一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4月4日の4時から男(後編)

2021-04-18 00:18:14 | 新・大野教室
続いてはShin氏と対局である。
「最近Shinさんに全然勝っていない気がする」
「気のせいでしょう」
「……」
という会話のあとShin氏が駒を振り、と金が5枚でて、私が先手になった。
▲7六歩△3四歩に▲7八飛。さっきの大野八一雄七段の将棋を見て、私も飛車を振りたくなったのだ。対してShin氏の作戦は左美濃だった。

△3三角・△5三銀の形になったので(第1図)、私は▲4五歩。△同歩は角銀両取りなのでShin氏は△2二角と引いたが、▲4四歩△同銀▲4五歩△5三銀▲4六銀(第2図)で、4五の位がとてつもなく大きく、作戦勝ちしたと思った。

よってShin氏の△5三銀では、強く△4五同銀もあったと思う。▲同桂に△4四歩で銀桂交換の駒損になるが、4五の位は拒否できる。
第2図以下は△3三角▲2六歩△7四歩▲5八飛△9四歩に▲5五歩△同歩▲6五歩(第3図)と進み、これは互角以上の戦果が見込めると思った。

以下、私の攻めが一段落すると、私の金得になっていた。ここから安全運転にスイッチし、以降はShin氏の攻めを丁寧に受け、快勝した。
しかし実戦心理は恐ろしい。Shin氏の攻めはもう切れているのに、何かあったら困ると、私はいつも以上に慎重になってしまった。
投了後、Shin氏はあまりの拙局に「感想戦のやりようがない」とつぶやいた。「今日は大野先生に左美濃を指されたんですが、その指し方が素晴らしくて自分も指してみる気になったんですが、うまく行きませんでした」。
私が見たときは大野七段が飛車を振っていたので、Shin氏は2局指導を受けたのかもしれない。
Shin氏はだいぶ消化不良になったようで、再戦となった。ただし時間も押しているので、持ち時間5分である。
今度も私の先手で、▲7六歩△3四歩▲2六歩△8四歩。私は横歩取りを指す気はないので、ここで▲6六歩と屈服した。
以下私は矢倉模様、Shin氏は雁木に構える。

第1図以下の指し手。▲1六角△2四角▲5七金寄△1四歩▲3八角△5四歩▲同歩△4五歩(第2図)

第1図に至る途中、△5四銀に▲5五歩と突きだす手が利いた。これを△同銀は▲5六歩で銀が死ぬ。よってShin氏は銀を引いたが、私は▲5六銀と立って指しやすさを感じた。
さて第1図から私の▲1六角は好点で、次に▲3五歩の桂頭攻めがある。対して△2四角がいい辛抱だった。▲5七金寄△1四歩に私は▲3八角と退却し、どちらの角が働くかという展開になった。

第2図以下の指し手。▲2四飛△同歩▲5三歩成△同金▲6二角△5二銀▲7三角成△3九飛▲4七角△4六歩▲5八角△2九飛成(第3図)

第2図の△4五歩に▲同歩は、△5四銀▲5五歩△4五銀と進出されて面白くない。そこで若干無理を承知で、▲2四飛から攻めていった。先の「△5四歩▲同歩」を咎める意図である。
だがShin氏の△3九飛も厳しく、△2九飛成までの局面は、駒の損得がなくなったため、竜と馬の差で、私が不利になったと思った。

そこから数十手進み、第4図は▲4九桂と辛抱した局面。

第4図以下の指し手。△3八銀▲4八金△1八竜▲4二銀△同金▲同歩成△同玉▲5四歩△6三金▲4三歩△同銀▲4四歩△3二銀▲4三金△同銀▲同歩成△同玉▲4四歩△3二玉▲3四角(第5図)

▲4九桂では▲4二銀から清算して▲4九歩と打ちたかったが、4筋の歩は敵陣に打ちたい。それで、泣く泣く桂を打った。
Shin氏は△3八銀と打つ。▲4八金には△1八竜。しかしここでは△3九竜と回られるのがイヤだった。この金取りが存外受けづらい。△1八竜は、竜が銀の陰に隠れてよくなかったのではないか。
私は▲4二銀から清算して▲5四歩。これが痛打で、△4三金は▲4四歩で金が死ぬ。よってShin氏は△6三金とよろけるが、私は▲4三歩から気持ちよく攻めを続け、▲3四角と飛び出した。遊び気味だった角がここまで進出したのだから、負けても本望だと思った。

第5図以下の指し手。△4九銀成▲4三歩成△2二玉▲4四銀△8七銀▲6七玉△2七竜▲4七歩△5五桂▲5七玉△5六歩▲同角(投了図)
まで、一公の勝ち。

第5図では△4二歩と我慢するかと思った。だがそれは▲2三銀△4一玉▲4三歩成で負けと見たか。先手は▲9五馬が、地味に敵陣に利いている。
そこでShin氏は△4九銀成としたが、私は▲4三歩成から▲4四銀と迫る。▲4四銀では▲2三銀△1三玉▲3三ともあるが、銀は手持ちにしておきたかった。
しかし△8七銀から△2七竜も厳しく、負けにしたかと思った。
△5五桂には▲5七玉と寄る。ここ手拍子で▲5六玉は、△3六竜から角を抜かれて負ける。
最後は▲5六同角までShin氏が投了した。投了以下は、△3二歩と受けても▲2三銀△1三玉▲3三とが詰めろで一手一手。投了もやむなしだろう。

感想戦では、第4図から△4三銀(参考図)と歩を払うのが最善とされた、本譜を見れば、この▲4三歩が貴重な存在だったわけで、それを除去するのが簡明だったというわけだ。

私は精神的にも肉体的にもズタズタだが、公私ともに順風満帆のShin氏に連勝できたのは自信になった。
本日の教室はここまで。表へ出ると、雨が降っていた。今日は雨の予報だったが傘を用意してこなかったので、大野教室から借りる。骨が折れているもので、大野七段は返却不要というが、そうもいくまい。これを返却すべく、また教室に来るのだろう。
食事は、駅前のインドカレー屋へ行った。参加者は大野七段、W氏、U君、私の4人。それぞれセットメニューを頼んだ。私だけ、オレンジジュースを付けた。
食後、軽くおしゃべりをする。景気のいい話が出ないが、私は自業自得とはいえ、ひときわ深刻だ。その欲求不満を少しでも軽減すべく、大野七段らは教室に誘ってくれるが、余計虚しさが増すということもある。
会計は790円だった。ずいぶん安いと思ったが、4月からの内税表示において、店側が掲示金額を変えなかったため、消費税分がサービスになったようだ。
次回の大野教室は9日(金)。W氏は、差額料金を払えば1ヶ月パスポートに代えてくれるというが、求職中の身でそうそう将棋も指せまい。いろいろ大変である。
コメント
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