プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ダイナミックさと繊細さ

2010-09-30 21:44:04 | インポート
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 海景の透明感が際立つ秋の湯浅湾シーカヤックツアーと並行して各地でのカヤックトリップツアーも催行中ですが、先日の熊野川ツアーも秋晴れのさわやかなコンディションとなり、すごく気持ちのいい一日となりました。毎年、秋の熊野川ツアーはもうちょい遅い季節にやってたのですが、一見中途半端に見えるこれくらいの時期もすごくいいですね。
 季節によって、日によって醸し出される、そのつど違った表情。
 その全部が味わい深い。
 
 黒潮に育まれた熊野特有の山々の力感。
 そのダイナミックな景観の中に彩りを添えるというか、
 透明な深みを与える、
 非常に繊細な、
 時間ごとに変化する太陽光線の色彩トーンと、
 鳥や虫や小さき生き物たちが醸し出すサウンド。
 
 午後の日だまりの中、
 軽やかな流れに身を任せていると、
 異世界というかおとぎの国に迷い込んだかのような
 錯覚を覚える瞬間がありました。
 これぞ、都会から遠く離れた、辺境の感覚というのか。

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パワナ

2010-09-29 23:48:52 | インポート
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 ル・クレジオの「パワナ」(菅野昭正訳、集英社)という、捕鯨がテーマの短編小説を読んだ。
 ぼくはル・クレジオの作品が大好きなのだ。

 たくさんのクジラが子を産みに来る、秘境めいた未知なる美しい潟湖が、ある日捕鯨者たちに発見される。最初はまだ小規模な捕鯨だったが、やがて世界中の捕鯨船団がやってきて根こそぎにし、壊滅状態になってしまったのだった。

 でその、最初期の発見者であるとある2人の年老いた捕鯨漁師の回想でこのお話は成り立っているのだけれど、その海や自然にまつわる描写の何と美しいこと。クジラたちの息づかいと風に吹かれて波立つ入り江の海景全体とが同調し、海が脈打ち始めるような描写。読みながらしばし、自分が漕いできた数々の美しい海の光景が脳ミソの中でフラッシュバックしたりもした。
 淡々と静かに続くそんな描写ゆえに悲しさを誘うのだけれど、
 なぜかとても新鮮でもあった。

 捕鯨と言えば今、非常にデリケートな問題になっているけれど、
 いろんな言説にしろニュースにしろよくよく見てみると、
 「政治」と「感情論」の2つ、
 賛成派も反対派もほとんどこの2つでやり合っているように見受けられる。
 あるいは何を言ってもそのどちらかに回収されてしまうので、
 デリケートも何もあったもんじゃなく、
 あえて何も言いたくなくなる今日この頃である。

 しかし冷静になってよくよく考えると、クジラという存在ほど象徴的な生き物はいない。つまりこんなドデカイものを生み育み養う地球という空間、海という場所の神秘や、スケールの大きさや、深さや豊かさってやつを象徴しているものはいないと思うのだ。そしてこのル・クレジオの小説「パワナ」。老漁師に淡々と語らせることによって、アッパーではなくダウナーで回想させることによって、この問題に付きまとういわゆるやかましい「政治性」と「感情論」が背後に隠れ、海という世界の本当の美しさ、神秘性が浮き彫りになっている。
 そこに新鮮さを感じたってわけ。
 捕鯨について考える時、たぶんほんとは、賛成反対でヤイヤイヤイヤイといがみ合うことよりも、忙しい日常で歯牙にもかけなかったそんな世界をイマジンすることの方が遥かに大事なのではなかろうか、と思うことがある。

 ちなみにシーカヤックでクジラやイルカの類いに出くわすことがある。ここらへんでは黒潮がダイレクトに来ている串本・潮岬で出会うことが多い。
 いきなり出会うと非常にドキっとするけれど、やはり水族館とかと違う彼らの野生の息吹に触れるとほんとすごいなあと感動する。だって陸上で歩いていていきなり何メートルも十何メートルもある野生生物に出会うことってあるわけがないでしょ。それが海では突如出会ったりすることがあるわけなのです。陸上で言うなれば、そこら歩いててふとティラノザウルス・レックスとかにいきなり出会うくらいの衝撃に相当するのではないか、と大げさではなく思ったりもするのです。
 なんせ、アマゾン河の流量の約500倍もあると言われる黒潮にたわむれる、
 野性の生き物なわけやからね。
 シーカヤックではそんなやつらのナマナマしい息吹と唐突に対峙することもある。


別の海

2010-09-23 21:07:57 | インポート
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 ル・クレジオの「海を見たことがなかった少年(モンドほか子供たちの物語」という小説を読んだ。

 子供って案外無垢ではなくズルかったり計算高かったりするものだけれど、しがらみがない分、そして経験値が白紙な分、物事をありのままに「裸の感覚」でとらえる力を持っている。ここに出てくる子供たちもまさにそうで、特に人を見る、というか人を下から見上げる目の鋭さとやさしさ、そして自然と交感するときの歓喜に満ちた描写が素晴らしい、いい短編集だ。

 普通の子もいれば浮浪児やどこかに消えていっていなくなってしまう子など色々出てくるけれど、表題の「海を見たことがなかった少年」という、学校の寄宿舎を脱走して海を見に行くダニエルって子の話は、そんな裸の感性を持った子供が触れる、しかも生まれて初めての海ということで、海の感覚描写がとてもフレッシュかつ、陶酔感があって素晴らしい。
 ただ表面をきれいに仕上げてるってのではなく、内奥深く捉える海感覚なのだ。
 で、その中に出てくる「別の海」っていうフレーズに、オヤっと思うというか、ピンと来たのだった。

 「海のことが話題になっているときでさえ、それは長いあいだ彼の興味を惹きはしなかった。しばらく耳を傾け、2,3のことを訊ねる。それから彼は話題になっているのが本当の海のことというわけではなくて、海水浴、ダイビング、砂浜、日差しといったものであることに気づくのだった。すると彼は立ち去り、自分のベンチか階段のところへ戻って腰かけ、空を見つめていた。彼が話を聞きたいのはそんな海のことではなかった。別の海、といってどんなのか分かっていたわけではないが、とにかく別の海のことなのだった。」

 シーカヤッカーにはこの「別の海」って感覚、よくわかるんだよね。
 あなたにも分かるでしょう?
 海開きの期間中だけ楽しむブイの内側の海や、清涼飲料水のCMのビキニのギャルのバックに映されているような海ではなく、リアルな海の鼓動と一体化して心と身体の内奥深く捉える、本物の「海」。
 
 さてようやく長かった夏が終わり、海景の透明感がひときわ美しい秋に入ってきましたが、これからの季節こそ、浜辺に人がガヤガヤしていたアレとは違う、いわゆるひとつの「別の海」の輪郭鮮やかな、シーカヤックシーズンなわけです。
 よろしく。


天才について

2010-09-17 11:02:58 | インポート
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 いやあ、今年の夏は暑かったですね。
 さすがのぼくも、今年はしんどかったです。

 みなさんもこの暑さをそれぞれの方法でしのいでこられたことかと思いますが、ぼくの場合、よく寝てよく食べるというのはもちろんのこと、そういうフィジカルな部分だけではなくいい本を読んだりいい音楽を聴いたりして常に感性感覚をフレッシュに、ハイな状態に保つことってのが大事で、要するに気持ちが高揚したり豊かなイメージが心に飛来してきたりすることによってなにやら内側から生命感が湧きあがってきてしんどいとかクソ暑いとかそういうものを蹴散らすことができる、という性質をしています。
 特に天才の人の作品などに触れると、全くバテたり、風邪ひいたりすることがなくなるのが不思議です。
 ま シーカヤックも同じく感性感覚ビンビンの世界だからそうなのかもしれないなと思います。
 海も天才ですからね。
 数年前にもそういう感じでヘンリーミラーの小説の話を書きましたが、今年はたとえば「弾くピカソ」と言われたこんな天才のジャズピアノプレイがグッとキましたね。
 http://www.youtube.com/watch?v=SmhP1RgbrrY
 (サックスソロが終わってピアノソロが入る3分10秒目あたりからに注目)

 ・・・・と、余談が長くなりましたが、9月24日(金)にシーカヤックスキルアップ講習会がスケジュールとして加わりましたので、そのお知らせをしておきます。
 この水温の高い時期にパドリングスキル&レスキュースキルを身につけておくとのちのちにプラスになってきますので是非お勧めいたします。
 http://homepage3.nifty.com/creole/skillup.htm


秋のカヤックトリップツアーの追記

2010-09-03 10:43:52 | インポート
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 先日お伝えした秋のカヤックトリップツアーの追記として、9月5日(日)の日高川ツアーが9月11日(土)に変更となりました。
 http://homepage3.nifty.com/creole/hidakagawa.htm

 この、夏の終わり/秋の初めの日高川の風情も味わいがあって、快感度/癒し感覚の高い人気のツアーです。
 湯浅からも近場でアクセスしやすく、
 しかも自然が濃密なフィールドです。

 もちろんこの時期の湯浅湾のシーカヤックツアーも、
 海景全体に透明度が感じられるようになってきて、
 真夏のギラギラ感とはまた違った美しさがあってお勧めです。

 その他のカヤックトリップツアーは前回お伝えした通りです。

9月7日(火) 南紀・みなべ海岸ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/minabe.html

9月9日(木) 湯浅南岸・シーカヤック&ミュージックツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/sirakuro.htm

9月11日(土) 日高川ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/hidakagawa.htm

9月14日(火) 南紀・田辺湾ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/tanabewantour.htm

9月16日(木) 南紀串本・シーカヤック&サンゴ礁シュノーケルツアー(ワンデイ)
http://homepage3.nifty.com/creole/kusimototour.htm

9月23日(木・祝日) 産湯海岸ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/ubuyutour.htm

9月26日(日) 熊野川ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/kumanogawatour.htm

10月5日(火)~7日(木) 高知西南岸シーカヤック&サンゴ礁シュノーケルツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/oodou.html

10月16日(土) 日高川ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/hidakagawa.htm

10月19日(火) 南白浜ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/minamishirahamatour.html

10月30日(土)~10月31日(日) 内田正洋氏といく、やびつ海岸キャンプツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/oct3031tour.html

11月20日(土) 南白浜ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/minamishirahamatour.html

11月23日(火・祝日) 名張・青蓮寺湖紅葉ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/shourennji.htm

12月4日(土) 徳島・ひわさツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/hiwasatour.htm

12月12日(日)近江八幡水郷ツアー
http://homepage3.nifty.com/creole/suigoutour.htm