Dr. WAKASAGI at HEI-RIVER(閉伊川ワカサギ博士)

森川海をつなぐ学び合いの活動を紹介します

新しい海の教育が,地球の未来を変える「水圏環境教育の理論と実践」いよいよ本日発売開始

2011-04-11 | 水圏環境教育
これまで本ブログでも取り上げてきた水圏環境教育であるが,その集大成がいよいよ出版されることとなった。「水圏環境教育の理論と実践」は,水圏環境教育とは何か,水圏環境リテラシーとは何かについて述べ,これまでの水圏に関する教育の歴史的な流れ,水圏環境教育の新規性,そしてこれからの教育の進むべきあり方,そして,具体的な全国各地で行っている実践研究が紹介されている。

この本は奇しくも,平成三陸大津波(東日本大震災)の最中に,最終原稿が完成し出版社から受け取る日であった。六本木でノーベル賞受賞者根岸教授の講演会が予定されていた。

我が国で最初に水産教員養成課程が本学でスタートした明治29年にも明治三陸大津波が発生した。今から116年前である。専門家によると,日本では,約100年単位のスパンで地震活動期と停滞期が交互に繰り返しているという。日本の経済発展は,地震停滞期であったからであると言われる。(古長谷稔「放射能で首都圏消滅」)そして,ここに来て地震活動期となり平成三陸大津波の襲来。新しい教育の幕開けを予感させる。ちょうど,約100年前に日本は国家を形作りここまでの経済大国になった。そして今,新しい国を作るための第2のステージに突入したのである。

この悲しみを乗り越えて,あらゆることを自分の勘定に入れず,新しいスタートを切ろうではないか,

自彊寮の先達「宮沢賢治」の詩を紹介する。
「雨にも負けず」
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な体を持ち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分の勘定にいれずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな茅葺きの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行って怖がらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼうと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そうゆうものに
わたしは
なりたい


佐々木剛:「水圏環境教育の理論と実践」, 214, 成山堂書店, 2011
本書の端書はバークレーの友人のご子息カイル・ストラング君の命日に記された。