三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

映画「リッチランド」

2024年07月09日 | 映画・舞台・コンサート
 映画「リッチランド」を観た。
『リッチランド』公式ホームページ

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 リッチランドとはなんとも皮肉な命名だが、町に住む人々は大きく二極に分かれている。原爆肯定派と否定派だ。
 肯定派は、いつまでも敗戦を受け入れようとしない日本の軍事政権を、圧倒的な力を見せつけることによって屈服させ、戦争を終結させたのが、この町で製造された原爆にほかならないという、何度も聞かされたおなじみの論理を振りかざす。
 否定派は、無差別大量虐殺の非人間性と、核実験で廃棄された放射性物質、いわゆる核のゴミを自分たちの住む土地が背負い続けていかねばならないことを指摘する。原発を抱える日本と共通の問題を抱えているわけだ。

 人類が原発を利用するのはまだまだ時期尚早だ。核のゴミの完全な廃棄処理方法を開発してからにすべきである。問題を子孫に先送りしたのは、日本もアメリカも同じだ。しかし核の利権もまた、日本もアメリカも同じである。ついでに言えばフランスも同じだ。中国は国家事業だから、少しニュアンスが異なるが、国家が推し進めている事業という点では同じだ。名前の出た4カ国が、原発数が多い国の上位にある。

 原子力爆弾の仮説を立てて、人を犠牲にしても実証実験をしたい科学者のエゴと、軍事的に世界をリードしたい政治家と軍人の思惑が一致した結果が、ヒロシマとナガサキだ。それにビキニ環礁で行なわれた水爆実験だ。これらは人類の愚かしさの頂点にある出来事だと思う。
 プーチン戦争、イスラエル戦争をはじめとする戦争や紛争で、毎日たくさんの人々が死んでいる。ヒステリックになった指導者が、核爆弾を使わないとも限らない。大量破壊兵器の廃絶は、叶わぬ夢に終わるのだろう。つまり廃絶よりも前に、人類が絶滅するのだ。その蓋然性は極めて高いと言わざるを得ない。

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