三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」

2024年05月05日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」を観た。
「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」5/3(金)よりROADSHOW

「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」5/3(金)よりROADSHOW

悪名高きグアンタナモに収監された無実の息子を取り戻すため、家族へのゆるぎない愛と、持ち前の明るさだけを武器に闘ったドイツの母の1786日、感動の実話!第72回ベルリン...

「ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ」公式サイト

 ジョディ・フォスター主演の2021年の映画「モーリタニアン」では、グアンタナモ収容所に15年間も監禁されたモーリタニア人の青年モハメッド・ウルド・スラヒを救い出す弁護士の奮闘が描かれていた。収容所では、無為な尋問と無慈悲な拷問を繰り返し受け続けた。こちらも本作品と同様に、実話が基になっている。
 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件のあと、史上最悪の大統領ジョージ・W・ブッシュ・ジュニアは子供みたいにヒステリックになり、FBIやCIAや軍を使って、疑わしい人間を見境なく拘束させた。

 本作品は、やはり同時多発テロのあとに拘束されたムラート・クルナスを救い出すべく、単身で奮闘する母親が主人公だ。精神的にとてもタフな人で、息子が収容されたからといって、残りのふたりの息子を疎かにすることはない。トルコ人であることに引け目は感じておらず、稼ぎのいい夫のおかげで豊かな生活が出来ている。
 ただ、物怖じしなさすぎるところがあって、家族の頭を気軽に叩いたり、すぐに人に触ったり、怒って掴みかかったりする。運転すれば信号無視をしたり、一方通行を逆走したり、スピード違反で対物事故を起こして新車を台無しにしたりする。冷静沈着なドイツ人女性との差を際立たせるためだろうが、こういう演出にはあまり感心しなかった。

 こういうブルドーザーみたいな女性は確かに存在する。その上、ラビエ・クルナスは限りなくポジティブだ。息子は心配だが、日常生活を楽しむことは続けている。ムラートは収容されて酷い目に遭っているが、おそらく殺されることはない。なんとかなるだろう。
 その底抜けのポジティブさは、弁護士を含めて周囲を巻き込み、何かあるたびに一喜一憂するが、立ち直りは早い。事態は少しずつ進んでいく。
 ラビエが嘘を吐いたり、誇張したり矮小化したりしないのがいい。どこまでも本音で突き進むから、ときには言葉が通じない相手にも感動を与える。言葉は飾らないほうが力を持つものだ。

 アメリカは、いつまで世界の警察のつもりでいるのだろうか。というよりも、アメリカの軍産複合体は、いつまで世界紛争で儲けるつもりなのか。儲ける国があれば、必ず損をする国がある。日本みたいにみずからポチになって進んで損をする国もあるが、大抵の国は、アメリカが他国を軍需産業の餌食にしていることを知っていて、アメリカの独善に反感を抱いている。
 同時多発テロは、言うなれば、アメリカの自業自得なのだ。被害者ヅラをしていたブッシュ・ジュニアの愚かな顔は、アメリカの有権者の愚かさを代表している。CIAをはじめとする役人たちと警察官たち、それに軍人たちが暴走して、グアンタナモで拷問を繰り返したのも、アメリカの奢りの現れだと思う。
 本気で世界平和を目指したJFKはCIAに殺された。もうJFKのような大統領候補は出てこないだろう。今年の大統領選は、前回と同じバイデン対トランプだ。溜め息しか出ない。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。