喜多院法興寺

住職のひとりごと

チンパンジーも見返りなしに仲間を手助けする

2009-10-15 09:59:57 | Weblog
10月15日付 編集手帳(読売新聞}
 {越中(富山県)の盆踊り唄にある。〈鮎(あゆ)は瀬につく 鳥は木にとまる 人は情けの下に住む…〉。人の世は思いやりで成り立っている、と◆「情けの下」に住むのは人間だけではないかも知れない。

 チンパンジーも見返りなしに仲間を手助けすることが、京都大野生動物研究センター・田中正之准教授と東京大・山本真也研究員の実験で確かめられたという◆窓でつながった隣同士の部屋に1頭ずつ入れる。ストローなしには飲めないジュースの容器が置かれた部屋にはステッキを、ステッキなしには容器が引き寄せられない部屋にはストローを用意した。

◆6ペアで24回ずつ実験し、59%の割合で道具が受け渡されたという。その7割以上が相手に要求されて道具を渡したもので、さすがに人間のような、自発的に仲間を助ける能力は…と書きかけて、ためらうものがある。

◆朝晩のこみ合う電車で、つらそうに立つお年寄りを見かけることがある。隣人の困りごとに手を貸そうにも、言葉を交わしたことさえない都会暮らしの人も少なくないと聞く。実験の記事を読みながら、盆踊り唄がチクリと胸を刺さぬでもない。}

 手助けをするのは人間だけと思っていたが、今回の実験でチンパンジーも見返りが期待できない状況でも、手助けすることが分かった。人間社会では今の世の中は人情が地に落ち、自分さえ良ければ、他人が迷惑しても知らんぷりだ。思いやりのない自己中心の人は、チンパンジー以下と言える。