一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

異色の観戦記

2021-04-19 00:25:15 | 将棋雑記
拙宅では読売新聞を購読しているので、主催棋戦は竜王戦である。
その4月10日のスペースを見てびっくりした。対局者は永瀬拓矢王座と羽生善治九段だったが、対局風景がカラーで掲載されていたのだ。ちなみに観戦記者は、文化部記者の吉田祐也氏だった。
私は40年以上同紙の観戦記を読んでいるが、写真が掲載されたのは初めて。なお、お隣の囲碁棋聖戦は、対局者の顔写真やタイトル戦風景がたびたび掲載されている。
私はネット等で棋士の顔をほとんど把握しているが、ネットを使わない年配の方は、棋士の顔が分からない。確かにこれからは、顔写真くらい載せてもいいのかと思う。
だが11日の第2譜は、永瀬王座がトレーを持っている写真が掲載された。ということは、13日(12日は新聞休刊日)は羽生九段が載るはずだ。まさか、この調子で最終譜まで、なにがしかの写真が載るのだろうか。
カメラマンは、若杉和希写真部記者。そういえば先月、読売新聞社から「フォトドキュメント 第33期竜王戦七番勝負」(税込1,650円)が発刊されたが、このカメラマンが若杉氏ではなかったか。
竜王戦七番勝負は、長いこと単行本が発刊されていたが、ここ数年は途絶えていた。今回の発刊は従来の観戦記に加え対局風景も多数収められたものであり、極論すれば、情報量が倍以上になったのに値段はほぼ変わらないという、とてもお得な本なのであった。
観戦記は果たして、第3譜以降も写真が載った。そこで私は思った。本局は、観戦記と写真のコラボなのだ。つまり、七番勝負の新聞掲載版をやったわけである。これは観戦記者もカメラマンも読売新聞関係者だから通った企画といえよう。
観戦記は16日に、第6譜で終わった。竜王戦予選はここ数年7譜分けであり、本局は1譜少ない。ただし86手で終わったから1譜あたり15手で済み、幸いにも写真掲載には都合がよかった。
ここで、写真全6点の内容を紹介する。

10日・第1譜 対局風景 12行
11日・第2譜 永瀬王座がトレーを持つ 11行×2段
13日・第3譜 羽生九段の立ち姿 11行×2段
14日・第4譜 永瀬王座が苦悩する姿 12行
15日・第5譜 羽生九段のアップ 11行×2段
16日・第6譜 対局風景 12行

やはり写真がけっこうなスペースを取っている。そのぶん、肝心の観戦記が削られるから「アブハチ取らず」の懸念も生じるわけで、その兼ね合いは難しい。
いろいろ調べると両記者は、この15日にオンライン配信(無料)で、今回の七番勝負の舞台裏をトークするイベントを行っていた。
このタイミングがよすぎるため、今回の観戦記は。書籍、トーク企画とリンクしていた可能性がある。
書籍のコンセプトもそうだが、最近は棋士の対局姿を鑑賞するなど「見る将」が増えてきている。今回はそういった将棋ファンを取り込む意味でも、面白い試みだったと思う。
コメント
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