うべプラネタリアン

プラネタリウム解説の活動を通じ、いろいろ感じたことをさまざまに語りたく....

ホームズ彗星とカルフォルニア星雲 19...(840)

2008年03月09日 17時47分12秒 | うべプラネタリアン
ホームズ彗星は、依然ペルセウス座にあって、反射星雲NGC1499に
かかるような位置に移動してきた。
NGC1499は、カルフォルニア州に形が似ているというので、ただそれだけの理由で、
カルフォルニア星雲と呼ばれている。
カルフォルニア星雲までは1500光年、ホームズ彗星までは25光“分”である。
距離としても存在としても、比べるべくもないことだが、彗星探査の時、邪魔になるのがこうした星雲星団である。
あやしげな彗星に似た天体が望遠鏡の視野に入ってくると、やっと新彗星発見かと、ときめいて、
よく調べると既知の星雲や星団だったりする。
毎度の希望と失望とに業を煮やし、まぎらわしい天体のリストを作ってしまったのが、
フランスの医師シャルル・メシエだった。
Mのコード番号で1から110まで、星団あり、銀河あり、星雲ありと多彩だ。
このリストのおかげで、メシエ医師は21個もの新彗星を発見するのだが、
彼にとって、邪魔な、除外されるべき天体のリストが一人歩きして、
現代の我々を楽しませてくれている。皮肉だが、愉快だ。
ただ、画像にある、ホームズ彗星と重なったカリフォルニア星雲はメシエリストにはない。
1800 年頃の小さな望遠鏡では、かすかなこの星雲は見えなかったからだ。
ずっと後世になって、かすかな天体まで入れて、New General Catalogue (NGC)が整備された。
NASAが紹介したこの画像は、3月4日の相互の位置である。
日本も含め、多くの天文家がこのめずらしいツーショットを撮って発表している。
どれもなかなか楽しい。