三無主義

 ~ディスパレートな日々~   耶馬英彦

生命保険を解約しよう

2007年10月26日 | 政治・社会・会社

表題に反して、実は3社の保険に加入しています。古い順に全労済と第一生命、それにアフラックです。保険会社からもらえるはずのお金を保険金、保険会社に定期的に支払うお金を保険料といいますが、私の場合、月々の保険料はそれぞれ1800円 2040円 6009円で合計9849円と、結構な負担です。それでも、交通事故に遭ったり成人病を患ったりしたときのために、文字通り「保険を掛けている」訳です。

しかし、ここ数年で発覚した保険金の不払い事件の多発ぶりに、果たして自分に何か起きた場合、本当に保険金が支払われるのか危惧するようになりました。記者会見を見ても解約したときの返戻金について隠していたようですし、支払わなかった保険金をどうするのか、ちゃんとした回答がありません。私が苦情の窓口としてお客様に対応するときでも、もう少しはましな対応をします。もし保険会社の対応がこれほど不誠実でなければ、そんなには心配しなかったと思います。

もともと保険会社に対してはいいイメージはなくて、所謂保険のオバチャンとあの分厚い約款に象徴されるシステムのわかりにくさ、保険料は毎月きっちり取るのに、保険金はナンダカンダと言って払わない、保険料が1回でも引き落としされないとすぐに警告のハガキが来て、2度続くと自動的に解約されて、しかも解約返戻金は払われない、そういうイメージです。やらずぼったくりというか泥棒というか保険金詐欺ならぬ保険料詐欺みたいなイメージ。仕方ありません。そういうイメージを作り出しているのは保険会社自身なのです。80歳まで医師の診断なしで入れることがウリの保険は、免責期間が1年半もあります。どういうことかといいますと、保険料を支払いはじめてから1年半の間は、死のうが病気になろうが保険金は1円も支払われないということです。持病があっても入れるのは当り前で、この保険の狙いは免責期間中に死んでもらって、保険料を掠め取ることにあります。だから、なるべくなら早く死にそうな人がよろしい。死ななければ死なないで保険料は毎月入ってきますし、死んだら死んだで何やかやと理屈をつけて保険金を払い渋っていればその内諦めるだろうくらいに考えています。

また、こんなケースもあるでしょう。老人が子供たちのために保険に加入しておこうとして、しかし保険に入ったことを子供たちに言うのは恩着せがましくて嫌だと。だから保険には入るけれども入ったことは黙っている。死んだあとで子供たちが保険金を受け取り、おじいちゃんは自分たちのことを考えてくれていたんだと、そう思ってもらえればいいというケース。

残念ながらおじいちゃんの思いが叶うことはありません。保険に入っていたことを知らない子供たちが保険金を請求することはなく、請求されない保険金を支払う保険会社はありません。もし後日になって保険に加入していたことがわかって子供たちが保険金を請求しても、すでに2ヶ月連続で保険料が引き落としされていないので自動的に解約されていますと嘯いて、解約返戻金だけを支払って終わりにされるのが関の山です。

ある保険会社の子会社で、大々的に中途採用を募集した会社がありました。ありましたというのは既にこの会社が店仕舞いをしたからなんですが、この会社の実態を知っていた者にとっては、そりゃ店仕舞いするだろうよというのが正直な感想です。この会社が中途採用を大々的に募集したのは、応募してくる人たちの縁故が欲しかったからなのです。社会人になって10年とか20年とか経っていれば、それなりに知己が増えてきます。そこで、そういう人たちを相手に営業活動をやらせて保険加入者を一気に獲得しようというのがこの会社の狙いでした。その証拠にこの会社では入社に先だって、縁故関係の人名を200人ほど書かせます。それくらい書けない人はうちではオミット、採用しませんよ、と言います。その時点で、アレ?この会社少しおかしくないか?と気づいた人たちと、気づかなかったけれども200人も知り合いがいない人たちは応募を取りやめました。しかしこの会社のカラクリに気づかない人たちや、気づいても尚お採用してもらいたい人たちは200人の名前を書いて採用されました。そして誰もが想像する通り、200を相手に保険加入の勧誘をやらされて、一時的な高収入を得ました。しかしその代償として友人をなくしたり、親戚縁者から出入り禁止にされたりしています。そこまでして保険の加入者を増やした彼ら中途採用社員を、この会社は、それ以上辿れる縁故がなくなったという理由、つまり一定期間ノルマ未達成ということで放り出してしまいます。使い捨てにする訳です。この事例が、利益だけを追及して従業員のことも保険加入者のことも一顧だにしない保険会社というものの本質を象徴しています。

個人は、絶対に保険に入ってはいけません。私もなるべく早く解約しようと思っています。