一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第8回・世田谷花みず木女流オープン戦(4)

2015-05-04 00:43:34 | 将棋イベント
降臨…!! それはまさに、女神が舞い降りたごとくであった。緑のきものに袴。髪をアップにして、ぐっと女ぷりが上がっていた。
中村アナウンサーが、ふたりにインタビューをする。
「今年は白のきものにしました」
と中村真梨花女流二段。室谷由紀女流初段は、
「私は何度かきものを着てますけれど、みどりは初めてです」
とにこやかだ。室谷女流初段はホント、何を着てもよく似合う。そのままきもの売り場に行ってモデルをやっても、ちっともおかしくない。
ここで1分間の撮影タイムである。私は外付けストロボを付けて、準備完了。室谷女流初段に迷惑なので使いたくないのだが、我慢していただくことにした。ISO感度を上げることまで頭が回らなかった。
撮影開始。時間は短いが、何でも撮ればいいってものではない。構図などを考えたら、1分などすぐだ。
しかし改めて、何という美しさであろうか。この美貌を将棋界に留めておくのはもったいない。室谷女流初段は絶対にミスコンテストに出るべきだ。手始めに青年漫画誌の巻頭グラビアでもいい。ここに最高の逸材がいるのに、講談社や集英社は、どこを見ているのだろう。ああ、文春の「原色美女図鑑」でもいいな。
夢の時間が終わり、これできょうの目的は達成できた。でも、私ごときが女流棋士を撮ってはいけないと、反省もした。









続いて、解説の島朗九段と、聞き手の中井広恵女流六段が紹介される。
対局の準備が整い、振り駒の結果、室谷女流初段の先手となった。午後2時59分、決勝戦が始まった。

▲女流初段 室谷 由紀
△女流二段 中村真梨花

▲7六歩△3四歩▲7五歩△3五歩▲7八飛△3二飛▲5八金左△5二金左▲4八玉△6二玉▲7六飛△8二銀▲3八玉△3四飛▲8六歩△7二玉▲8五歩△3三桂▲8六飛△1四歩
▲1六歩△6二金直▲2八銀△4二銀▲6八銀△4四歩▲2六歩△4三銀▲2七銀△5四歩▲8四歩△同歩▲同飛△3一角▲8五飛△6四角▲4八金直(第1図)

戦型は当然ながら相振り飛車となった。
中井女流六段「対局者と私は年齢差があるので、娘と父兄みたいな感じで…」
と、早速ジャブを飛ばす。しかし事実なので、島九段もフォローのしようがない。
「ふたりは大差勝ちが多いんですよ」
と島九段。攻めがツボにはまったら、手が付けられないということか。
私の席からは、室谷女流初段の姿がバッチリ見える。私はふだん運がないと思うが、きょうこのときだけは、幸運を引き寄せた。
室谷女流初段、▲8五歩と突いて、扇子を拡げてパタパタあおいだ。その色は紫紺だ。袴姿だから、白より合っている気がする。
島九段が、中井女流六段ー清水市代女流六段のライバル関係に水を向ける。「おふたりは100局以上指していますが、これは男性棋士の200局に相当すると思います」
「私も清水さんにはずいぶん痛い目に遭いました」
と中井女流六段。これも事実だが、まだ借りを返すチャンスはいくらでもある。
室谷女流初段、▲2六歩。
島九段「相振り飛車は、角道を止めてないほうが主導権を握ることになります」
本局は先手の▲8八角が、後手の動きを牽制している。
▲8四歩△同歩▲同飛。ここでふつうは△8三歩だが、攻めのマリカはそんな平凡な手は指さない。すぐに△3一角と引いた。いわゆる▲7五歩取りで、これを形よく守る術が意外に少ないのだ。室谷女流初段は胸元に手をやり、長考に沈んだ。
島九段「さっきは子供のすがすがしい指し手だったですけど、プロはお互いの手を殺し合うんですね」
室谷女流初段、結局▲8五飛とひとつ引いた。今度は中村女流二段が考える番だ。その表情は険しい。
「私、対局のとき、すごい恐いって言われるんです」
と中井女流六段。それは私も、そう思う。「私は、(対局相手を)かわいいなー、と思って指しています」
室谷女流初段と盤を挟める中井女流六段をうらやましく思う。
結局中村女流二段は、△6四角と出た。人が変われば指し手も変わるが、ここの一連の手順は、中村女流二段ならではと思う。
盤上はけっこう風雲急を告げていると思うのだが、室谷女流初段は▲4八金直と上がって、お茶を口に含む。それは余裕があるように見えた。
島九段「中村さんの狙いは、△2四歩~△2五歩~△2八歩▲同玉△3六歩でしょうか」
しかし攻めのマリカは、そんな悠長な手は指さなかった。
(つづく)
コメント (3)
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