Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

福島で放射性ストロンチウムが確認される。

2011-04-12 | 地震情報
文部科学省は,僅かな量の放射性ストロンチウムが検出されたと発表した。
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-04-12_16590/ (沖縄タイムス 2011/04/12付け)

わずかというのはどの程度の量なのか,健康に影響がないと言うが果たして本当なのか?

N大の教授によると,放射性物質は危険なものではない。基準値以下であれば,放射線物質が原因となる病気は確認されていない。というが,実際のチエルノブイリでは,甲状腺癌患者は未だに増加している。科学的に証明できないのである。しかし,だからといって放射線と病気との関連は,ないとはいえない。

しかし,科学的に検証できないから結論を出せないというのが科学者の論理である。

例えば,腰痛の一番の対処方法は,湿布を貼ることであり,マッサージは効果がないと言っているのと同じレベルである。一般人は,科学は決して全て信用できるものではないという認識を持つことが必要である。

ちなみにストロンチウムは,淡水には存在せず,海水に含まれる。淡水魚にはほとんど蓄積されない。しかし,海水魚には蓄積される。このストロンチウムの性質を用いて海水と淡水を行き来するワカサギなどの回遊経路の分析に活用されている。骨に多く取り込まれるので,骨の中にあるストロンチウムの有無で海水にいたかどうかを判定できる。もし,この放射性物質が海水中に溶け込めば,当然魚の骨に吸収されることになる。

果たしてその影響はどうなのか?実際にこれまでデータがないことから,影響があるかどうか誰にも分からない。

もし,改修中にも放射性ストロンチウムが分布することになれば,魚介類を食べられなくなる可能性が出てくる。1万年以上続いた魚食文化が絶えることになるのか?心配である。もし,そうしたことが起これば,憤りを通り越してしまう。

「魚は汚染されているから食べてはいけない」と強い口調で諭されたアメリカ海洋教育者協会での体験を思い出す。


新しい海の教育が,地球の未来を変える「水圏環境教育の理論と実践」いよいよ本日発売開始

2011-04-11 | 水圏環境教育
これまで本ブログでも取り上げてきた水圏環境教育であるが,その集大成がいよいよ出版されることとなった。「水圏環境教育の理論と実践」は,水圏環境教育とは何か,水圏環境リテラシーとは何かについて述べ,これまでの水圏に関する教育の歴史的な流れ,水圏環境教育の新規性,そしてこれからの教育の進むべきあり方,そして,具体的な全国各地で行っている実践研究が紹介されている。

この本は奇しくも,平成三陸大津波(東日本大震災)の最中に,最終原稿が完成し出版社から受け取る日であった。六本木でノーベル賞受賞者根岸教授の講演会が予定されていた。

我が国で最初に水産教員養成課程が本学でスタートした明治29年にも明治三陸大津波が発生した。今から116年前である。専門家によると,日本では,約100年単位のスパンで地震活動期と停滞期が交互に繰り返しているという。日本の経済発展は,地震停滞期であったからであると言われる。(古長谷稔「放射能で首都圏消滅」)そして,ここに来て地震活動期となり平成三陸大津波の襲来。新しい教育の幕開けを予感させる。ちょうど,約100年前に日本は国家を形作りここまでの経済大国になった。そして今,新しい国を作るための第2のステージに突入したのである。

この悲しみを乗り越えて,あらゆることを自分の勘定に入れず,新しいスタートを切ろうではないか,

自彊寮の先達「宮沢賢治」の詩を紹介する。
「雨にも負けず」
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な体を持ち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分の勘定にいれずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな茅葺きの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って怖がらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼうと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そうゆうものに
わたしは
なりたい


佐々木剛:「水圏環境教育の理論と実践」, 214, 成山堂書店, 2011
本書の端書はバークレーの友人のご子息カイル・ストラング君の命日に記された。

平成三陸大津波2011/04/10【ボランティアの雇い入れを!地域活性化に期待】

2011-04-10 | 地震情報
埼玉県医療チーム,六本木ロータリークラブ,県立病院内科医2名,KONAMI関連会社社長,会社社長らと大槌町を回る。訪問。避難所担当ボランティアからー者が余りすぎて困る。との苦情を受ける。

六本木ロータリークラブは,寄付金を集めている。どのように寄付すべきかを検討中とのこと。なにかアイデアをお願いしたいとの要請を受ける。

これに対し,岩手大学の震災対策本部を説明。避難所や炊き出しなどは,ボランティアの中から職員を募集し,岩手大学のスタッフとして地域の中に入る。そのことで,地域の中に大学職員が関わって地域の活性化に貢献する。職員は大学の職員であることを自覚して仕事をすること。皆さんの大切な寄付で仕事をすることを自覚すること。そのことで,働く人間の意識を高めて地域に活性化作用をもたらすことが可能となる。今求められているのは,インターアクションである。人と人を結びつけることである。その拠点として地元大学が機能することを期待したい。

一方で,大学は信じられないと会社社長。「大学は信用できない。常に上から目線である。親父の会を作ったことがあるが,向こうは自分の子供を預けている。だから,あまり強く言えないのである。大学にお金を預けてはどう使われるかわからない。」ある意味残念な話であったが,逆に言えば,使い道を明確にすることで納得していただける面もあるだろう。

その後,大槌町小槌臼澤地区伝承館を訪問。次々と支援物資が自衛隊によって運ばれてくる。その支援物資をさばくのは,ボランティアの方々。もちろん無報酬。地域の民家も避難所になっていて,全員で400名いる。おそらく長期戦が続くであろう。そうした中,ボランティアをいつまで続けることが出来るのか?ボランティアスタッフは10名ほどいるが毎日休みなしである。

その後山田町に移動。中央公民館の物資集積所を訪問する。楽水会OBを訪問しインタビュー。物資は足りている。しかし,いつまでこれが続くのか,もしなくなったらどうするのか?主要な場所には役場職員が張り付いているが,いつになったら通常業務が始まるのか?出来ることであれば,ボランティアスタッフを雇い上げて代わりにやっていただけないものか?という意見を頂いた。ここも,大槌町のような状況で,スタッフの問題を取り上げていた。このことからも,地元の大学震災対策本部に期待が高まる。

宮古港へ移動。沖の方に,マンギョンボン号に似た大型船がタグボートと共にゆっくりと入港中。よくみると水産大学校の耕洋丸であった。総トン数2352トンの大型船である。綱取りをする地元水産高校の教職員らにインタビューしようとすると,「なぜ,大きな船を持っていて物資の豊富であろう東京にある大学はなぜ,入ってこないのか?船をいっぱい持っているだろう?わざわざ下関から来るというのに,いったいなにをやっているのか?」と船舶担当のI教員が激高していた。確かに,鹿児島,長崎,水産大学校と船を持つ大学は,震災地域に船を出している。なぜ船を出せないのか理由を説明し理解してもらうことが必要である。

着岸後,耕洋丸指導教官であるF先生にインタビューする。今回の入港は,一ヶ月航海の一環であるが,3日早めて出航とのこと。支援物資を大学独自で集め,大学独自で義援金を集め必要物品を購入して運んできたという。往復に2000万円かかり,苦渋の決断であったという。東京の大学はぜひ,夏の一ヶ月航海でしかも他の大学ができない支援活動に期待したい。







平成三陸大津波2011/04/09朗報【岩手大学東日本災害対策本部設置】

2011-04-09 | 地震情報
岩手大学は,東日本震災対策本部を4月1日付に設置した。
個別の対応ではなく,大学を窓口として全体でマネジメントする仕組みとして位置づけるものである。
(個人的に)復興庁の一つの機能として役割をはたすことが期待される。

岩手県沿岸部の現状(インタビュー調査結果)。
市町村によってばらつきがある。久慈の市街地はほとんど問題なく,復旧が早い。宮古は沿岸部,田老,山田,大槌,陸前高田は壊滅状態。

陸前高田市,大槌町は自治体の職員が行方不明となっており,避難所などの非日常的業務が煩雑であり,通常の業務がこなされていない状況。

陸前高田は60箇所に120人の市職員が24時間体制で避難所を管理運営。通常業務ができない。秋田県から毎日100名の応援が入る。愛知県東海市が5月9日より入る。

水産業は壊滅状態である。加工業者はほとんどの工場が流された。

今後必要とされる活動内容。
学生ボランティアとして,半壊の家屋の清掃活動,食糧,飲料水を在宅者へ搬送するサービスが現在必要。

また,避難所の子供たちの学習支援が必要である。ボランティアリーダーの養成を始めている市町村がある。

避難所を集約化し,できるだけ職員に負担がかからないような方向に進めているものの,職員の数が圧倒的に足りない。

これから海洋系大学等研究教育機関が岩手大学震災対策本部と連携し出来ること(可能性)
①水産業振興のための学術的アドバイス
②教職員の派遣の実施
③学習支援や清掃活動の学生ボランティア

平成三陸大津波2011/04/08復興のための仕組みづくりの提案

2011-04-08 | 地震情報
S様,皆様
###に対する返信
いろいろなご意見がありがとうございます。
大変参考になりました。一番,「これだ!」と気付かされたことは,日頃の定められた業務とは別に,次から次と湧いてくる,今直ぐに解決しなければならない課題をできるだけ多くの関係者とどう対処するか,といった仕組みづくりがない,ということです。ボトムアップ型のガバナンスが欠如しているということでしょうか?

現場,末端のニーズ(地域住民,この場合は被災者)を上手く吸い上げ,そのニーズに対する解決策を,日本政府からダイレクトに提示し現場で直ちに役割をはたす部署や組織,そしてその取り組みを評価する尺度が欠けている,といえないでしょうか?

以下に示すのはアメリカ合衆国のランドグラントカレッジエクステンションに関する法令ですが,今直ぐ解決しなければいけない課題に対応し,どのように対処するのか,いろいろな機関が一緒になって問題解決する際の評価尺度のあり方を定めています。

「1998年に成立した農業研究エクステンション教育改革法(AREERA)である。これは,新しい報告システムと呼ばれ,州のエクステンションのパートナーやより大きな協力体制のための法令であり,ステークホルダー,研究者,そしてエクステンションエージェント(大学職員でもあるが,連邦政府と直結した政府職員)に関係するものである。特にも,AREERAは業務計画の教授法を提供するものであるが,業務計画を立て「今直ぐ必要な研究やエクステンションにおける問題対処」の方法を定めている。また,AREERAは農業長官に対し,エクステンションの活動が,多角的,複合的な研究組織,複合的な専門領域を統合させて成功に導くための「評価尺度」を作るよう求めている。AREERAは,研究とエクステンションの活動を一緒にし,州の事業計画において今直ぐ解決しなければいけない農業問題を捉えるために用いられるものである。」(PROJECT DESIGN AND EVALUDATION BY NOAA COASTAL SRVICE CENTER)


こうした組織づくりあるいは評価尺度づくりのための法令が今まさに日本に求められるのだと思います。

このような法令を定めることによって,
1 様々な立場の人々(ボランティア,政府,自治体,大学研究者)を有機的につなげ組織的な活動が可能となる。
2 地域ごとに専門機関が設置されているので初動が早くなる。
3 全国的な組織であり,全国的な素早い対応が可能となる。
4 有事の際の対応を事前に啓発するためのアダルトエデュケーション等を継続的にできることが可能となる。
5 マスメディアだけに頼らない,正確な地域情報をつかむことが出来る。
6 活動の評価尺度を作ることで,新しい職業として定着させることができる(お金を取ってくることだけを評価尺度とする呪縛を外すことが出来る)。


###
S’様
日本人はみな何らかのエキスパートといわれるほど個人的な技術はあります。
・・・
それこそ十分な情報を共有し、主導権をおまかせしサポートするかたちでボランティアを活動させていくというのはいかがでしょう?
S様
大賛成です。
今の時代、皆さん、何らかのエキスパートです。
社会人を何年か続けていれば、自分にできそうなことくらい見つかります。
 
社協やボランティアセンターは、情報共有するインフラづくりに徹して頂き、ボランティアはそれぞれ主導的に動いてもらえばよいのだと思います。
その意味では、ボランティアセンターは名前を改めて、「ボランティアインフォメーションセンター」にした方がよいかも。

平成三陸大津波2011/04/07東京都港区の放射線量

2011-04-07 | 地震情報
学内に設置されている線量計を確認.
経時的に値が上昇していることがわかる。
写真は,2011/04/06午後23時の値。
2011/04/04午後12時 0.018mSv
2011/04/05午後5時 0.020mSv
2011/04/06午前6時 0.022mSv
2011/04/06午後23時 0.023mSv
2011/04/07午前6時 0.024mSv
(追加2011/04/07)これらは,積算で表示されているとのことである。

平成三陸大津波2011/04/05

2011-04-05 | 地震情報
バークレーの友人からのメールを紹介する(一部改変)。
###
まったくおっしゃる通りです。私も怒りで頭がくらくらして下記のように書きましたが、無力であることには変わりありません。

ここへ来て、天才は人災になりました。ヘリコプターから物資を落とせない法律、撤廃を提案する人もいない。
アメリカ軍だけが物資を孤立したエリアへ落としていました。
何と言ったらいいかわからない行政、政府、システム、法律。
すべてが、横並び思考、上からのお達し待ち、だれも責任をとらない無意味な穏便思考。赤十字は480億を抱え込んだまま、被災者へただの1万円も配ることもしない。

A新聞Globeの特番に友達のロシェル・カップのコラムが出ていましたので、勝手ながら,メールをロシェルへ転送させていただきました。およそ、外部からの圧力にしか反応できない日本の政府は江戸時代から変わりません。東北人の辛抱強さに甘えている人々、あるいは、風評に踊る同じ日本人たち。

国会議員や政府関係者は選挙と保身だけを考えず、誰独りとして、被災地への具体的な支援のため身体を張って動く者、義援金を送るものが何人いるだろうか?

下記の情報は友人から来ました。

http://www.stop-hamaoka.com/kikuchi/kikuchi2.html(菊池氏の講演)

何が何だかわからなくなりそうです。

単に感動秘話とか、人間愛ストリーとか、けなげな子供たちとか、そういう方向にばかり取材主旨を持って行こうとしているマスコミに、私たちはだまされてはいけないと思います。被災した人、被災しなかった人、このあまりにも大きなギャップ、このギャップこそ、津波を超える大きさです。

Yより