新庁舎の建設については、庁内各部局からの職員で構成されるプロジェクトチームが結成され、現在、秋の完成をめざして実施設計の関連事務が行われています。 *所管:総務部
島本町議会6月定例会議の一般質問では、主に省エネルギー対策と財政的課題について問いました。町長執行部からは、財政上の課題があり、法律に基づき求められる性能は遵守する、との姿勢が示されました。
以下、質疑答弁を要約します(文責:とだ)。
新庁舎建設デザイン設計 ~省エネ対策~
省エネ対策の基本姿勢について。
問
ZEB(Net Zero Energy Building)の申請は見送るが、建築費用等を考慮し、総合的に判断した上で、仕様については可能な限りこれに近づける、このように理解している。改めて確認する。
答
ZEB等の認証を受けて国の補助制度を活用するには、認証費用が必要なこと、設計後に国庫補助採択の有無が判明するなど、財政面と事務処理手続きの両面において影響が大きい。
総事業費の範囲内で、費用対効果を比較検証しながら設備機器等の選定に配慮し、実施設計を進めている。*基本設計書概要版
電気需要の平準化(ピークカット)について
問
省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)には、東日本大震災を踏まえて電気需要のピークカットが内容に盛り込まれている。建築デザイン設計における省エネ対策においても、空調機能を抑制し、電力の消費量を平準化する、こういう発想が必要と考える。
答
災害時に備え、空調負荷を抑制し、電力消費量を平準化することや、電気に多く頼らない省エネ設計にするというのも重要な考え方の一つであると認識する。
しかしながら財政的な課題がある。新庁舎建設にあたっては、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に基づき、法律の定める基準に適合させたうえで、総事業費の範囲内において、省エネに配慮した建物にしたいと考えている。
壁面窓ガラスについて
問
外壁部分に壁面ガラスが多く採用されている。窓の多用は、ガラスとサッシの性質から熱の逃げ道となり、室内温度をコントロールするという点においては弱点となる。ここをどう補うかが、建築デザイン設計の課題になるのではないか。
答
自然採光によって省エネルギー化を進めることは、災害によって電力が遮断した際、災害拠点施設としての自立性と、昨日の持続性を高めることにつながるものと考える。
外壁の窓については、過度に面積が多くならないよう、一定抑制するとともに、バランスよく配置する必要があるものと認識し、面積を削減したものとなっている。
遮蔽の工夫について
問
平米当たりの熱貫流率の数値が異なるペアガラス、トリプルガラス、真空ガラスなど、様々な商品が既に流通している。費用対効果を考えるとペアガラスを採用することになるかと思う。
冬場の熱損失だけではなく、夏の日射熱の侵入をカットする工夫も必要と考える。直射日光を避けつつ、勤務時間の開放性を損なわない工夫が行われているか。
答
断熱性の高い複層ガラスを採用し、建物南側については遮熱性に優れたLow-E複層ガラスを採用する。夏場における日射遮蔽の工夫としては、建物周囲に庇やバルコニー、ルーバーを設置することで建物内への日射抑制が図れるものと考える。
サッシの素材について
問
紫外線に弱いとされる樹脂を内側に使用して断熱性を高め、これにより結露を防ぐアルミ樹脂複合サッシが流通しはじめている。サッシの素材について費用対効果をしっかりと検証しているか。
答
アルミと樹脂を使用した複合サッシや、樹脂製サッシについては、近年、一般住宅において採用されているケースがあることは認識している。中高層建築物では採用されている事例は少ないものと聞き及ぶ(費用対効果)。
樹脂製や木製サッシと同様、複合サッシは一般的なアルミサッシより相当コスト増が見込まれる。新庁舎は、計画当初において役場庁舎に標準的に要請される限度の建物仕様とする方針、すなわち可能な限り総事業費を抑制する方針で進めている。
***ここまで質疑答弁概略***
さらに、十分な断熱(素材、工法などの工夫)によって結露を防ぐことができれば、建物の劣化を抑制する効果が期待でき、また働く環境としても望ましいのでは?と考えを述べましたが、いずれもイニシャルコスト増になるため採用は困難との総務部長の答弁。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に基づき求められる性能があるため、これに適合するよう実施設計を進め、財政的課題をクリアしつつ、法律に基づき求められる性能を遵守するとのことです。 *つづく
画像
滋賀県・豊郷町の役場庁舎
令和4年2月22日完成
「酒蔵探訪まちあるき」にて撮る
*第11回日本酒探訪会6月12日