一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

メグミとマンガ

2021-04-14 00:06:57 | プライベート
12日、たまたま5chに合わせたら、「激レアさんを連れてきた。」に、渡辺明名人夫人のメグミさんが出ていた。
メグミさんは、渡辺名人の日常を面白おかしく描く「将棋の渡辺くん」を「別冊少年マガジン」に長期間連載している。
私がテレビを見た時は、弘中綾香アナから「(メグミさんは)Gペンを使えないので、ロットリングペンで原稿を描いている」と紹介されていた。
これ、昔はGペンやかぶらペン、丸ペンなどで描くのが常識だったが、別にその限りではない。
たとえば「ゴルゴ13」のさいとう・たかをは、もうだいぶ前から「インクがすぐに乾く」という理由から、ロットリングペンを愛用している。
またPCでの描き込みも令和の漫画界では常識で、その割合は紙へのペン入れを上回っている。
実際、PCは便利なことが多い。
第一に、手が汚れない。インクやホワイトの渇きを待つ時間はいらないし、下描きもすぐ消せる。ペン先も、PC上で使い分けができる。いまはタブレットに描き込みをしても、ペン独特の膨らみが再現できるのだ。
さらにPCには、描き損じという概念がない。原稿が痛まないから、いくらでも描き直しができる。キャラクターの拡大縮小も意のままだ。
スクリーントーンも自由に貼れる。61番も62番も63番も、選び放題だ。紙の場合、服の柄に幾何学模様のトーンを使うと、人物の大小にかかわらず柄の大きさは変わらないので、それぞれの比率がおかしくなってしまう。これがPCなら、トーンの柄も縮小できる(はずである)。
また、ヒトの顔は、左向きのほうが右向きより描きやすいのだが、それも左右反転することで差異を確認することができる。背景だって、既存の画像を転写し、その上から描き込みをすれば、リアルな背景が出来上がる。
そうして完成した原稿も、クリックひとつで編集部に送信できる。以上の行程で、スタッフをひとりは削減できるだろうから、人件費を浮かすこともできる。
ただPCだと、生原稿が存在しなくなる。ときどき「開運!なんでも鑑定団」に作家の生原稿が登場することがあるが、膨大な推敲跡があるものほど、作品の制作過程が分かり、鑑定額も高い。
マンガにも同様のことがいえ、将来マンガ家の記念館ができたとき、生原稿や愛用のペン軸があるとないとでは、展示物の厚みが違ってくる。
なお余談だが、8日から始まったフジテレビ「レンアイ漫画家」では、刈部まりあ(演・鈴木亮平)が画板を首からかけ、その上でマンガを描いていたが、こんな描き方は絶対にしない。これではまともな絵は描けない。
話を戻すが、PC制作にはほかにも弊害?があって、「コボちゃん」の植田まさしが日本テレビ「世界一受けたい授業」に出たときのこと。植田まさしはペンを使っているが、その理由として「PCで描くと修正の際限がない。生原稿だと妥協することができ、仕事を終えられる」と述べていた。これは意外に重要な真理である。
NHK「浦沢直樹の漫勉neo」では、マンガ家の坂本眞一がPCで描くさまをやっていた。坂本眞一はスタッフにポーズを取らせ、それをデジカメで撮り、それを下絵にして描いていた。
実はメグミさんも渡辺名人をモデルにしてこれと似たことをやっているのだが、メグミさんの場合はポーズが浮かんでもそれを描くおこす力量がないので、現実の姿を参考にしているらしい。よって、そのポーズを取らされる渡辺名人はたまったものではないが、夫婦間のプレイと考えれば楽しかろう。
坂元眞一は、服の細かいところまで再現する。襞のひとつひとつまで、細かくである。
しかし、これをマンガと呼べるだろうか。やはり私は、ペンで紙に描いた原稿を支持したい。
……というようなことを、「激レアさん」を見ていて思った。
コメント (2)
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