松岡享子さんの『サンタクロースの部屋』という本に、素敵な、素敵なことが書かれていました。
この本のタイトルの意味も、そこでわかりました。
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アメリカの児童文学評論誌からの引用です。
「子どもたちは、遅かれ早かれ、サンタクロースが本当はだれかを知る。
知ってしまえば、そのこと自体は他愛のないこととして片付けられてしまうだろう。
しかし、幼い日に、心からサンタクロースの存在を信じることは、その人の中に、信じるという能力を養う。
わたしたちは、サンタクロースその人の重要さのためではなく、サンタクロースが子どもの心に働きかけて生み出す この能力のゆえに、サンタクロースをもっと大事にしなければならない。」
この言葉を受けて、松岡さんはこう語ります。
「心の中に、ひとたびサンタクロースを住まわせた子は、心の中に、サンタクロースを収容する空間をつくりあげている。
サンタクロースその人は、いつかその子の心の外に出ていってしまうだろう。
だが、サンタクロースが占めていた心の空間は、その子の中に残る。
この空間がある限り、人は成長に従って、サンタクロースに代わる新しい住人を、ここに迎え入れることができる。」
「この空間、この収容能力、つまり目に見えないものを信じるという心の働きが、人間の精神生活のあらゆる面で、どんなに重要かはいうまでもない。
のちに、いちばん崇高なものを宿すかもしれぬ心の場所が、実は幼い日にサンタクロースを住まわせることによってつくられるのだ。」
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サンタクロースの真価を、見事に言い当てておられると思います。
わたしは、確か小学五年生くらいまでは、サンタクロースを信じきっていました。
はるばる遠い外国から、わたしのところへも来てくれるのだと。
うっすらと、そうでないとわかった後にも、わたしに生み出された“サンタクロースの部屋”は残り、
それから、たくさんの住人を住まわせてくれました。
その部屋は、今も健在です。
(むしろ拡大しているかもしれません。)
信じるという能力。
これがどんなに尊いものか、そして、重要なものか、誰もが分かっていますね。
それを拓いてくれるのが、サンタクロースなのですね。
すんなりと心に入り、とても嬉しくなりました。
9才の息子の心には、まだサンタクロースがいるようです。
(実は、わたしに、そう感じさせてくれているのかもしれませんが。)
その心の部屋を、大事に大事にしていきたいと思います。
たくさん、素敵な住人に来てもらえるように。
そしていつか、息子がつまづいた日の、希望となるように・・・。