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プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

オラ行くだ村2・カウス

2009-03-26 22:44:06 | インド編(南アジア&アラビア半島カヤック

※インド編(南アジア、アラビア半島カヤックトリップ)の続き記事。

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↑ 50キロほど向こうのスリランカ北西部から昇る南インド・ラーメッシュワラムの朝日。

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↑ 海岸線はヤシの木の林が連なっている。林の中に漁村が点在している。

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↑ ラーメーシュワラム町の沐浴場から7,8キロほど漕ぎ、ちょっと休憩に砂浜に立ち寄るとさっそく土地の漁民が興味シンシンで寄ってきた。olaikuda村の漁民。

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↑ 漁師のあんちゃんとエイ。もっとでかいのが採れるらしいが今日のはこんな小型。

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↑ 彼らはぼくに、「カウスカウスカウスカウスカウス」と言って手招きしてきたのだった。ついていくとヤシの林の中を10分ほど歩いてどこぞやに向かう。もしかしたら身ぐるみはがされるんじゃないかあと思ってると、olaikuda村に到着。彼らの言うカウスとは、ハウスのことなのであった。

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↑ こいつら、めちゃくちゃいい奴らだった。お茶をごちそうになり、ほとんど言葉は通じなかったがいろいろ話をした。まさか海からの来客があるとは思ってもみなかったろう。しかし精一杯おもてなししようという気持ちがほんとにこっちに伝わってきて、それだけでじんわり感激した。

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↑ olaikuda村の3人兄弟。このあとこの写真を送ってくれと住所を交換してolaikudaオラ行くだ村だとわかったのだが、笑ってしまった。しかしほんとに心やさしい、いいやつらだった。帰国したら必ず写真を現像して送るぜと言ったんだけど、帰国後バタバタしていてまだ送れていない。申しわけない。このブログを見てアイランドストリームのツアーに参加される人がいらっしゃったらぼくに、「オラ行くだ村の人にちゃんと写真送ったか?」とプレッシャーをかけていただければありがたいです。

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↑ クリスチャンである彼ら。インドの、特にここベンガル湾沿いにはアウトカーストの漁民が多い。カースト制度はバラモン(僧侶など)、クシャトリア(貴族、軍人など)、バイシャ(商人、工業従事者など)、スードラ(農民など)の基本4つに分かれるがさらにアンタッチャブルと呼ばれるアウトカーストがいる。ちなみにアウトカーストの人口は約1憶1千万人と、日本の人口と同じくらいの人たちがいる。ヒンドゥー教徒である限り彼らは人的扱いを受けることを余儀なくされるので、仏教徒やクリスチャンに改宗する人が多い。オラ行くだ村の人たちはクリスチャンだった。前世からの罪穢れによりカースト外として扱われる人生と、すべての人間はみな等しく神に愛されていると説かれる人生、まあ改宗するよな。

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↑ 魚の干物。

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↑ 漁師のアニキと一緒にカヤックで遊ぶ。

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↑ すごく温かい気持ちに包まれながら村をあとにする。ありがとう。

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↑ このあたり、潜ったら結構コーラルがあった。

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↑ 海から見たラーメッシュワラムの沐浴場。むこうにそびえたつのが寺院。寺院の中でも大量の人々が頭から水をかぶって清めている。

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↑ 毎日、スリランカ方面から上がってくる朝日。島伝いに行くとスリランカまで近いのだが、このあたりの海域には「タミル・イーラム解放の虎」という反政府組織の連中がいるのであまり沖まで行くのはヤバい。タミル・イーラム解放の虎のことは、その組織員を父に持つM.I..Aという女性ラッパーのラップを聴いて知った。スリランカでは仏教徒であるシンハラ人が人口の8割を占めるが、30年ほど前に政府がシンハラ人優遇政策を進めようとした際に、それに怒った少数派のヒンドゥー教徒であるタミル人が独立運動を起こし、政府軍と一戦を交えることになる。その先頭に立ったのが「タミル・イーラム解放の虎」である。以来これまでに死者6万人を超え(多数の民間人も含む)、100万人近くが国外で難民となっている。


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オラ行くだ村

2009-03-23 19:52:01 | インド編(南アジア&アラビア半島カヤック

※インド編(南アジア、アラビア半島カヤックトリップ)の続き記事。

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↑ インド南部、スリランカの国境に近い海辺の聖地・ラーメッシュワラムの沐浴場。朝早くから沐浴する人々と、哲学する牛。

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↑ 朝早くから沐浴する人々と、哲学するオヤジ。

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↑ あんまり哲学してなさそうなヤギ。

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↑ 夜明け前後に沐浴に向かう人々と、遠方から車でやってきて、地べたで眠っている人。死体ではなく生きた人です。

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↑ イカダを漕ぐ漁師も、ダブルブレード的にカヤック漕ぎしている。

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↑ ヤシの木が密集した海岸線。

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↑ 途中で出会ってお世話になった村の漁師たち。のちにもらった写真送付先の住所を見て笑ってしまった。「olaikuda」村、日本語読みすれば「オラ行くだ村」である。


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インドを旅する理由

2009-03-23 01:02:16 | インド編(南アジア&アラビア半島カヤック

※インド編(南アジア、アラビア半島カヤックトリップ)記事の続き。

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 上のグーグルアース図をクリックして拡大してもらいまして、左が今回旅した南インド地方、一方右の方の「アンダマン海」と書かれた文字の左に縦列でポツポツ並んでいる島々の総称が、「アンダマン・ニコバル諸島」となります。ここもインド領土です。「その、あんさんが旅したアンダマン・ニコバル諸島ってどこやねん?」といろんな人に必ず聞かれますし、みなさんもそう思っていると思いますが、そいつがここです。
 スマトラ島沖地震の際には甚大な津波の被害があった所ですが、非常に海の美しいエリアです。
 まあ、今後このブログに結構でてきますのでよろしければ覚えといてくださいね。
 
 まず今回の旅では最初にインド南部を訪れました。
 まあインドは昔から一度は行っておかなきゃいかん場所だなと思ってましたけれど、非常にへヴィーな旅になりそうなのでずっと二の足を踏んでいました。いろんなインド放浪本なども世には出てますしそれらも何冊か読んだことがありますけれど、ぼく的にはあんまりタイプじゃないなあという感想でした。それが今回なんで行こうと思い立ったのかと言いますと、やはりカヤックフィールドとしてのインドはどんなところなのか・・・、どんな風が吹いていてどんな波が立ちどんな海岸線をしていてそこに実際身を置くとどんな感覚が立ちあがってくるのかってのを「アジア圏のインド亜大陸」という観点から捉えてみたかったというシーカヤッカー目線はもちろんありますがそれと同時に、これから高度成長期を迎えようとするインドという国は一体どんなところでどのように変化しようとしてるのだろうか、また日本人であるぼくらのライフにどんな影響があるのだろうか、もしかしたら何かおもろいことに繋がりそうなヒントとかもあるんじゃなかろうか、なんてことを数年前からウスウス気にし始めていて、じゃあちょうどこのトリップの機会に見て来ようと思ったわけです。またこういうことは業務のオフシーズンにしかできない、しかしアイランドストリーム・エッセンスに欠かすことのできない大切なことで、いろんな人が思ってらっしゃるほど能天気なバカンスなんかではないわけです。

 今回まず、ちょうど年末に毎年やってる南インド・チェンナイの古典音楽祭を目がけていったわけですが、ふと考えるとここ数年自分自身、結構インド系音楽をよく聴いている傾向にあります(正確に言うと世界各地に散ったインド系移民の音楽)。タブラ奏者のタルヴィン・シン(Talvin singh)とかカーシュ・カーレイ(karsh kale)とかのエレクトリック音楽は古典的な要素も大切にしつつ未来的、宇宙的な感じがしてクールですし、「バングラ」というジャンルのお祭り音楽はなかなかダサカッコよくてキュート、そしてエイジアン・ダブ・ファウンデーション(asian dub foundation)なんかの反骨ミュージックは昔のロックやレゲエが持っていたようないい意味での反逆的パワーがみなぎっているように感じます。21世紀に入って欧米のロックもジャズもヒップホップも急速に面白くなくなってきたように感じて他に触手を伸ばし始めましたが、インド系エレクトロニック音楽やフランスとかにいるアフリカ系移民の音楽のほうが断然面白いというか、昔のロックやジャズが持ってたマジカルなDNAが9.11米同時多発テロ以降こっちの方に移行してきているんだなあという今日この頃です。で、そういう流れはなにか、整然とした欧米中心主義的世界観より混沌としていてかつ豊穣で、また同じアジアンである日本人にとってもすごくおもろい流れであるんじゃないかなあと思うわけです。

 まあ、アクの強いインド本国モノよりも印僑の人たちが形成するグローバルの風にさらされたカルチャーなんかのほうがなじみやすかったりするんですが、そのベースとなっているのは古典的なものなわけでその意味において結構アクの強い南インド古典音楽(カルナーティック)のコンサートはいろいろ面白かったですね。インド音楽は北インド、南インド両方ともヒンドゥー教の世界観と密接に関係していまして、またドレミに値する「サリガマパダニサ」という音階、音符ごとにそれぞれが色彩とか心的エモーションと呼応する関係にあるとされています。ひとつの曲調というか音楽的ムードを「ラーガ」と呼びますが、そのフィーリングに沿って「夕暮れのラーガ」とか「梅雨のラーガ」と無数のヴァリエーションがあるようです。「シーカヤックで夜光虫の海を漕ぐラーガ」とかそんなのもありえます。まあそのへんの楽理的なところはインド古典音楽初心者であるぼくなんかには深すぎて難しすぎるところですが、そういう深さがぼくの普段聴くインド系テクノ音楽とかの面白みを生む豊かな源泉になっているんだなあと思います。
 
 それにしても11億の人口をかかえるインドは中国とともに世界をリードしていくだろうといわれる大国です。
 インドは中国に比べてさらに人件費も安いし対日感情も悪くないからこれからはインドだ、などと書かれた経済雑誌の記事なんかをよく見かけますがまあそういう観点ではなく単純にインド系の音楽とか面白いと思うし、あとヨーガとかリグ・ヴェーダ哲学とかブッダの教えとかアーユルヴェーダとかカーマ・スートラ(!?)とか色々、心と体のディープテクノロジーみたいなものにはすごく興味を引かれます。
 経済の面で言うと中国はどちらかというと製造業主体で、一方のインドはIT、最先端医療、製薬、映画などなど第三次産業(広義のサービス業)が世界を席巻しているという現象があります(実際は製造業もこれからかなり上がってくるだろうといわれていますが)。
 で、そういうのが面白いと思うわけです。
 ぼくの携わっているジャンルも同じく第三次産業だし、モノが売れなくなってきた先進国でもこれからこちらのほうにフロンティアがあるわけです。特に組織に属さず自前で生きていこうと考える者にとってサービス業は非常に適したフロンティアなわけです。日本では特に中高年層に頑迷な既得権益が集中していてそれらが閉塞感と圧迫感を生みだしその結果若者には絶望的なほど希望のない時代だという感触がありますが、そんなのを個人の立場からブチ破っていくにはやはりこのフロンティアが土俵になるわけです。で実際、個人の立場でしかなかなかぶち破れないのです。
 そういうこともあり、なんか混沌としていてしかし独創的なものも次々生み出すインドカルチャーというか、その脳みそに、語弊があるかもしれませんがロマンティシズムのようなものを感じたりもするわけです(ホットメールを開発したのはインド人だし、そもそもウェブそのものがインド哲学的)。
 
 まあ実際のインドはやたらめったら不潔だし、人は多すぎるし人間の命の値段は死ぬほど安い、交通ルールが皆無でバイク、車、自転車、牛、馬、山羊、犬などが自分のことのみ考えて突き進みながら1日中クラクションが鳴りまくってるし、ゴミはそこらにポイポイ捨て公共マナーがまるでない、おまけに糞小便は所構わず垂れまくり、警官や役人はとんでもなく偉そうにしている、、わやくちゃの国でした。イメージはしていましたが実際体感するとすさまじかったです。
 1億2000人の日本人がエコと言っても空しくなってくるほど11億人が空や地や海を汚しまくっちゃっています。またご存じカースト制度も残っていて人間の質はピンからキリまで混在している。都会の人ゴミのグジャグジャーっとしたところなんかはある意味地獄的な感じがしないでもないけれどしかしそれゆえたとえばブッダの教えのようなすごい哲学も出てくるんだろうなと思わせられました。
 これもピンからキリまでの部分。

 ブッダの有名なフレーズに、
 「寒さと暑さと飢えと乾きと、
 風と太陽の熱とアブとヘビと、
 これらすべてに打ち勝って、
 サイの角のようにただ一人歩め」
 というのがありますが、
 それはインドにいると意味がよくわかりますね。
 「この世は残酷であり、だからこそ周囲に流されず自分自身の道を見つけて生きていけ」ってことだけど
 それはインドだろうとどこだろうと一緒。
 ちなみに同じような歌をベン・ハーパーも歌っていますね。
 「welcome to the cruel world,hope you find your way」

 特に日本ではちょっと人と違うことを言ったりしたりするとすぐに「あいつ変わっている」というレッテルを張られますが、そんなアブやヘビのような他人の目などに打ち勝って一人強く歩んでいかなきゃ何事も成就できるわけがない。
 同じような内容をベン・ハーパーも歌っている。
 「If you don't like my fire, don't come around cause I'm gonna burn one down,I'm gonna burn one down~(オレの炎が嫌いならオレに近寄らないほうがいいぜ。オレは一本焼き尽くす、そうさ一本焼き尽くすんだから)
 勇気づけられる言葉です。
 


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砂漠の島

2009-03-14 23:42:56 | インド編(南アジア&アラビア半島カヤック

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というわけで先日帰国したところですが、いつも言っていますように今回のカヤックトリップ出張でもやはり、カヤックこそこの暗黒の大宇宙の中にあってひとり美しくブルーに輝く宝石のような水の惑星「地球」の息吹をディープに体感することのできる最強のトリップツールなんだなあ、と今一度再認識させられました。

 まあその内容も追い追いこのブログに載せていこうと思いますが、
 中でも今回特に衝撃を受けたオマーン東部沖の砂漠の島、
 「マシーラ島」の写真をまずは並べておきます。

 高画質でアップしていますので、よろしければぜひクリックして拡大してご覧ください。

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↑ 昔沈んだダウ船の残骸がいいアクセントになっているとある海岸。

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↑ これ、雪ではなく砂ってところがやばいです。島の東南部はこういう感じの雪山のような場所が多い。ジリジリ焼ける暑い海の上から眺める不思議風景。

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↑ 海上と同様、上陸後の周囲にまったく誰もいない寂寥感がまた、いい。

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↑神が作った超巨大庭園のような絶妙な配列。

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P1010253
↑ 砂、岩山、空、海水、それぞれのコントラストとバランスが絶妙、緻密で、音楽的、数学的、かつぶっ飛んでるなと思った島でした。またこういう場所のエッセンスを深く体感できるカヤックトリップって素晴らしいなと思いました。


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