コロナ禍でなかなか外出できないなか、Googleストリートビューを使ったお手軽海外旅行にハマっています。
元はといえば、かつて仕事やプライベートで訪れたことがある街角が今どうなっているのか興味があって、ブラついてみたのが始まりですが、さすがに20~30年前とはだいぶ趣が違っていて、リモートツアーであってもなかなか楽しめます。
そんななか、1991年に仕事の視察で訪れたフランス・リヨンの街並みを徘徊している時、極めて神秘的なモノを発見しました。
いや、神秘的というほど高尚なものではなく、いわゆる「廃なもの」であります。
リヨンはフランスの中南部にあって、首都パリから500キロ弱に位置しています。
“美食の街”として知られ、確かに、ワインと共においしい食事をいただいたことは強く覚えています。
ローヌ、ソーヌ2つの川が合流する交通の要衝でもあります。
その2つの川が合流する三角州のエリア・・・コンフリュアンス地区は、今でこそ再開発で洗練されたデザインのショッピングセンターや前衛的な集合住宅、そして遊歩道などが整備されていますが、私が訪れた頃は刑務所、場、ガス製造工場などが立ち並ぶ殺伐としたエリアだったようです。そのためローヌ川とソーヌ川の合流点そのものを近くで観た記憶はなく、どこか近くの高台から眺めたようなうっすらとした記憶がある程度です。
そして、今回のリモート旅で見つけたその「廃なもの」は、この合流点の先端部、下の地図の赤丸を付けた場所にありました。
ご覧のように崩れかけた石畳の中に埋まった線路が、緩やかな傾斜で川の中に吸い込まれていっているじゃありませんか!
ちなみに左がローヌ川、右がソーヌ川で、先端に見えるのは衝突防止用のサインと思われます。
(Google ストリートビューより)
振り返ると再開発地区に出来た「合流博物館」が見え、線路はそこへ向かって一直線に伸び、途中から地面の中に消えています。
(Google ストリートビューより)
上空から見ても水中にしっかりとレールらしきものが沈んでいるのが見て取れます。
(Google ストリートビューより)
この廃なもの、実は去年のうちに見つけていたのですが、「リヨン」「合流」「レール」など(日・仏)で検索してもヒットせず悶々としていたものです。
ところが今朝、ふと思い出して再び検索していくうちに、「ダム」というキーワードが出てきました。
こんなに急流でもない広く穏やかな川面なのにダムがあった?
結論から言うとありました。
かつてソーヌ川には1882に竣工し1966年まで稼働したダム(堰堤)とロックゲート(閘門)があって、くだんの線路は、そのメンテナンス用の資器材を運ぶためのワゴン(トロッコのようなものか?)を走らせるために使われていたそうです。
Twitterでとても鮮明なカラー写真を発見しました。絵葉書のようです。写真の一番下にダムと閘門が見えます。コンフリュアンス地区には港があって舟運も盛んでしたが、ソーヌ川はローヌ川より1メートルほど低かったことから、水深を稼いで大量の船舶を安全に航行させるためにダムとロックゲートが造られたということです。
(Mémento Lyon ;https://twitter.com/lyonmemento/status/1280426776720785408 より)
上の写真ではローヌ川の方へも水が落ちている様子がうかがえるので、現在の航空写真に重ねてみるとだいたいこんな感じでL字型のダムが建設されていたのではないかと推定されます。1966年に下流に別のダムができたためダム本体はすべて撤去されたとのことですが、ロックゲートの擁壁は残されたとのことで、写真でもその様子がはっきりとうかがえます。
(Google ストリートビューより)
ダムの建設の経緯や様子などは下のサイトで知ることができますので、興味のある方はご参照ください。
ただし、建設に使用されたトロッコの写真はあっても、実際にあのレールの上を走ったであろうメンテ用のトロッコの写真はありませんでした。残念!
◆The mysterious rail tracks in Confluence
https://www.comhic.com/en/the-mysterious-rail-tracks-in-confluence/
◆Narrowboat Dream On : Barrage et écluse de la Mulatière, près de Lyon (1876-1882)
ということで、キニ15の仕上げを予定していた1日がズルズルと終わってしまいそうですが、長らくもやもやしていた疑問が解明されてすっきりしました。
まあこの先コロナが落ち着いたとしても実際にリヨンを訪れることはないと思いますが、万一その機会があれば、この目で実際に水中に沈み込んでいく線路を心ゆくまで堪能したいと思います。
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元はといえば、かつて仕事やプライベートで訪れたことがある街角が今どうなっているのか興味があって、ブラついてみたのが始まりですが、さすがに20~30年前とはだいぶ趣が違っていて、リモートツアーであってもなかなか楽しめます。
そんななか、1991年に仕事の視察で訪れたフランス・リヨンの街並みを徘徊している時、極めて神秘的なモノを発見しました。
いや、神秘的というほど高尚なものではなく、いわゆる「廃なもの」であります。
リヨンはフランスの中南部にあって、首都パリから500キロ弱に位置しています。
“美食の街”として知られ、確かに、ワインと共においしい食事をいただいたことは強く覚えています。
ローヌ、ソーヌ2つの川が合流する交通の要衝でもあります。
その2つの川が合流する三角州のエリア・・・コンフリュアンス地区は、今でこそ再開発で洗練されたデザインのショッピングセンターや前衛的な集合住宅、そして遊歩道などが整備されていますが、私が訪れた頃は刑務所、場、ガス製造工場などが立ち並ぶ殺伐としたエリアだったようです。そのためローヌ川とソーヌ川の合流点そのものを近くで観た記憶はなく、どこか近くの高台から眺めたようなうっすらとした記憶がある程度です。
そして、今回のリモート旅で見つけたその「廃なもの」は、この合流点の先端部、下の地図の赤丸を付けた場所にありました。
ご覧のように崩れかけた石畳の中に埋まった線路が、緩やかな傾斜で川の中に吸い込まれていっているじゃありませんか!
ちなみに左がローヌ川、右がソーヌ川で、先端に見えるのは衝突防止用のサインと思われます。
(Google ストリートビューより)
振り返ると再開発地区に出来た「合流博物館」が見え、線路はそこへ向かって一直線に伸び、途中から地面の中に消えています。
(Google ストリートビューより)
上空から見ても水中にしっかりとレールらしきものが沈んでいるのが見て取れます。
(Google ストリートビューより)
この廃なもの、実は去年のうちに見つけていたのですが、「リヨン」「合流」「レール」など(日・仏)で検索してもヒットせず悶々としていたものです。
ところが今朝、ふと思い出して再び検索していくうちに、「ダム」というキーワードが出てきました。
こんなに急流でもない広く穏やかな川面なのにダムがあった?
結論から言うとありました。
かつてソーヌ川には1882に竣工し1966年まで稼働したダム(堰堤)とロックゲート(閘門)があって、くだんの線路は、そのメンテナンス用の資器材を運ぶためのワゴン(トロッコのようなものか?)を走らせるために使われていたそうです。
Twitterでとても鮮明なカラー写真を発見しました。絵葉書のようです。写真の一番下にダムと閘門が見えます。コンフリュアンス地区には港があって舟運も盛んでしたが、ソーヌ川はローヌ川より1メートルほど低かったことから、水深を稼いで大量の船舶を安全に航行させるためにダムとロックゲートが造られたということです。
(Mémento Lyon ;https://twitter.com/lyonmemento/status/1280426776720785408 より)
上の写真ではローヌ川の方へも水が落ちている様子がうかがえるので、現在の航空写真に重ねてみるとだいたいこんな感じでL字型のダムが建設されていたのではないかと推定されます。1966年に下流に別のダムができたためダム本体はすべて撤去されたとのことですが、ロックゲートの擁壁は残されたとのことで、写真でもその様子がはっきりとうかがえます。
(Google ストリートビューより)
ダムの建設の経緯や様子などは下のサイトで知ることができますので、興味のある方はご参照ください。
ただし、建設に使用されたトロッコの写真はあっても、実際にあのレールの上を走ったであろうメンテ用のトロッコの写真はありませんでした。残念!
◆The mysterious rail tracks in Confluence
https://www.comhic.com/en/the-mysterious-rail-tracks-in-confluence/
◆Narrowboat Dream On : Barrage et écluse de la Mulatière, près de Lyon (1876-1882)
ということで、キニ15の仕上げを予定していた1日がズルズルと終わってしまいそうですが、長らくもやもやしていた疑問が解明されてすっきりしました。
まあこの先コロナが落ち着いたとしても実際にリヨンを訪れることはないと思いますが、万一その機会があれば、この目で実際に水中に沈み込んでいく線路を心ゆくまで堪能したいと思います。
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