一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

拙局(前編)

2021-04-22 00:05:37 | LPSA麹町サロンin DIS
15日は午後1時から、水道橋で面接があった。今回はいままでと業種が違い、ある意味背水の陣である。給料はもちろん、勤務シフトや雇用形態もいままでとは違い、要するに著しく不本意なのだが、もはや贅沢を言っていられない状況だ。
面接が終わり、とりあえず自宅へ向かったが、家に着く数分前に「あっ」と思った。
この日の午前、Tod氏から久しぶりにメールがあり、今日はLPSA麹町サロンin DISに行く、とのことだった。講師は島井咲緒里女流二段である。
かつてのアイドル女流棋士もいまや四十路だが、その美貌に衰えはない。ためしにスマホで空き状況を見ると、1席空いていた。
しまった……。麹町サロンを思い出していれば、四ッ谷(麹町)はすぐ近くだった。お邪魔できたのではないか。
もう自宅に着いてしまったが、どうしようか。なんだか、このスーツ姿で麹町に乗り込みたくなった。
しかしLPSAは、現在はコロナ禍につき、電話予約を受け付けていない。そこで、メールを入れておき、返事を待たずに麹町に向かった。我ながらバカバカしい行動である。
途中、Tod氏にメールを入れる。Tod氏は空きがあると当日申し込むことがあり、今回もそのパターンだと、すでに満席の可能性があったからだ。
しかしTod氏は、今回は早くから申し込んでいた、とのことだった。
麹町に着くと、交差点付近でTod氏が待っていてくれた。なかなか義理堅い男である。ただ気分的には、このまま喫茶店でも行って将棋談義をしたいところだった。
麹町サロンin DISに入ると、2名が先着しており、3面が用意されていた。やはり4人目はいなかったのだ。でも私を見て、すぐにスタッフがもう1面を用意してくれた。
島井咲緒里女流二段は素敵なマスク姿だった。
「今日は会社帰りですか?」
「グッ……。面接の帰りです。もう長いこと求職をやっています」
そうか……。私の求職は、島井女流二段まで届いていなかったのだ。
もう2面の駒は並べられていた。私たちも早速駒を並べる。私を起点にして、Tod氏は右側に座り、平手を所望した。
左手は常連氏で、角落ちの終盤戦。前回の指し掛けのようだ。
向かい側の紳士は飛車落ちを所望した。私もそのくらいの手合いでお願いしたいが、相手が許さないだろう。3時3分、私の先手で始まった。

初手からの指し手(」「は、この間に島井女流二段がほかの将棋を見ていたことを意味する)。
「▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩」「▲4八銀△3二銀▲5六歩△4二飛」「▲5八金右△6二玉▲6八玉△7二玉」「▲7八玉△9四歩」(第1図)

私の居飛車明示に、島井女流二段が角道を止め四間飛車に振ったのは予想通り。対して私が▲5八金右としたのが早くも変調で、ここは▲6八玉だった。
△9四歩に次の手は。

第1図以下の指し手。「▲5七銀△9五歩」「▲2五歩△3三角」「▲8六歩△4三銀」「▲8七玉△5四歩▲7八銀△3二飛」(第2図)

穴熊党の島井女流二段が、先に玉側の歩を突くのは珍しい。対して私は、すぐに挨拶しないことが多い。すぐに受けるのは6割くらいではなかろうか。
今回も△9四歩を無視して▲5七銀と上がった。そこで相手が△9五歩なら、中央で手を進めるつもりだった。
しかし島井女流二段にノータイムで△9五歩と突き越されると、若干計算が狂った。
ここで5筋位取りの予定だったが、前回この戦法をやった気がする。そこで、天守閣美濃を選び、▲8六歩。と、ここまで快調に飛ばしてきた島井女流二段が、突然考えた。
そうして指した手は△4三銀で、ふつうの手だった。
ここで角落ち氏の将棋が終わり、角落ち氏の勝ち。快勝だった。
夕方の5時まで時間があるので、軽く感想戦をやったあと、2局目を始めた。LPSA麹町サロンは、2時間目一杯対局ができるのである。
私は▲7八銀と締め、一安心。そこで島井女流二段は△3二飛。ずいぶん早く先受けしてきた。

第2図以下の指し手。「▲3六歩△6二金▲4六歩△7四歩」「▲4五歩△4二飛」(第3図)

ここに至っても急戦か持久戦か迷っていたが、何となく▲3六歩。対して△6二金が島井女流二段らしからぬ力戦形の手で、穴熊でも美濃でもなかった。
△3二飛形だから、▲4六歩から▲4五歩を狙う。果たしてそうなり、島井女流二段は△4二飛。ここで次の手がマズかった。

(つづく)
コメント
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