三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

体の洗いすぎは臭いのもと

2006年12月11日 | 健康・病気
 つい最近になって気がついたことがありまして、これはぜひ全国の男性に知ってほしいことなんですが、どういうことかといいますと、足の臭いや体臭は洗ってもなくなるものではないということなんです。

 今年の3月から半年ほど休職して家でゴロゴロしていましたが、半年を過ぎると退職扱いになってしまうから、デスクワークでもいいので復帰してくれと会社が言ってくれたものですから、お言葉に甘えて復帰しました。そうすると途端に靴の中の足の臭いや汗をかいたときの体臭が気になりはじめました。気になっただけでなく、実際に臭っていました。
 それで何とかしなければと思い、いろんな悪あがきをしました。

 靴の中に消臭中敷きを入れた。

 毎回消臭スプレーをかけた。

 同じ靴は中3日以上あけて履く。

 帰ると足をものすごくよく洗った。

 2回シャンプーをし、ボディソープを使って2回体を洗った。

 ときにはブリーチを薄めたお湯で足を消毒殺菌した。

 出勤前にもシャンプーをし、体も足もよく洗った。

 ワイシャツやズボンに消臭除菌のスプレーをした。

 にもかかわらず、朝出勤して、お昼が過ぎて夕方近くになってくると、特にまだ暑かった9月10月は席を立ったり座ったりするたびになんだかモワッと立ち昇ってくる臭いがあって、ものすごく気になりました。そこでなるべく身動きしないように、昼食にもトイレにもコーヒーを入れにもなるべく行かないようにしていました。それになぜかすぐに頭が痒くなる。といいますか、頭が痒くなりやすくなりました。洗っても洗っても頭が痒くなるんですね。フケも出るし、最悪でした。まあ、そんなかんなで上に書いたように、臭い防止の対策がエスカレートしていったわけです。で、エスカレートして最後には毎日のようにブリーチを薄めたお湯に30分も足を浸けて消毒していましたが、それでも翌日の午後になると臭ってくる。頭は1日2回も3回も洗っていましたが、それでもやっぱり痒くなります。これは一体どうすればいいんだろうと悩みますよね。

 しかし考えてみれば、仕事に復帰する前までは毎日家にいて、それほど意識して清潔に心がけていたわけじゃないのに、臭いはまったく気にならなかったんですね。しかし毎日会社に出勤することになったので毎日シャワーを浴びて体を洗って髪を洗って髭を剃って歯を磨いてというのを繰り返しました。そうすると、その努力に反比例するように足や体の臭いがするようになったのです。もしかしてやりすぎが原因なのでは? と思ったのが2週間前で、思い切って、ボディソープで体を洗うのをやめました。そのかわり、ちゃんとお風呂を沸かして、入浴剤を少し入れてゆっくりと20分くらいつかることにしました。頭はシャンプーを少しだけ使って、手だけで洗うことにしました。手だけ、と書いたのはシャンプーブラシというか頭皮のマッサージができるイボイボのものを使って頭皮をゴシゴシ、ゴリゴリと擦っていたので、それをやめたわけです。髭剃りと歯磨きは以前のままですが、T字剃刀をやめて電気剃刀にして、あまりしつこく剃るのをやめて、大体剃れたらよしと妥協することにしました。

 それから2週間ですが、自分でも驚いたことに、足や体が臭わなくなりました。やっぱり洗いすぎが原因だったんですね。臭いを気にするあまり体をこれでもかというほど洗い、それでもまだ臭うのでもっともっと徹底的に洗うようになり、そしてドツボにはまっていたわけです。
 なぜ臭わなくなったかということはなぜ臭うのかの裏返しを考えればいいわけで、詳しいメカニズムはわかりませんが、細菌やウィルスなどの微生物と酵素、化学反応などの関係で、いやな臭いが生じるものです。普通の考えは、アルコールやブリーチなんかを使って除菌や殺菌をしてしまえば臭いもなくなるだろうというもので、私もずっとそう思っていましたが、どうやらそれは間違いのようです。食器やまな板については殺菌すればいいのですが、こと生物の体では、除菌や殺菌で微生物がいなくなるのはそれを行なった瞬間だけでして、すぐにまた復活するんですね。だから除菌とか殺菌の考え方は人体に対してはNG。だから腸の中と同じように考えるのが正解です。腸の中では善玉菌と悪玉菌がいて、善玉菌を殺しすぎると悪玉菌が優勢になってお腹がおかしくなりますが、皮膚についてもまったく同じことがいえると思います。つまり私はずっと臭いをなくそうとして体を徹底的に洗うことで、善玉菌を洗い流していたんですね。そして代わって悪玉菌が天下を取り、体も足も臭うようになってしまったということです。

 「足の臭い」で検索すると、たいていのページに「足をきれいに洗って清潔にすることが肝心」と書かれているので、私のように素直で信じやすい人間は、兎にも角にもゴシゴシと洗ってしまうんじゃないでしょうか。そして、こんなに洗っているのにまだ臭うのは病気なのか遺伝なのか体の内部に原因があるのかと、あれこれ考えて悩んでしまいます。しかしそれは間違いでした。
 体をゴシゴシ擦って洗うのをやめると、背中が痒くなることも少なくなりましたし、頭の洗い方を優しい洗い方に変えてシャンプーを1日1回に限定したら、頭が痒くなるのも少なくなりました。仕事から帰宅して靴を脱いだ瞬間に顔をしかめることもなくなりましたし、なによりもお座敷のお店に誘われても気軽に行けるようになりました。今はボディソープはほとんど使いません。そのかわり湯船には入浴剤を入れて、20分くらいはつかるようにしています。それも関係があるかもしれません。ずっと湯に浸かっているのがしんどいときはときどきお湯から上がっています。

 過ぎたるはなお及ばざるが如し、とは徳川家康の言葉だったと思いますが、足の臭いをはじめとする体臭については、過ぎたるよりは及ばざるがずっとましなわけでして、臭いを気にしていらっしゃる方は、あまり神経質に洗いすぎないこと、単に湯船にゆっくり浸かるだけで十分と心掛けるとよろしいかと思います。