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三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

「山のロザリア」の真実

2013年09月12日 | 日記・エッセイ・コラム

中学校の音楽の教科書にも載ったことがあるロシア民謡「山のロザリア」ですが、知る人ぞ知る歌手の八反安未果(ハッタンアミカ)さんが素晴らしい歌声で歌っています。その歌詞は次のようです。

山の娘 ロザリア いつも一人うたうよ
青い牧場日昏れて 星の出るころ

帰れ帰れ も一度 忘れられぬあの日よ
涙ながし別れた 君の姿よ

黒い瞳 ロザリア 今日も一人うたうよ
風にゆれる花のよう 笛を鳴らして

帰れ帰れ も一度 やさしかったあの人
胸に抱くは形見の 銀のロケット

一人娘 ロザリア 山の歌をうたうよ
歌は甘く哀しく 星もまたたく

帰れ帰れ も一度 命かけたあの日よ
移り変わる世の中 花も散りゆく

しかし、ダークダックスが歌っている「山のロザリア」の歌詞は次のようです。

山の乙女ロザリア 一人さびしき山小屋の
貧しきその身はひとすじに 愛の誠を

すずらん香る山陰の 谷間に春のおとなわば
哀れ小さなその胸に 恋の花咲く

清き夏の朝に 山に傷つく若者の
永遠の眠りにつけるをば 風は伝えぬ

乙女の憂い星は知る 今宵山の頂に
あおくやさしく輝きて そっといたわる

哀れ山のロザリア 雪と氷の奥深く
恋せし者の後を追う 春に背きて

逝ける乙女の胸の内 すずらん知るや知らずや
いまも五月の山肌に 真白きその花を

いかにもロシア民謡らしい、救いのない歌詞ですよね。しかしその救いのないところが素晴らしい。
清く貧しく美しくそして孤独に山宿を営んで暮らしていたロザリア。春に若者が尋ねてきてロザリアはたちまち恋に堕ちてしまいます。恋を育む暇もなく夏山で遭難死した若者。嘆き暮らしたロザリアは翌年、春を待たずに雪山に分け入って星空の下に身を横たえて死んでしまうのです。ロザリアの心を知ってか知らずか、すずらんが五月の山に白く咲いています。