一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

西山奨励会三段、奨励会を退会

2021-04-10 00:28:41 | 将棋雑記
いまさらだが、4月1日、西山朋佳奨励会三段が、奨励会を退会したのにはビックリした。
世の将棋ファンは最後まで西山四段誕生を期待していたから、力が抜けただろう。むろん私もそうだった。
返す返すも残念だったのは1年前の第66回三段リーグで、西山奨励会三段は14勝4敗の成績を取ったが、頭ハネで昇段できなかった。ここで女性初の四段になっていれば、藤井聡太王位・棋聖の活躍に匹敵するビッグニュースになったのだ。
過去同じ成績で昇段できなかった人は5名いたが、いずれも後に四段になっている。つまり実力があればいつか四段になれるというわけだが、西山さんには年齢制限が迫っており、前の5名とは事情が違っていた。
西山さんはこの6月27日で26歳。つまりここから先は三段リーグで勝ち越さないと、強制退会となる。とはいえあと1回は参加のチャンスがあったわけだが、当人はキッパリ四段の道を絶ったわけだ。
西山さんの談話を読むと、どうも14勝4敗で棋士になれなかったときから、引き際のタイミングを考えていたようである。
だが前回の三段リーグは途中まで8勝3敗だったし、その前も7勝3敗だった。しかし前回はそのあと6連敗(のあと1勝)、前々回は8連敗した。だがどちらのリーグも、13勝5敗で四段に昇段できていた。終盤の失速が痛すぎたのだ。
思うに、5敗か6敗をしたあたりで西山奨励会三段は緊張の糸が切れ、あとはズルズル負けを重ねたのだろう。
また第34期竜王戦6組から、奨励会員の優勝で次点1が付く新規定が出来たが、西山奨励会三段はこのベスト4を争う戦いにも負け、これがトドメになったようだ。
西山奨励会三段の退会も周囲が慰留したのだろうが、その決意は固かったのだろう。
ただ西山さんには、過去の里見香奈奨励会三段同様、希望がある。西山さんは同日付で女流三段になった。奨励会三段と女流三段は天と地ほどの実力の差があるから、世界一強い女流三段が誕生したわけだ。この女流棋界があるから、西山女流三段も潔く奨励会を退会したといえる。受け皿がないのに、盲目的に引退してしまった橋本崇載八段とはここが違う。
西山女流三段は女王・女流王座・女流王将のタイトルを持っているが、女王と女流王座の優勝賞金は公表されていて、それぞれ500万円である。つまり、もう一流棋士並みの収入があるわけで、ここから白玲や清麗を手にすれば、さらに1,500万円と700万円の賞金が手に入る。
また西山女流三冠の現状なら、男性棋戦のほとんどに女流棋士代表として参加できる。西山女流三冠がその気になれば、まだ棋士四段になれるチャンスはあるわけで、夢はいっぱいなのである。

そういう状況で西山女流三冠は6日、第14期マイナビ女子オープン第1局を迎えたわけだが、西山女王は挑戦者の伊藤沙恵女流三段に負けた。これから女流棋戦に専念できるからタイトル戦は盤石、と思いきや、そうはいかないのが将棋の難しいところである。
ともあれ、これからすべての女流棋戦に参戦するから、ほかの女流棋士は戦々恐々だろう。
否、四段の力量がある女性と戦えるのだ。「西山さんと戦いたい」くらいの意気込みでないといけない。
今年度は第1期白玲決定七番勝負もある。男性棋戦に劣らず、女流棋戦も話題いっぱいになるだろう。
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