AKB48の旅

AKB48の旅

「存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48」が素晴らしい

2016年07月14日 | AKB
実際にこの目で見るまでは避けたかったのは山々だけど、どうしてもそれなりに評判とかが目に入ってしまう。それでもなるだけ予断を廃してフラットに、ハードルの上げ下げなしで見たつもり。その上で断言するけど、「存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48」は素晴らしいドキュメンタリー作品になってる。

ただし、ここで言う「素晴らしい」はあくまでもドキュメンタリーとしてであって、面白いか面白くないかと言えば、決して面白い作品とは言えないかも知れないし、間違いなく「傑作」とかではない。というか、奇妙に聞こえるかも知れないけど、AKB48のドキュメンタリーであるが故に、それは決して「傑作」たり得ないことまでが、見事に守備範囲に入ってしまってる。そういう意味での「素晴らしさ」。

高橋栄樹監督による過去作を、ドキュメンタリーとしてはダメダメだけど、「AKB物語」としては傑作と評した記憶があるけど、ちょうどあれの真逆というか、石原真監督は「AKB物語」を追うのではなくて、歴史学的な、あるいは現象学的な方法論を選んだ、少なくとも私にはそう見えた。

AKBというものを深く理解しながらも、そのAKBという存在を取材対象とする距離感をしっかり保つ。AKBの奥深くに入り込みながらも、決してその熱狂や情に取り込まれない。常に「客観視」というと言い過ぎだけど、敢えて言おう「外部性」を保ちつつ多様なアプローチで、巨大かつ多面的で多次元的なAKB現象の彫琢を試みている。

それは一面「群盲像を撫でる」とも言えるわけで、一本の映画として見た場合いささか散漫という誹りは免れないだろう。「物語」という分かりやすい経緯あるいは座標を排除してる以上、面白さとも縁遠くならざるを得ない。けれどもそこには、荒削りであやふやではあるかも知れないけど、確かなAKBの現在位置と、未来へと繋がる眺望が描かれることになる。

そしてそれは、「一定の」ではあるけど成功してるように思う。上記の如く「散漫」にならざるを得ない方法論を採用してる上、当然のように何らかの「答え」とかも用意されないわけで、最初から映画としての「面白さ」は放棄されてると言える。けれども石原監督の誠実さが、ドキュメンタリーとしての素晴らしさを見事に担保している。

編集の取捨選択も見事だし、ナレーションを石原監督自らが担当してるというのも、その覚悟というか意気や良し。手前味噌は控えたいところだけど、AKBに対する構造論的アプローチを取った、私が知る限り、本ブログ以外ではこの作品が初めてなんではないか。そういう意味でも、繰り返し手前味噌のつもりはないけど、高く評価したい。

コメントを投稿