、そそるなあー。

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 海跡湖、深い入り江、外海という淫靡な取り合わせ

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 ほんとは日本にはこういう所、たくさんあっただろうけれど、戦後ことごとく埋め立てられてしまった。和歌山でいうと下津~初島とかってこんな感じだったろうね。
 
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 カヤックだけでなく、こういう地帯を10日くらいかけて歩く「ポート・デイビー・トラック」ってのもある。ところどころでブッシュパイロットが食糧などを空から落としてくれるサービスもあるそうだ。

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 このエリアを1週間ほどかけてカヤッキングする地元ガイドのツアーがあって、料金20万円ほどで参加できる。うーんと悩んだすえに決心して電話すると、「満席です」のことだった。実際、けっこう人気があるらしい。そんなくらい金出しても充分価値があるだろうし、また払う人は世界中にたくさんいる。おれもそんなツアーを催行したいぜと思うのであった。


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4月24日アースデイイベント

2011-01-19 11:50:44 | インポート
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 日本の海岸線にはところどころ、
 たくさんのゴミが流れ着いている場所があるということをご存知でしょうか?

 人が行けるような浜は実は誰かが掃除しているものなのですが、
 道がなく、誰も入っていけない浜では、
 とんでもない質量のゴミがたまっているケースもあります。

 そこに誰かがゴミを捨てたわけではなく、
 陸できちんと処理されなかったゴミが川を伝って海に流れ着き、
 長年さまよい続けたものがそこにたどり着いてその現状を形成しているわけです。
 海って、想像している以上に超広大な空間ですが、
 ゴミも想像以上に流れ着いています。
 すべての水が海に行きつくように、
 多くのゴミもほっとけば海に流れ着くように、「物理的」にできています。

 海ゴミ問題って、ややマイナーな感はありますが、
 地球環境問題の大きなひとつとされています。
 
 さて、アイランドストリームではNGO組織「全国クリーンアップ事務局」の活動とリンクして、「海ゴミ」問題に取り組む活動も行っているのですが、来たる4月24日(日)に田辺湾・神島(かしま)にて海ゴミ調査&クリーンアップツアーを催行することになりました。ちょうど4月22日は全世界アースデイの日ですが、今回はちょうどうちでの「アースデイイベント」という形になります。

 写真の島がそうなのですが、神島は、博物学者であり日本で最初に「エコロジー」という概念を提唱した南方熊楠氏の呼びかけにより天然記念物に指定された島で、希少な植生の保護目的のため上陸禁止となっています。ですが管轄の田辺市教育委員会と交渉し、このたび許可がおりましたので、催行決定となりました。
 原初的なというか、パワースポット的な神々しい雰囲気のある、美しい島です。

 実は2009年10月にもこの島で同じイベントをやっているのですが、今回もシーカヤックを使ってのアクションという形は前回とだいたい同じになります。時期的に、天気がよいと別天地のように島が美しく輝く光景にも驚くことでしょう。あと細かいところをこれから考えていきますが、みなさんぜひご参加ください。
 
 前回のやつの詳細はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20091106

 また、前回の参加者の感想はこちら。
http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20091106

 なお、全国クリーンアップ事務局のウェブサイトはこちら
http://www.jean.jp/index.html


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近場カヤックトリップのすすめ

2011-01-18 14:39:29 | インポート
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 カヤックトリップってバックパック旅に通じるものがあるけれど普通のバックパック旅との大きな違いは、カヤックトリップの方が、むき出しの感覚で「土地」とディープに対話できるっていうか、より繋がった感覚になれることだ。
 
 見知らぬどこか遠くを旅するときもそうだし、
 案外見落としていた身近なところをカヤッキングするときもそうだ。
 どこに行こうとその「トリップ感」の深さにおいて、
 地球の裏側だろうと、近所だろうと「等価」だったりする。
 
 だから別に、たった一日のカヤック行だろうと、
 その土地の感覚や地形や自然のことが
 自分のイメージの中で立体感を帯びたものとして捉えることができたならば、
 素晴らしいカヤックトリップなのである。
 どんな長旅だろうと、基本は一日一日の積み重ねなのだから。

 忙しい日々を送っている人が日常の延長上でカヤックトリップを楽しむ方法として面白いのは、過去に行ったことのある同じコースを違う季節に何度も行ってみる定点観測的なカヤッキング。あるいは意外と見落としがちな近所のフィールドを探して漕いでみる「近場発見」カヤッキングだ。

 特に四季の豊かな日本では同じ場所でも季節、あるいは日を変えると表情も全く変わるので、驚きと新発見がある。
 また、意外と見落としがちな近場の中にも、知られざるような場所は必ず存在する。

 たとえば上の写真の、和歌山・下津沖にある「沖の島」。
 この沖の島は、ウバメガシとかの灌木ジャングルに覆い尽くされた感のある紀伊半島の手つかず無人島たちの中にあって、短いペンペン草が風にそよぎ視界が大きく開ける、ひときわさわやかな印象のある島だ。

 こんな案外忘れがちな近場へカヤッキングすると、
 地球の裏側のどこかを漕ぐことと比較しても、
 「トリップ感覚は等価である」という、その意味がわかるだろう。

 こういう島に上陸して一夜キャンプしてみるのも一興。


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電流

2011-01-17 00:51:31 | インポート
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 (写真:カヤックトリップ;アラビア半島・スール地方)

 今日はすごい風吹いてますねえ。
 天気図見たら等圧線の間隔が混みまくってドエライことになっている。

 昨日、風が強烈になる前に久しぶりに湯浅湾を漕いだけれど、
 最初なんかしっくりこず、初心者に戻ったみたいな感覚だった。
 間隔空くとたまにそういうときがあるけれど、
 それもまた新鮮味があっていい。
 
 10分ほど練習してるとすぐに感覚が戻ってくる。
 最初、身体とカヤックがバラバラで、
 ただ乗ってるだけって感じだったのが、 
 じょじょにスイッチが入り、
 電流が隅々にまで行き渡るように、
 船首から船尾まで神経が通った心地になってくる。
 まるで下半身からこういうブツが生えてきて、
 新しい海洋生物に変身したような感じ。

 やがて風も強まり、沖からのうねりが入ってきたけれど、
 そのつど、
 うねりに吸着するするような密着感というか同調感がすごくあって、
 海の鼓動、リズム、ビートが身体の奥のほうにまで入ってきた瞬間を何度も味わえて、
 短いカヤッキングだったけれど楽しめた。

 こういう海が自分の中に入ってくるような感覚は、
 ある程度回数を重ねて、そこそこカヤックを操れるようになると、
 誰にでも味わえるものだ。
 去年あんまり漕がんかった人、今年はもっと海に出ようぜ!
 
P1010163


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cool guys keep it goin'

2011-01-14 20:39:09 | インポート
Raggabund
 前回のpaco mendozaの流れでyou tubeで色々調べてると、連中の交友関係でどうやらドイツのレゲエがなかなか面白いらしい。特に Raggabundって奴らには、すこぶるピンと来た。「ラガブンド」っていうのか、「ラガバンド」って読むのか、ドイツ語なので分かんないのだが、非常にビビビーンとくるものがあった。
 なんというか、アンダーグラウンド特有のナマナマしさ、活きのよさがある、

 ボブ・マーリーを彷彿とさせる声で、まさしく「ドイツのボブ・マーリーだ」と思ったのは、FMラジオに出演して生演奏しているこれを見たときだ。
 http://www.youtube.com/watch?v=_ou6bA2nGFE
 なお左でヒューマン・ビートボックスをやってるカラメロ・クリミナル(caramelo criminal)って人は、前記事で紹介したビデオにも出てるニイチャンだ。フレッシュな才能ある奴同士が個々に自立し、お互い繋がって切磋琢磨してんだろう。

 それから、これなんかは、ほんとにスウィート。言葉は分からないがなんて素敵な曲なんだろうと思う。
 http://www.youtube.com/watch?v=QJYqbiJZvXk&feature=related

 それからこんな不良な曲には、何か飛び散るパッションも感じさせられる。往年のロックから続く反逆スピリットのDNAを受け継ぐ曲だ。
 http://www.youtube.com/watch?v=j6rYUH9hmdA&feature=related 

 世の中は広く、あちこちから才能のある人がボコっと出てくるので面白いね。まあこういうインディペンデントな精神を持った奴らはなかなか儲からず、食っていくのは大変だろうけど絶対活動停止とかしないで、続けていってほしいと思う。こういう奴らの才能を垣間見ると、おれもがんばるぜ、とパワーを与えてくれる。そしてなぜか泣けてくる。音の粒子の中に、「お前のやってるアイランドストリームに共感するぜ」という暗号が隠されているように聞こえるからだ。
 音楽にはそういう力がある。そういうのがほんとの霊感ってやつだ。


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あぶり出し

2011-01-12 23:47:05 | インポート
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 深夜にでかい音で音楽を聴けるのも田舎住みのいいところ。最近はペルー人とパラグアイ人のハーフでアルゼンチン育ち、現在ベルリンで活躍中という「パコ・メンドーサ」のエレクトリック・クンビアをよく聴いている。一言で言って、最先端っぽさと田舎っぽさとの同居した感じがいい。

 「クンビア」って、コロンビアで生まれた大衆音楽らしいけれど、正直、めちゃめちゃダサいイメージというかイモ臭い印象があって、好き好んで聴こうと思ったことのないものだった。それがテクノやヒップホップ、レゲエといった現代のサウンドで折り合わせるとめちゃめちゃカッコ良くなる。
 そこが面白い。
 「ああ、クンビアってやつには他の音楽はない、こんなに深みある情感や色気が隠されていたのか・・・」、という新しい発見。
 「あぶり出し」、みたいなもんだ。
 現代テクノロジーという光を当てることによって、ホコリを被ったような古いモノの中に隠された新しい魅力をあぶり出す、ってセンス。
 新しい世界へとトリップさせてくれる音。

 まあ、もとからかっこいいものをかっこいいぜと誇るのは大してセンスを要しないけれど、ダサイいものをカッコ良く見せるには相当のセンスがいる。
 ま、よかったら、ユーチューブでこいつらのダサカッコよさをチェックしてください。
 それからまたブラウザのバックボタンを押して戻ってきて話の続きに付き合ってくださいね。
 http://www.youtube.com/watch?v=wal529sKlXw&feature=related 

 現代テクノロジーと伝統的な音楽の融合といえばインド音楽とかブラジル音楽とかがポピュラーだけれど、まあ、すでに定着した人気ジャンルとなっている。だいたい、インド音楽もブラジル音楽も洗練されているというか、あまり泥臭くない、クールな音楽だ。一方このクンビアとか、以前このブログでも書いた西アフリカ沖のカーボ・ヴェルテの音楽とか中米ベリーズの音楽とか、最近ぼくが新しさを感じる音楽はどちらかというとより田舎的で、あんまり洗練されていない一種演歌的な「情感」とか「情念」が結構息づいている。で、そういのを若い連中がやっていて、かなりかっこいいものに仕上がっていたりする。
 より作り手の「個」を感じさせる音。
 ぼくはちょっとその辺の感性が気になっているところだ。

 音楽って時代の深層心理を映し出すシャーマンみたいな側面がある。
 だからこれには何かがあるな、と直感する。
 またワールドミュージックってある種観光というか旅的なところがあって、
 旅人である演奏者の旅(演奏)を追体験していると、いろんな発見が湧きが立ってくる。
 触発されるわけだ。

 ぼくの場合端的に言うと、カヤックトリップしたりツアーコースをリサーチしたりする時の、感性というかセンスの参考になる。メジャーなガイドブックに載ってるようなフィールドやコースはまあご立派なものだけれど、さらに一歩突っ込んで、一見気付かずに通り過ぎてしまうようなフィールドの価値を自分の解釈とか発想、感性によって「あぶり出す」作業。
 どこか繋がってると思うね。
 インド音楽やブラジル音楽が世界遺産の高野山や熊野古道だとするならば、
 クンビアとかカーポヴェルテ音楽は湯浅湾やみなべ海岸みたいなものかもしれない。
 ぼくは世界遺産じゃないけれどそれに引けを取らない、いい場所をいっぱい知っている。

 あるいは連中にとってヒップホップやレゲエがカヤックで、
 クンビアは旅するフィールド。
 旅先でいろんな人や文化の息遣いを体感し、己のセンスによって、
 旅してみないと決して分からないリアリティを描きだしてゆく。
 もちろん会ったこともない連中だが、非常に親近感を覚える。
 音楽ひとつ聴くだけでも、色々想像させてくれて面白いね。


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かつ

2011-01-10 18:39:31 | インポート
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 去年の夏にうちにサポートガイドとして来てくれてた通称「かっちゃん」。
 ぼくらは「かつ」と呼んでいましたが、
 ヤツはその後小笠原に行き、土方の仕事をしつつ、住みついています。

 あのドレッドヘアのにいちゃん、元気にしてるかなあ?
 と思ってる人もいるでしょうけれど、非常に元気にしているようです。
 先日久しぶりに電話して、色々話ししました。

 ま、人のことは言えないけれど、あいつはなかなか変わった奴でしたね。
 しかしいろんな人を何千人と見てきたけれど、
 ヤツほどシーカヤックを愛してる奴もなかなかいなかった。
 趣味的にシーカヤックが好きな人はいっぱいいるけれど、
 単独で旅して、その精神文化の部分まで深めようとしてる奴って、
 ほんとにいないものだ。

 なんと言うか、ヘンな言葉かもしれないけれど、
 「淫する」というレベル。
 「ディープに淫するように、シーカヤックの世界を愛する」
 ってニュアンス。

 その人のハートがどこまで深いのか、
 だいたいちょっと話せばわかるものですが、
 そのレベルの奴はなかなかいないですね。
 でも探せば、いる。
 それが今の日本の面白いところだ。

 普通に趣味的にやってる人はそういう人の言ってることを
 少々奇妙に思ったり、ヘンな奴だと思ったりと、
 最初ちょっと拒否的な反応をしたりするものだけれど、
 一方、そのとんがったスタイルに
 ちょっとずつ影響を受けたり、
 ふと気がつけば、真似してたりするものだ。
 いつのまにか、な。

 なぜならその「淫する」レベルのとんがった奴の言ってることってのは、
 自分自身の実体験で培った「確信」に基づいているものだからね。
 また案外、しっかり考え抜いてたり、誰よりも勉強して言ってたりする。
 で、周囲の趣味的レベルの人が、
 ある時「ハッ」っと気が付き、
 ちょっとずつマネし始めたりする。
 そいつは、いいことである。

 そうやって、おれの言う「プラネット感覚」や「カヤックトリップの世界」や「感性の世界地図」とか、かつの言う「野性DJ」の世界みたいなものが、
 ゆっくりでも広がっていけばいい。
 おれらは、分かってて言っているのである。

 結局カヤックのツアーカンパニーを立ち上げる目的というのは、
 そういうことなんだよ。
 逆にそういうのなくして独立開業するってのも、
 人それぞれだから別にいいんだろうけれど、全くシンパシーを覚えない。

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冬特有の鮮やかな明るさ

2011-01-10 17:55:03 | インポート
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 1月に入ってさすがに寒いけれど逆に、晴れると海が鮮やかに映えますね。

 冬至を過ぎて、
 太陽の軌道が変わって、
 それにともなって光線の入り具合も変化した加減だろうけれど、
 気温の低さとは相反して、
 海景全体がすっごい明るい感じになります。

 また海水のプランクトンの含有量も減るので、
 この時期の海は、素晴らしく美しくなりますね。

 2月とかになると今度は若干春のけぶった感じというか、
 空の白みがかった要素も入り始めるし、
 海藻や植物性プランクトンが春に向けて動き出すので、
 この「冬特有の鮮やかな明るい海」っていう、
 ある意味逆説的な感じの海景は1月のみになるでしょうね。

 今日は写真撮りたかったけれどカメラ持ってなかったので、
 以前撮った写真をここに載せときます。
 湯浅湾・やびつ海岸のやつです。
 ま、これは冬至前のやつですが、
 こんなニュアンスですね。


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遊びと人間

2011-01-08 14:30:15 | インポート
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 上の画像はグーグルアースから切り取ったやつですが、
 よろしければクリックして拡大して見てください。

 見る角度によって、地球は、完全なる水の惑星となります。
 この海は太平洋ですが、すごいですよね。
 また、いにしえのポリネシアンたちはこの海を何の計器も使わず、
 星座の知識と風波の体感のみを駆使して航海したというのも、すごい話ですね。

 基本的にシーカヤックの世界も、スケールの違いはあれど、
 自然をfeelする感性とか、精神文化とか、世界を見る価値観とか、 
 カルチャーとしてそういう世界ともリンクしています。
 面白い遊びですよね。
 遊びか本気か?ではなく、遊びだからこそ本気になれる世界。

 去年はこの画像の左端の方に映ってる島(ニュージー&タスマニア)をトリップしましたが、
 今年もまたこの中のどこかへとカヤックトリップに行こうと思っています。
 帰ってきたらうちでスライドショーとかもしますんでよろしく。


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プラネットアースの小石

2011-01-07 04:53:02 | インポート
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 陸地から遥かに離れ、四方八方、
 海しか見えない空間をシーカヤッキングしたことも何度かある。
 今回は軽く、その時の話をしよう

 一生懸命漕いでる最中にはあまり意識しないけれど、
 ふと手を休めてじーっとたたずんでみると、
 「おれは一体どこに漂ってんだろう?」と、
 まさに宇宙空間にただ一人放り出されたような、トリップ感に包まれる。
 まず音がない世界。そして重力感がない世界。
 上下左右の感覚すらおかしいその浮遊感に意識が行きすぎると、
 気が遠くなり、おかしくなってしまいそうになる。

 その際限のなさといい、
 圧倒的な質量の海水に包まれていると、
 やがて宇宙遊泳そのものの感覚にinする。

 そんなとき、陸地や島が見え始めると、ものすごく安心する。
 まるで島が星のように感じるのだ。
 より自分の味方というか、人間の側に近いような存在。
 そうして漕ぎ続けてたどり付いた島はまさに、
 我が安らぎの惑星って感じがする。
 ちょっと変わった話に聞こえるだろうけれど、
 現場では非常にリアルな感覚だ。

 大海原が宇宙で、島が星・・・。
 そう考えるとポリネシアンのスターナヴィゲーションってものの面白みも
 より一層増してくる。

 また湯浅湾のかるも島で修業し、
 島そのものにラブレターを書いたという鎌倉時代の高僧、
 明恵上人の気持ちもわかるような気がしてくる。
 深い瞑想によって宇宙遊泳感覚を味わい、
 ゆえに島が愛しくなってしまったということだ。

 加えて、島で拾った小石を生涯大事に持っていたという彼のエピソードにも、
 「オレにはその気持ちがわかるぜ」と、ジーンとくる。
 己のハートの深みが宇宙そのもので、
 島の小石はプラネットアース、
 そういう関係。


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プラネット遊泳と母船

2011-01-06 20:55:58 | インポート
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 先日、御坊・日の岬周辺を初漕ぎしたあと高台に上って大海原を眺めていると、
 去年カヤックトリップで行った南半球・タスマニア北部の、
 「ザ・ナット」から水平線を眺めた時の感覚が、
 フラッシュバックした。
 (一番上の写真)

 ザ・ナットっていうのは海に向かって突き出した岬、
 というか台形になった巨大な丘で
 別名「タスマニアのエアーズロック」とも呼ばれ、
 古来からのタスマニアン・アボリジニーの聖地でもある。

 上から2番目、3番目の写真はその周囲を漕いでる時のやつだが、
 見た目以上に波があって、畏怖感を覚えたものだった。
 ザ・ナットの断崖絶壁にぶち当たった返し波のエネルギー感が、
 非常にスケールでかく、野太かったのである。
 (いわゆる吠える40度線ってやつ)

 そして漕いだあと、100数十メートルを歩いて登って見はらした海景の、ものすごいこと。
 どこまでも続く海、海、海、海、空、空、空。
 (一番上の写真の感じ)

 実際、海というか海水の圧倒的な質量って、
 その寄る辺なさ、無限な感じが、宇宙のスケールを連想させるものだ。
 その時、丸みを帯びた水平線は広大な宇宙で、
 「ザ・ナット」はそこを渡ってゆく宇宙船のように思えたのだった。
 孤独な、それでいてなぜか温かな感じのするスペースシップ。

 それは、カヤックを漕いだ後だったからそう感じたのだろう。
 宇宙服ひとつで外宇宙に飛び出し遊泳した後、
 母船に戻ってきたような感覚。
 ちなみにそういう感覚は、シーカヤックのひとつの本質でもある。
 
 ここがなぜアボリジニーの聖地になったのかが、
 肉感的によくわかったような気がしたのだった。 

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プラネット初漕ぎ

2011-01-06 20:13:29 | インポート
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 先日、初漕ぎとして、御坊・日の岬周辺を漕いできました。

 遥か南方からやってくる黒潮分流が、その向きや強さを変える岬。
 南に行けばいくほど南方の気配が増すここ紀伊半島の中にあっても、
 海の表情を大きく変える、いわばプロットポイント的な場所でもあります。

 水路誌上でも、
 この岬から北は瀬戸内の延長エリア、
 南は太平洋エリア、と分けられています。
 そして西には四国。
 紀伊水道が一番狭まるエリアで、
 もしシーカヤックで渡ってみようとするならばここが最短。
 24キロ漕ぐと徳島県・蒲生田岬にたどり着きます。

 まあ、この時期海峡横断はちょっと厳しいですが
 沿岸ツーリングならばなかなか楽しめます。
 晩秋から春先にかけて、
 北風の風裏であるここ日の岬から南東にかけての海岸線が、
 すっごくいい雰囲気になるのです。

 寒さと対照的な、太陽光線の南国的ムード。
 そして遥かな広がりを見せる太平洋の大海原。
 すぐ近所の全長約4.6kmほどある煙樹ケ浜の開けた趣もまた、
 風景全体のスケールの大きさに彩りを添える感じで、いい。

 水平線遥か彼方の異国憧憬を喚起する岬でもあるけれど、
 ここいらの漁民は実際、明治から昭和初期にかけて、
 何千人という単位でアメリカ大陸に移民している(主にカナダ・バンクーバー)。
 そしてその彼らが帰国して形成された集落が
 「アメリカ村」と呼ばれている。
 元祖・アメ村である。

 ここは3月頭くらいに、ツアー催行しようと思っています。
 よろしく。

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