地球散歩♪

いもとなおこのBLOG

モザンビークの楽園編。

ホテル・ルワンダ

2006年07月04日 | rwanda
初めてこの映画を観たのはルワンダに行く前だったから
行った後ならどう思うだろうと思って
日曜日の朝にわざわざ調布まででかけた

「ホテル・ルワンダ」は
1994年の4月6日から
100日間に80万人が殺された「ルワンダ大虐殺」を描いたもので
アカデミー賞主演男優賞にドン・チードルがノミネートされたりして話題を呼んだのに
日本では上映されなかったので
「ホテル・ルワンダを日本で上映しよう!」という市民運動ができて
配給会社がようやく重たい腰を上げたもの

この映画をきっかけに
多くの人がアフリカのど真ん中の四国くらいの大きさの国で起こった
人類史上稀に見る大惨事が広く世に知られたことは
自分の人生を変えるくらいの衝撃を94年に受けた者としては
嬉しい限りである

もう一回観てみて・・・
初めて観たときも 「足りない」と思ったけど
ますます思った

残忍さが足りない

私は94年のルワンダの出来事を知りすぎてしまっている
文献もいっぱい読んでいるし
修士論文にも書いたし
主人公のモデルとなったポール・ルセサバギナ氏が書いた本も読んでるし
何よりかの地に8ヶ月住んでいたのだから・・・

だから一般の人のようには見られないけど
「こんなもんじゃないよ」という気持ちが消えなかった

実際は映画の100倍くらい残酷だ
映画には実際に人が殺されているシーンはなかったように思う
「ホテル・ルワンダ」は虐殺の中でも多くの人を守った勇敢なホテル支配人のことを描いたものであって
ほとんどすべてのシーンに彼がいて
ホテル・ミルコリンの外で起こったことは
少ししか描かれていない

確かにハリウッド映画だから
大衆映画だから仕方がない
そういう意味では このくらいのタッチで良かったのだと思う
だってもっとグロテスクにしてたら
映画観たあと食事できなくなっちゃったりしたら大変だものね・・・


ルワンダ人の反応はというと・・・

「あんなのは嘘っぱちだ
実際はミルコリンでも沢山の人が死んだんだ」
という声を何度か聞いた

私がよくお世話になった運転手は
虐殺中 ホテル・ミルコリンで従業員として働いていた
彼曰く 「ポールは全く信用できない
あの映画も自分の名誉のためだけに出来上がっている」

彼を含め ルワンダの人は映画やポール・ルセサバギナ氏のことをあまり良く思っていないようだ

大統領さえも批判している
(そりゃそーだ 彼の本の中では 今のカガメ政権を批判しているから)

国連軍の指揮官は ルセサバギナの力でミルコリンが救われたのではなく
国連軍の兵士が守っていたのだと言う
(ルセサバギナは自分の本では「ホテルを守ってくれた国連軍は無能だった」と言うし)
どれが本当かはわからない


ルワンダ滞在中 私はミルコリンを本当によく利用した
最初に泊まったし
プールで泳いだし
ランチを食べに行ったり
打ち合わせの場所に使ったりした
スタッフとも仲良し

今は虐殺なんてまったく感じさせない
ルワンダトップクラスの格調高いホテルだ
(マネジメントが変わって値上げしたし。今は1泊150ドルくらいする)

・・・長くなってしまった

まだ観てない人は
DVDが出たら観てください!
そして観た方は どう思ったか
率直な感想をお聞かせ下さい~

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12 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (makicita)
2006-07-04 08:27:58
私もこの間大学でDVDを借りてみました。

みんなが「恐ろしい映画だよ。」というので、私は1人で見るのが怖かったのですが、見終わって、



「えっ???」



と思いました。 映画だから残虐なシーンをおもいっきり描写できないのかもしれないけれど、私も直歩子さんが思われたように、



「こんなもんじゃないでしょう。」



という感じでした。 もし本当にルワンダで何があったかを伝えたかったならば、もっと真実を描写すべきだったのではないかなぁと感じました。 あと、あまりにも国連や西側が批判されていて、見終わった私は、



「国連って役に立ってないん??」



なんて思ってしまいました。 確かに物議はあると思うけれど、実際はやっぱり国連の存在の意味はあると思うので、ああいう描写はどうなのかなって思ったりもしました。 



見終わった後は、言葉は悪いけど、期待はずれだったかもしれません。 でも開発に従事しようとする者にとってはそうであっても、一般大衆に訴えかけるには良いのかなぁなんて思ったり。 やっぱり本を読まないとダメだよね、なんて思いながら返却しました。(笑)
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私は (ka-)
2006-07-05 08:10:37
映画として良かったと思います☆

もちろん現実はこの100倍とかの残虐さってことも十分理解でき

るし、ごく一部の視点でしか描かれてないとの事もわかります。



けれども、ジェノサイドを全く知らない(聞き流していた)

ヒトに少しでも知ってもらうことには成功していると思います。



って、本当は最初から超事実を知れればいいのですが、いまや

メディアにでもとりあげられないと知らない人達は知る機会

がない。だから、これを機に本当の事をもっと調べる人が

増えれば良いと思ってます。



映画って、どんな映画でもそうですがいくらノンフェクションでも

絶対に"リアル"にはなれないから。。。



まぁぬるい日本で育った自分は、この映画でも十分圧倒は

されました

けれども現実はもっとスゴイはず。ってかあのimonaoさんの

ニャマタの写真でもびびりましたもん。なんか出てますオーラ





だから、単純に映画として良かったです
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thanks! (imonao)
2006-07-06 14:30:42
makicitaさんへ

実際、ルワンダでの国連軍は無能だったと私は思いますよ!現場にいた500数名はできる限りのことをしたかもしれないけど、『ルワンダ人を守る』という意味では、残念ながら、歴史上最低のPKOだったと思います だって現場から、虐殺が起こる可能性があると情報を受けているのに、NYはルワンダを軽視して何のアクションもとらなかったんですから・・・。国連の失敗に関しては、長くなるのでまた別の機会に書きます



ka-さんへ

私も同感です。少しでも知ってくれる人が増えてよかった。私がルワンダ行くとき、ルワンダのこと知らない人があまりにもいて驚きましたけど、今でもやっぱ知らない人は多いですね。別に知らなくても何の影響もないですしね・・・。

しかし日本にいるとアフリカの情報が入ってこないですね!メディアの視野が完全に歪んでいる気がします。 
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Unknown (なまけもの)
2006-07-07 09:19:41
"Cry Freetown"を最後まで見られなかった私は、当然この映画は見られないシーンが沢山あるだろう、と思って見ていません。
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観たい! (imonao)
2006-07-07 15:04:45
なまけものさん

Cry Freetown, 観てないんですよ、私。DVDとか出てますか?フリータウンにいたのに。



私も怖い映画大っ嫌いで、『火サス』でさえ見られないくらいなんですよ。

でもルワンダに関しては、慣れちゃいました。実際の虐殺現場見たり、生存者から生々しい話聞いてたからだと思うんですけど、なんていうか、麻痺しちゃった感じです。ホテル・ルワンダは全然怖くないですよ。って説得力ないかな???
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物足りなかったです (かめいし)
2006-09-18 15:08:40
初めまして。 昨日(9月17日)、今頃DVDで観ました。

で、ホテルの名前でグーグルで検索してこちらにたどり着きました。

ルワンダにもいらっしゃったということで、アジス時代に一緒

だった佐々木さん一家とも面識があったりするのかなあ?と

勝手に親近感を覚えました。



さて、映画の感想ですが、

「あれ、この程度でおわっちゃうの?」という気持ちとともに

エンディングを迎えました。



ルワンダにもそこで起こったことについてもほとんど知らない

ので、マスコミから入ってくる情報で勝手に想像をたくましく

してしまっていた結果だと思います。



もっとひどい生々しい様子が描かれているものと思っていました。



でも、普段はアフリカの多くの国々にほとんど関心を持たない

日本で多くのマスコミに取り上げられて、多くの方々がご覧に

なったと言うこと、その一点でこの映画は大きな意味を持ったと

思います。

(すでに書かれていることと重複してますが。)
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そうですよね。 (imonao)
2006-09-19 10:50:05
本当に、同感です。

この映画をきっかけにルワンダという名前を始めて聞いた人がいたり、大虐殺なんて知りもしなかったという人が映画を見て、それだけでも私はとても嬉しかったです。



ルワンダの佐々木一家とも親しいですよ。子どもたちに水泳を教えていたのですが、一番下の子が、私が教えていたときは怖がって全然だめだったのに、この間再会したら「deep endも怖くないんだよ!」と言ってスイスイ泳げるようになっていてとても嬉しかったのです
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佐々木一家ごぞんじでしたか。 (かめいし)
2006-09-19 12:50:27
ともき君も大きくなったんでしょうね。

私がアジスを離れたのは2000年の春でしたので、まだまだ小さかったです。



奥さんには昨日mailしてブログ書きましょう、mixiに入りましょうって言っておきました。



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はじめまして (かぐや)
2006-09-20 16:38:36
ホテル・ルワンダ関係のつながりでここに行き着きました。



私も映画のほうを何ヶ月か前に見ました。



残忍さがたいしたことはないというのは、それはそうだろうと思います。ホロコースト関係の映画もいつもそう言われますよね。



でもその現場にいた人たちの経験したものを再現したらそれこそ映画を見てPTSD障害を引き起こすのではないかと思います。私が過敏なせいかもしれませんが、作り物の映画としてはあれで充分なんではないかと思います。所詮、実際に体験を潜り抜けた人の経験は当本人にしか分りえないものだと思うので。具体的な残忍さは再現できても、それに伴う先の見えない不安やあまりの残忍さに徐々に感覚が鈍っていく実際の経験者の心理などは再現できないと思います。



「ホテル・ルワンダ」の映画としての価値は、いもとなおこさんも既におっしゃられているように、一般的に知られていない史実を世に広めること、これをきっかけに本格的に興味を持ってくれる人を増やすことでしょうね。後は、見た人の分析力を頼みにするしかないですよね、残念ながら。そういう意味でも質の良い教育は大切だと思います。



それにしても、ホテルの支配人に対する見解はどうなんだろう、と映画を見て思っていました。あんな英雄的な描かれ方をして、でも明らかに自分の家族・財産を優先してる行動。(あの状況下では当然ですが。)そういう意味でもいもとさんのブログが読めて何よりでした。ありがとうございました。

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ルワンダ人の反応はどうなのか (imonao)
2006-09-20 18:40:25
確かに話題性、ジェノサイドの存在が認知されたことで私たちはOKです。

でもルワンダ人にとってみれば「あれっぽっち!ふざけんな!」って感じなのかも知れません。

それにポールさんだけが英雄になる描かれ方は、狭い、日本以上に「ムラ社会」のルワンダでは許されないのかも、という気がしていました。

ジェノサイドのこと、ルワンダのことが世界中に知られて良かった、というような思いはまったくないみたいです。まぁルワンダ人は、ジェノサイドの経験を忘れるな、とは良く言いますが、そのイメージだけっていうのも屈辱みたいですね。(実際他にあまり売り物がないのですが



それにしても、私が気になったのはあの日本語のキャッチコピー。「愛する家族を守るために・・・」だっけな?何か、ジェノサイドの現実と妙にずれていてズッコケ(死語)ました。 
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