うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

月の船....(824)

2008年02月11日 18時01分59秒 | うべプラネタリアン
万葉集 巻七-1068 柿本人麻呂歌集の中に次のような歌がある。

 天の海に 雲の波立ち 月の船

       星の林に こぎ隠る見ゆ

西暦700年頃に、こんなファンタジックな歌ができているのだ。
驚くほど“たとえ”が豊かで、現代の歌詞として使ってもちっとも色あせない。
「天の海(あまのうみ)」や「月の船」など中国の漢詩に先に現れているらしいのだが、その語源がなんであれ、今から千三百年も前に、日本人はこんなロマンチックなファンタジーを描いて、万葉集に収めているのだ。
加賀谷さんのスターリーテルズの絵を見るような視覚的な歌である。
カナンなら、この歌のイメージをすばらしい絵にするだろう。

星座の原型は、チグリス・ユーフラテスの河ほとり、メソポタミア文明の頃できたとされている。
大昔から人々は、東西を問わず、宇宙に夢を馳せてきたのだ。
これからの人類も、宇宙へ、大空へ夢を飛ばしてゆくに違いない。
太古から連綿と続く天空へのロマンは、絶ゆることなく人を魅了し続けるのだろう。

画像は、満月と星野を合成(NASA)したもの。