一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

3月26日の大野金曜教室(後編)

2021-04-09 00:08:00 | 新・大野教室
W氏いわく、大手時計会社が、対局時計の生産を中止したとのこと。将棋関係者には聞き捨てならない事態だが、対局時計は一度買ってしまえば長期間持つうえ、購入層が異常に限られているので、需要が少ないのだろう。残念な話である。
続いて大野八一雄七段との指導対局である。前回の対局がいつかは忘れたが、私が負けている。もちろん本局は雪辱のつもりだった。

初手からの指し手。△6二銀▲7六歩△5四歩▲5六歩△5三銀▲2六歩△4二玉▲2五歩△3二玉▲4八銀△4二金▲4六歩△8四歩(第1図)

いつもの出だしだが、本局は飛車先の歩を換えるのを保留してみた。▲4八銀から▲4六歩。銀多伝もどきを想定している。

第1図以下の指し手。▲4五歩△8五歩▲7七角△6二金▲4七銀△6四歩▲6六歩△6三金▲6八銀△7四金▲6七銀△6五歩▲同歩△同金▲6六歩△6四金(第2図)

Tod氏はこれにて帰宅。神奈川県に住んでいる彼はどうしても退席が早くなる。今日は二枚落ち戦?の雪辱戦ができなかった。
私の右にはShin氏が入った。「今日は角落ちで」と言ったが、いつもは平手で教えてもらっているということだろうか。
私は▲4五歩と突いたが、ほかの対局が終わり感想戦に入ったため、長い間が空いてしまった。
△8五歩に▲7八金だと、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8五飛から、▲4五の歩を狙われる。かつて大野七段から、どこかの位を取って突っ張っているときは、上手の飛車先の歩の交換は甘受するくらいがいい、と言われたが、この局面でそれを許すことはできなかった。
私は▲4六銀-▲4七銀の形を完成させてかったが、大野七段の右金がスルスル出てきたので、左銀は6七に据えないといけない。すなわち私の銀多伝構想は、ここで破綻した。

第2図以下の指し手。▲4六銀△9四歩▲3六歩△7四歩▲7八金△7五歩▲6九玉△7二飛▲7五歩△同金▲5九角△7六歩▲5七銀△7四飛(第3図)

それでも私は右銀で▲4六銀。左辺は金銀でガッチリ受けたが、大野七段に△7二飛から△7六歩とガッチリ抑えられ、指しにくさを感じた。

第3図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2五飛△3四歩▲3五歩△3三金(第4図)

私はここで飛車先の歩を切る。△2三歩には▲2五飛とひとつ引き、プチ「一公流▲2五飛戦法」だ。
△3四歩にはすかさず▲3五歩。もし△同歩なら▲3四歩と垂らし、▲3五飛だ。これは一本取ったと思ったら、大野七段は力強く△3三金。まったく読んでおらず、私はすっかり考えてしまった。

第4図以下の指し手。▲4六銀△4二銀上▲2六飛△3五歩▲同銀△3四歩▲4六銀△7三桂▲3七桂△1四歩▲2五桂△2四金▲1六歩(第5図)

私の▲4六銀は落ち着いた手だったと思う。△3三金は力強いが、悪形でもある。お互い桂を跳び合ったあと、私は▲2五桂。上手は△2四金と出たが、この形は上手も本意ではないだろう。例えば▲3三歩△同桂▲同桂成△同銀に▲2五歩がある。
私は▲1六歩。上記変化もそうだが、何かのときの△1五金出を防いだ。だが、これが敗着になろうとは、夢にも思わなかった。

第5図以下の指し手。△6五歩▲同歩△同桂▲6六歩△2五金(途中図)
▲2五同飛△5七桂打▲5八玉△4九桂成▲同玉△4七金(第6図)

右のShin氏が「待ったしていいですか」とか言っている。これも自由度の高い大野七段との指導対局だからできることだろう。
大野七段は△6五歩。▲同歩△同桂▲6六歩で、次に△7七歩成からただの桂交換になるのかと思ったら、大野七段は△2五金!


この手がまったく見えていなかった。▲2五同飛に△5七桂打とされ、すべてが終わった。以前、植山悦行七段との急戦矢倉の将棋で、△6五銀と桂を食いちぎり、▲同銀に△7七桂打から攻めつぶされたことがあったが、あれと同じ攻め筋を喰らってしまった。
今回も先に金桂交換の駒得をしているからアレだが、▲6九玉と▲4九金の形を咎められたショックが大きかった。
△4七金と張り付かれた第6図は、もう下手、戦意喪失である。

第6図以下の指し手。▲6五歩△4六金▲2六飛△3五銀▲2九飛△6五金▲3八桂△6六歩▲5八銀△5六金上▲4六桂△同銀▲2六飛△5五桂(第7図)

次に△5七桂成があるから私は▲6五歩と桂を取ったが、△4六金と銀を取られて、もう切れない。
▲2六飛と上がって△3五銀と打たせたが、▲2九飛と引くときイヤな予感がした。というのも△3七桂の筋があるからだ。だけど桂を渡すことはあるまいと思ったら、▲4六桂で桂を渡してしまった。そこで▲2六飛の一手パスは痛かった。

第7図以下の指し手。▲3九桂△6七歩成▲同金△同桂成▲同銀△同金▲4六飛△5八銀▲3八玉△5九銀不成(第8図)

私は▲3九桂と受けたが、△6七歩成からまた駒損になった。
△5九銀不成で角金を持たれた第8図は、角の打ち場所があっちこっちにある。

第8図以下の指し手。▲2四歩△同歩▲2三歩△3三銀▲4七金△5五角▲5二金△4二金▲同金△同銀右▲3七玉△3五金▲5二金△2三玉▲3六歩△4六金▲同金△4八銀不成(投了図)
まで、117手で大野七段の勝ち。

もう受けてもいられないので▲2四歩△同歩▲2三歩で下駄を預けたが、大野七段は「(私の▲2三歩の処置に)意外に難しい」とつぶやいている。まあ△3三銀くらいでダメだろうなと思ったら、ホントに△3三銀と上がられ、クサッタ。
以下は未練がましく指しただけ。私は▲3六歩から斬られに行き、△4八銀不成と綺麗に活用されたところで、投了した。

感想戦で大野七段は、「(第5図の▲1六歩では)▲5八金(参考図)でしょ」と言った。なるほど、そうして足元を固めたあと、前述の▲1六歩~▲3三歩の順を指せばよかった。

てんで読みがなってないと、私はうなだれるしかなかった。
時刻は午後10時を過ぎている。街の食事処はすでに閉まっている。もう長居してもしょうがないので、これで失礼した。
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