【写真:6月にオープンする田舎暮らし体験施設の一つ「さきち」=長浜市木之本町杉野で】
田舎暮らしに興味はあるけど、実際にやったら大変そう-。そんな迷いを解消できるかもしれない3つの体験施設が長浜、高島両市で6月にオープンする。いずれも県内初の試みで、古民家を活用する。長くて1カ月ほど住宅として使ってもらう。都市住民に地方の生活を試してもらい、定住化につなげたいとの狙いもある。
3施設は、長浜市木之本町木之本の「寺吉」、同町杉野の「さきち」、高島市安曇川町中野の「風結い」。休みの間だけ農山漁村で生活したり、U・Iターンの促進を目的とした国の「地域住宅モデル普及推進事業」の補助を受けて、古民家の改修費の9割をまかなった。
さきちと風結いは、地元の住民や建築、設計業者らが申請。寺吉は、家主に依頼された民間団体が中心になって計画を進めた。最低7年間は体験用の運営が義務付けられる。
田舎体験の拠点が整備された背景には、過疎化を食い止めたいとの考えがある。3施設がある長浜市木之本町と高島市はともに人口が減り、高齢化も進む。さきちのある杉野地区は人口に占める65歳以上の割合が約29%。3人に1人がお年寄りだ。
さきちの改修を手掛けた地元住民でつくる「新世会」の事務局の松本長治さん(43)は「地元の衰退をだまって見ていられなかった」と思いを語る。
「地域をよく知ってもらうのに役立つ」。都市住民の移住促進を進める県自治振興課の辻勝郎主査は、施設の意義を説明する。
移住で問題になりやすいのは、生活習慣の違いで起こる住民とのトラブルだ。従来は、住んでみるまで細かい事情を知りづらく「いきなり判断を迫られる」(辻主査)。施設があれば、その土地が自分に合うか確認できる。
3施設は築100年前後の古民家を改修または移築。旅館やホテルのようなサービスはないが台所や風呂、トイレは現代的にした。冷蔵庫や洗濯機なども備え、気軽に田舎暮らしができるよう工夫した。
風結いを運営する市民団体「結びめ」の西川唱子さん(29)は「観光や催しでの利用も歓迎」とPR。寺吉の予約を受ける「いざない湖北定住センター」の豊田綾さん(30)は「滞在できるのが強み。いろいろ見て回ってほしい」とアピールする。
松本さんは「地域を良くしようと取り組んだ象徴」と受け入れ側への利点を指摘。「地縁の無い人に住んでもらうには、こちらも努力が必要。それを自覚するきっかけになった」と話している。 (対比地貴浩)
(5月16日付け中日新聞・電子版9
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20100516/CK2010051602000008.html
田舎暮らしに興味はあるけど、実際にやったら大変そう-。そんな迷いを解消できるかもしれない3つの体験施設が長浜、高島両市で6月にオープンする。いずれも県内初の試みで、古民家を活用する。長くて1カ月ほど住宅として使ってもらう。都市住民に地方の生活を試してもらい、定住化につなげたいとの狙いもある。
3施設は、長浜市木之本町木之本の「寺吉」、同町杉野の「さきち」、高島市安曇川町中野の「風結い」。休みの間だけ農山漁村で生活したり、U・Iターンの促進を目的とした国の「地域住宅モデル普及推進事業」の補助を受けて、古民家の改修費の9割をまかなった。
さきちと風結いは、地元の住民や建築、設計業者らが申請。寺吉は、家主に依頼された民間団体が中心になって計画を進めた。最低7年間は体験用の運営が義務付けられる。
田舎体験の拠点が整備された背景には、過疎化を食い止めたいとの考えがある。3施設がある長浜市木之本町と高島市はともに人口が減り、高齢化も進む。さきちのある杉野地区は人口に占める65歳以上の割合が約29%。3人に1人がお年寄りだ。
さきちの改修を手掛けた地元住民でつくる「新世会」の事務局の松本長治さん(43)は「地元の衰退をだまって見ていられなかった」と思いを語る。
「地域をよく知ってもらうのに役立つ」。都市住民の移住促進を進める県自治振興課の辻勝郎主査は、施設の意義を説明する。
移住で問題になりやすいのは、生活習慣の違いで起こる住民とのトラブルだ。従来は、住んでみるまで細かい事情を知りづらく「いきなり判断を迫られる」(辻主査)。施設があれば、その土地が自分に合うか確認できる。
3施設は築100年前後の古民家を改修または移築。旅館やホテルのようなサービスはないが台所や風呂、トイレは現代的にした。冷蔵庫や洗濯機なども備え、気軽に田舎暮らしができるよう工夫した。
風結いを運営する市民団体「結びめ」の西川唱子さん(29)は「観光や催しでの利用も歓迎」とPR。寺吉の予約を受ける「いざない湖北定住センター」の豊田綾さん(30)は「滞在できるのが強み。いろいろ見て回ってほしい」とアピールする。
松本さんは「地域を良くしようと取り組んだ象徴」と受け入れ側への利点を指摘。「地縁の無い人に住んでもらうには、こちらも努力が必要。それを自覚するきっかけになった」と話している。 (対比地貴浩)
(5月16日付け中日新聞・電子版9
http://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20100516/CK2010051602000008.html