増補改訂しました。
帝 テイ・みかど 巾部
「漢字演変字典1000例」の帝(東方出版中心・中国)より
解字 甲骨文字は三本脚をH印でしばった形の祭卓(神を祭る机)の形。意味は、①神名。上帝とも呼ばれる。②祭祀名、③先王の別称、に使用される(甲骨文字辞典)。金文から祭卓に供物(-印)をのせた形。意味は、①祖先の王の称、②君主の代称、③諸神の主宰者、などとして用いられた。のち、天下を治める「きみ」の意に用いる。
意味 (1)天の神。あまつかみ。「天帝テンテイ」「上帝ジョウテイ」 (2)みかど(帝)。天子。天皇。「帝王テイオウ」「皇帝コウテイ」「帝都テイト」(天子のいる都)「帝国テイコク」(①皇帝の統治する国家。②大日本帝国の略)
イメージ
「神を祀る祭卓」(帝)
祭卓の脚部を「むすぶ」(締)
「形声字」(蹄・諦・啼・蒂)
「その他」(啻)
音の変化 テイ:帝・締・蹄・諦・啼・蒂 シ:啻
むすぶ
締 テイ・むすぶ・しめる 糸部
解字 「糸(ひも)+帝(むすぶ)」 の会意形声。糸(ひも)でしっかりと結ぶこと。むすぶ、転じて条約などをとりきめる意となる。日本では、ゆるみのないようにしめる意で用いる。
意味 (1)むすぶ(締ぶ)。とりきめる。「締結テイケツ」「締約テイヤク」 (2)しめる(締める)。しまる(締まる)。しめくくる。「帯を締める」「締め込み」(力士のふんどし)「ネジを締める」「心を引き締める」「締め切り」
形声字
蹄 テイ・ひづめ 足部
解字 「足(あし)+帝(テイ)」の形声。後漢の字書[釋名シャクミョウ]は「蹄、底テイ(そこ)也(なり)」とし、馬や牛の足の底(そこ)、すなわち地面にふれる部分をいい、足の角質部分(爪)をいう。また、締テイ(しめる)に通じ、兔などの足を締めて捕る「わな」をいう。
意味 (1)ひづめ(蹄)。牛・馬・羊などの足の端に発達している硬い爪。「有蹄類ユウテイルイ」(ひづめのある動物)「蹄鉄テイテツ」(ひづめの底につける鉄具)「口蹄疫コウテイエキ」(口の中や蹄の付け根などの柔らかい部位に水泡が発生する伝染病) (2)わな(蹄)。兔を捕るわな。まるく締めたわな。「蹄筌テイセン」(兔わなと、魚をとるわな)
諦 テイ・タイ・あきらめる・つまびらか 言部
解字 「言(いう)+帝(テイ)」 の会意形声。テイは逓テイ(つぎつぎと伝える)に通じ、言葉でつぎつぎと詳しく伝えること。つまびらかにする意となる。仏教用語では、まこと・真理をいう。日本では、真理を悟る意から「あきらめる」意となった。
意味 (1)つまびらか(諦らか)。あきらか。「諦思テイシ」(つまびらかにして思う) (2)[仏]まこと。真理。また、それをさとること。「要諦ヨウテイ」(①肝要なさとり。②[国]肝心な点。大切なところ。) (2)[国]あきらめる(諦める)。「諦観テイカン」(①全体を見通し見きわめる。②[国]あきらめ悟る。③[仏]真理をさとる)
啼 テイ・なく 口部
解字 「口(口から出す声)+帝(テイ)」の形声。テイは逓テイ(旧字は遞テイ。つぎつぎと伝える)に通じ、鳥や獸などがつぎつぎと続けて鳴く意。また、人が涙を流して泣く意にも用いる。この字は篆文(説文解字)がなく、嗁テイ(なく。さけぶ)が同字とされる。
意味 (1)なく(啼く)。鳥や獣などが鳴く。「啼鳥テイチョウ」 (2)人が涙を流して泣く。「啼泣テイキュウ」「啼哭テイコク」
蒂 テイ・タイ・へた 艸部
解字 「艸(植物)+帝(テイ・タイ)」の形声。テイ・タイは蔕テイ・タイ(へた)に通じる。蒂は蔕の異体字で、蔕の下部を音符・帝に替えた字。
柿のへた
意味 (1)へた(蒂)。ほぞ(蒂)。果実が枝または茎につくところ。「果蒂カテイ」(果物のへた)「柿蒂シテイ」(柿のへた。しゃっくり止めの漢方薬になる)「柿蒂湯シテイトウ」(しゃっくり止めの漢方薬)
啻 シ・ただ 口部
参考 啇[啻]
解字 金文・篆文は啻テイ・タイ・シで、「帝テイ+口サイ(祝詞を入れた器。祭祀を象徴する)」の会意。帝は、神をまつるときに供物を載せる祭卓を描いた象形で、そこに神祭りを意味する口サイのついた啻テイ・タイ・シは、帝をまつる意となり、「帝を祭ることのできる者」のイメージがある。啇テキは、啻が変形した異体字で、帝の巾と口があわさって古となり、啇の形になった。発音もテキ・チャクに変化した。音符「啇テキ」へ
啇テキの原字である啻テイ・タイ・シは、のちに発音がシのみになり、意味も「帝を祭ることのできる者」の意から限定する意味の助詞「ただ・ただに」となった。
意味 ただ(啻)。ただに(啻に)。数量、行為などが、ある範囲に限定されることを示す。「不啻~」(啻ただ~のみならず(不))「何啻~」(何(なん)ぞ啻(ただ)に~のみならんや」
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
帝 テイ・みかど 巾部
「漢字演変字典1000例」の帝(東方出版中心・中国)より
解字 甲骨文字は三本脚をH印でしばった形の祭卓(神を祭る机)の形。意味は、①神名。上帝とも呼ばれる。②祭祀名、③先王の別称、に使用される(甲骨文字辞典)。金文から祭卓に供物(-印)をのせた形。意味は、①祖先の王の称、②君主の代称、③諸神の主宰者、などとして用いられた。のち、天下を治める「きみ」の意に用いる。
意味 (1)天の神。あまつかみ。「天帝テンテイ」「上帝ジョウテイ」 (2)みかど(帝)。天子。天皇。「帝王テイオウ」「皇帝コウテイ」「帝都テイト」(天子のいる都)「帝国テイコク」(①皇帝の統治する国家。②大日本帝国の略)
イメージ
「神を祀る祭卓」(帝)
祭卓の脚部を「むすぶ」(締)
「形声字」(蹄・諦・啼・蒂)
「その他」(啻)
音の変化 テイ:帝・締・蹄・諦・啼・蒂 シ:啻
むすぶ
締 テイ・むすぶ・しめる 糸部
解字 「糸(ひも)+帝(むすぶ)」 の会意形声。糸(ひも)でしっかりと結ぶこと。むすぶ、転じて条約などをとりきめる意となる。日本では、ゆるみのないようにしめる意で用いる。
意味 (1)むすぶ(締ぶ)。とりきめる。「締結テイケツ」「締約テイヤク」 (2)しめる(締める)。しまる(締まる)。しめくくる。「帯を締める」「締め込み」(力士のふんどし)「ネジを締める」「心を引き締める」「締め切り」
形声字
蹄 テイ・ひづめ 足部
解字 「足(あし)+帝(テイ)」の形声。後漢の字書[釋名シャクミョウ]は「蹄、底テイ(そこ)也(なり)」とし、馬や牛の足の底(そこ)、すなわち地面にふれる部分をいい、足の角質部分(爪)をいう。また、締テイ(しめる)に通じ、兔などの足を締めて捕る「わな」をいう。
意味 (1)ひづめ(蹄)。牛・馬・羊などの足の端に発達している硬い爪。「有蹄類ユウテイルイ」(ひづめのある動物)「蹄鉄テイテツ」(ひづめの底につける鉄具)「口蹄疫コウテイエキ」(口の中や蹄の付け根などの柔らかい部位に水泡が発生する伝染病) (2)わな(蹄)。兔を捕るわな。まるく締めたわな。「蹄筌テイセン」(兔わなと、魚をとるわな)
諦 テイ・タイ・あきらめる・つまびらか 言部
解字 「言(いう)+帝(テイ)」 の会意形声。テイは逓テイ(つぎつぎと伝える)に通じ、言葉でつぎつぎと詳しく伝えること。つまびらかにする意となる。仏教用語では、まこと・真理をいう。日本では、真理を悟る意から「あきらめる」意となった。
意味 (1)つまびらか(諦らか)。あきらか。「諦思テイシ」(つまびらかにして思う) (2)[仏]まこと。真理。また、それをさとること。「要諦ヨウテイ」(①肝要なさとり。②[国]肝心な点。大切なところ。) (2)[国]あきらめる(諦める)。「諦観テイカン」(①全体を見通し見きわめる。②[国]あきらめ悟る。③[仏]真理をさとる)
啼 テイ・なく 口部
解字 「口(口から出す声)+帝(テイ)」の形声。テイは逓テイ(旧字は遞テイ。つぎつぎと伝える)に通じ、鳥や獸などがつぎつぎと続けて鳴く意。また、人が涙を流して泣く意にも用いる。この字は篆文(説文解字)がなく、嗁テイ(なく。さけぶ)が同字とされる。
意味 (1)なく(啼く)。鳥や獣などが鳴く。「啼鳥テイチョウ」 (2)人が涙を流して泣く。「啼泣テイキュウ」「啼哭テイコク」
蒂 テイ・タイ・へた 艸部
解字 「艸(植物)+帝(テイ・タイ)」の形声。テイ・タイは蔕テイ・タイ(へた)に通じる。蒂は蔕の異体字で、蔕の下部を音符・帝に替えた字。
柿のへた
意味 (1)へた(蒂)。ほぞ(蒂)。果実が枝または茎につくところ。「果蒂カテイ」(果物のへた)「柿蒂シテイ」(柿のへた。しゃっくり止めの漢方薬になる)「柿蒂湯シテイトウ」(しゃっくり止めの漢方薬)
啻 シ・ただ 口部
参考 啇[啻]
解字 金文・篆文は啻テイ・タイ・シで、「帝テイ+口サイ(祝詞を入れた器。祭祀を象徴する)」の会意。帝は、神をまつるときに供物を載せる祭卓を描いた象形で、そこに神祭りを意味する口サイのついた啻テイ・タイ・シは、帝をまつる意となり、「帝を祭ることのできる者」のイメージがある。啇テキは、啻が変形した異体字で、帝の巾と口があわさって古となり、啇の形になった。発音もテキ・チャクに変化した。音符「啇テキ」へ
啇テキの原字である啻テイ・タイ・シは、のちに発音がシのみになり、意味も「帝を祭ることのできる者」の意から限定する意味の助詞「ただ・ただに」となった。
意味 ただ(啻)。ただに(啻に)。数量、行為などが、ある範囲に限定されることを示す。「不啻~」(啻ただ~のみならず(不))「何啻~」(何(なん)ぞ啻(ただ)に~のみならんや」
<紫色は常用漢字>
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