うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

今夜たったいまの月....(827)

2008年02月16日 21時07分14秒 | うべプラネタリアン
08.2.16.20:55の月と火星。
近接している。コンバクトデジカメの手持ち撮影。火星像が揺れている。
愛嬌、愛嬌。
今夜の画はたくさんの人が狙っていると思うので、うまく撮った人は是非送って欲しい。
昨夜は、折角の天文クラブだったが、雲が厚く、ほとんど生の星を見て頂けなかった。
今夜は、時折ちぎれ雲が走るが良く澄み切っている。皮肉なものだ。
ただ、火星と月の近接は、昨夜はおきていないので、今日晴れたことは良かった。
天文クラブの人にはこのことよく伝えたので、みんな空を見上げてくれていると思う。
なかなかの景色だ。

最近のホームズ彗星....(826)

2008年02月14日 22時17分24秒 | うべプラネタリアン
宇部天文同好会の宮崎さんが撮った2月10日のホームズ彗星の画像だ。
エッジもさだかでないほど霞んでしまっている。
これでは肉眼はおろか、双眼鏡でも確認はむつかしい。
こんな有様では、再増光は期待できない。
このほうき星、先行きどうなってゆくんだろう。
ホームズ彗星は、115年前に発見されたのは、たまたま大増光した事によるが、
今回と全く同じ位置(近日点を過ぎて170日点)だったというのが不思議である。
とすると、あと100年後に同じ事がおきるのだろうか。
なぞなぞなぞの彗星だ。おもしろいなぁ、宇宙は。

やっぱり、土星 6....(825-2)

2008年02月13日 20時09分03秒 | うべプラネタリアン
惑星のみならず、星雲星団・銀河もさまざまな波長で撮るとさまざまに違った顔をみせてくれる。
本来色の土星も、紫外線などを強調すると、また趣の変わった画になる。
真ん中が、(825-1)の画像で、実際の色。上が紫外線検出。下が赤外線。
それら3色を比べたものがこの画像である。
NASA、ハッブル宇宙望遠鏡による。

月の船....(824)

2008年02月11日 18時01分59秒 | うべプラネタリアン
万葉集 巻七-1068 柿本人麻呂歌集の中に次のような歌がある。

 天の海に 雲の波立ち 月の船

       星の林に こぎ隠る見ゆ

西暦700年頃に、こんなファンタジックな歌ができているのだ。
驚くほど“たとえ”が豊かで、現代の歌詞として使ってもちっとも色あせない。
「天の海(あまのうみ)」や「月の船」など中国の漢詩に先に現れているらしいのだが、その語源がなんであれ、今から千三百年も前に、日本人はこんなロマンチックなファンタジーを描いて、万葉集に収めているのだ。
加賀谷さんのスターリーテルズの絵を見るような視覚的な歌である。
カナンなら、この歌のイメージをすばらしい絵にするだろう。

星座の原型は、チグリス・ユーフラテスの河ほとり、メソポタミア文明の頃できたとされている。
大昔から人々は、東西を問わず、宇宙に夢を馳せてきたのだ。
これからの人類も、宇宙へ、大空へ夢を飛ばしてゆくに違いない。
太古から連綿と続く天空へのロマンは、絶ゆることなく人を魅了し続けるのだろう。

画像は、満月と星野を合成(NASA)したもの。

天上の河....(C84)

2008年02月10日 22時23分41秒 | 新・星座物語
今日のプラ一般投影は、多くの人が来てくれた。うれしかった。
が、さらに嬉しかったのは、杉山はるかさんから手紙が会館の私宛に来ていて、
新しい物語が届けられたことだ。
たより本文の方は、新星座物語を本にしましょうよという提案で、こちらはもとよりその方針だ。
いずれ本にするにしても、現段階は作品集積に努めねばならない。
もう少し作品の充実度をアップしたい。
そこで、同封の、杉山はるかさんの作。ほとんど原文のまま。
ただし、タイトルは勝手に私が付けた。お許しあれ。
なお、杉山さんもこのブログ見てくれているようだから、遠慮なく積極的に
コメントを書き込んでくだされ。よろしく。

「天上の河」(オリオン座・ふたご座・おおいぬ座・こいぬ座・エリダヌス座)
 オリオンとそのふたごの子、カストルとポルックス、そして、ペットであり家族の一員、
おおいぬケルベロスとこいぬメランボス。
 5人は貧しいながらも、仲良く、毎日楽しく生活していました。
そして彼らの住む村のはずれには、エリダヌス河という美しい大きな河が流れていました。
 河のほとりにはいつも花が咲き、オリーブの実がたわわに実っていました。
 ある時、となりの国と戦争になりました。
 そのため、オリオンと弟ポルックスが、兵士として戦いに行かなくてはならなくなりました。
 兄のカストルは体が弱かったので、2匹の犬と共に村に残りました。
 日に日に戦いは激しくなり、おおいぬケルベロスとこいぬメランボスは、飢えと病気で死んでしまいました。
 そして、圧倒的に向こうの国が圧してきて、そろそろ戦争も終わる頃、カストルの元に、父オリオンと
弟ポルックスの死の知らせが届きました。
 カストルは、毎日毎日、今生きている気がしませんでした。
 いつも思い出の詰まったエリダヌス河のほとりに座っていました。
 ある時何気なく河をのぞきました。
 水面に、自分と、父オリオン、弟のポルックス、そしてケルベロスにメランボスが映った気がしました。
 「...父さん、ポルックス、ケルベロス、メランボス...」
 カストルの目から、一滴涙がこぼれ、水面に波紋を広げました。
 すると、カストルの体が光り輝いてきたのです。気がつくと、カストルは夜空にいました。
 すぐ近くには、父も弟も2匹の犬も...そして、さまざまな思い出をだきこんで流れるエリダヌス河も...
 みんないっしょに、冬の星座の主役として天空に輝いています。

画像は、月、虹の入江(NASA)。私の最も好きな月の地形の景色。

ながれの天体観望会....(823)

2008年02月10日 11時24分00秒 | うべプラネタリアン
昨夜(2/9)は1 月26日再々リベンジの観望会だった。
宵のうち、空はさっぱりで、撤収しようという頃になって、じわっと晴れはじめた。
徐々に薄くなる雲をとおしてシリウスが見え、オリオンから姿をあらわすと、
土星が見えてきた。
カナンや、サエカも21時を過ぎてやってきて、こちらも久しぶりの星空だから、
普通ならやり過ごすようなシーイング(seeing: 見え具合)だが、折角の星に会えた興奮に、
ついつい時の過ぎるのを忘れたのだった。
そして、できたての「春の船出」のシナリオ読み合わせもして、結果、結構充実した観望会となった。
こんなつどいがあってもいいなぁと思った。いってみれば心底の星虫たちの集いだ。
星の元の一家族といった、互いのいとおしさに満ちた観望会だった。
そんな仲間が増殖していることの充実感を感じたのである。
画像は当夜の土星。カナンが撮った。
カナンは、これは満足度20%(あるいはそれ以下)、公開に値しないとの自己評価。
こんな画像で今年を「できた」と済ます訳にはいかないと、カナン自身に火がついた。

やっぱり、土星 4....(822-2)

2008年02月08日 21時20分34秒 | うべプラネタリアン
じゃあ、リングの実際色はどうなんだと、疑問がわき、それを見てみたいと思う。
というわけで、たくさんのNASAの画のなかで、探ってみるのだが、
やはりこれだ!というのが見あたらない。
見あたらないというよりよくわからない。
そこで、「わあ、きれいだなぁ」という目を奪われたものに、結局落ち着く。
今後も、土星の実際色の映像を追い求めるとして、本日第2弾はこの映像でどや。
まいったか。

やっぱり、土星 3....(822-1)

2008年02月08日 20時00分59秒 | うべプラネタリアン
「ぬりえ」シリーズなら、もう一枚。
これは、先の㌻よりずっと以前に、NASAからリリースされたものだが、
こんな擬似カラーを付ける主目的は、リングの詳細を分析するためだ。
生物学者が細胞内部をよりよく見るために色素を加えて顕微鏡観察するのと同じだ。
それにしても、元の土星の姿が華麗だから、どう色を付けてもすばらしい。
今年の夏の子ども達を集めての「星空観察会」で、モノクロの土星を提供し、
それに色づけして貰おうか。

星と花....(821)

2008年02月07日 22時39分38秒 | うべプラネタリアン
NHK趣味悠々の「ステップアップ・現代書道」のテキストをみていたら、
ある詩の一節の書に目がとまった。
曰く「み空の花を星といひ わが世の星を花といふ」
お、なかなかの名フレーズだと思い、元の詩を探ったら、
土井晩翠(荒城の月の詩で有名)の詩集「天地有情」の中の「星と花」という詩の一節とわかった。

    星と花

同じ「自然」のおん母の
御手にそだちし姉と妹(いも)
み空の花を星といひ
わが世の星を花といふ。

かれとこれとに隔たれど
にほいは同じ星と花
笑みと光を宵々に
替はすもやさし花と星

されば曙 雲白く
御空の花のしぼむとき
見よ白露のひとしずく
わが世の星になみだあり。

という短いきれいな詩だ。
昨今こんな詩は流行らない。やたら美辞麗句でかざり、ロマンでございと、鼻につく。
でもでも、「天地有情」の刊行は明治32年、晩翠28歳だから、当時の文学界の、明治の青年の、高揚感がひしひしと伝わる。
素直に、ああ、なかなかいいなと、喜ぶのである。

今朝(2/7)の東空は良く晴れて、み空の花々は金星と木星。
1週間前と比べ、ずいぶんと見かけ上の二つの星の間は離れた。
それだけ木星の光が強く感じる。間近に金星と比較されないからだろうか。
画像はNASA提供の金星木星の近接(2/1)。海はカリブ海。