ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

野花

2013年06月29日 | Weblog


わたしは
この森がすき

大地のかあさんに
まもられているのがすき

お日様のとうさんを
見上げているのがすき

それぞれ自由に生きる
友だちがすき

鳥のお話しに
耳を澄ますのがすき

風や雨を
浴びるのがすき

わたしは
わたしでいるのがすき


いつか
鳥に
聞いたことがある

街には
きれいな花が
たくさんあるのだと

華やかで
高貴で
美しいのだと


すこしだけ
見てみたい
気もするけど

わたしは
この場所で
いのちが終わるまで
わたしのうたを歌いたい

わたしはきっと
ささやかな花だけど

虫さんたちに助けられて
新しいいのちをのこし

その幸せを祈りながら
わたしを終えられたら

こんなに素敵なことは
ないと思うから










マリーゴールド

2013年06月28日 | Weblog

マリーゴールドみたいに
笑うあなたが
いま
試練の中にある

笑わなくても
上を向かなくても

じっと
心を深くしているあなたが
見えるよ

なにか大切なものを
つかもうとしている姿が
見えるよ

そして
前よりもっと深い
もっと素敵なあなたになって
帰ってくるんだって
わかるよ


あなたが嬉しいと
わたしも嬉しくて
あなたが悲しいと
わたしも悲しいから

つながっているんだね
きっと


手紙を書くよ

いつも
他愛のないことばかりだけど

お返事は書かないでね

あなたの気持ちは
いつもちゃんと
わかるから

つながっているんだから












バンソウコウ

2013年06月27日 | Weblog

そうなの
わたし
ほんとに抜けててね

その時もきっと
ぼんやりしてたのね

指を切るって
痛いわね

そしたら
息子がね
どこかに走っていって
また走ってきて

その手にね
バンソウコウ
持ってたの

そうして
ちいさな手で
そうっと
バンソウコウ
貼ってくれたの

シワシワだったけどね
そんなこといいの

そうしてね
こう言うの

「もう大丈夫」


こどもの
あのちいさな身体には
愛がいっぱいね

わたしよりちいさいのに
わたしよりたくさん
愛がつまっているみたい

それを
惜しみなく
くれるのね

だからこそ
悲しみも
大きく大きく
感じるでしょうね

身体じゅうで
感じるでしょうね

そんな時
心には
バンソウコウ
貼ってあげられないわね


ああ
でも
いいことがあったわ

とっておきの魔法が

「だっこ」


それは
大きなバンソウコウみたいね

わたしの心が
真ん中の白い部分で
わたしの両手がテープ

あの子が
どんな痛みを抱えてきても
悲しみが
心いっぱい満ちてしまっても

いつもいつも
大きなバンソウコウで
包んであげよう

涙がみんな出てしまうまで
もういいよ、って笑うまで
いつまでもいつまでも
包んであげよう

わたしが
あの子のバンソウコウになれるのは
きっと
とても短い時間だから












あなた

2013年06月22日 | Weblog


あなたはただ
ほかの人とは
違うだけ

あなたにこそ見えるものと
あなたにこそ感じられることが
あるだけ

それらのことが
ほんとうは
まわりを豊かにしている


あなたはただ
ほかの人とは
違うだけ

あなたらしい色と
あなたらしい形が
あるだけ

あなたという一点が
そこにあることは
こんなにも自然で
美しい


あなたはただ
ほかの人とは
違うだけ

でも
ひとりぼっちではない

違う誰かと
違うみんなと
支え合って
生きている











十字

2013年06月20日 | Weblog


あなたは
いつもひっそりと
でも伸び伸びと
生きていて

その内部に
人を癒す力を
いく種類も育んで

それなのに
踏まれても
抜かれても
枯らされても
なんにもいわないで

頼られれば
その身をなくして
人を癒してくれるね

そして
翌年には
その顔をちっとも曇らすことなく
清らかに清らかに
咲くんだね

あなたの
その
純白の十字に

わたしは
なんだか
恥ずかしくなり
それから
手をあわせたいような
気持ちになる

















2013年06月18日 | Weblog
日に焼けた
その手が好き

節くれだった
その手が好き

渋の落ちない
その手が好き

荒れ放題の
その手が好き

土のにおいのする
油のにおいのする
その手が好き

いつか
もしも

関節がかたまって
動かなくなっても

しびれて
使えなくなっても

愛の跡をたくさん残した
その手は
世界でいちばん美しい















2013年06月17日 | Weblog


その人は
とても遠い街から
会いに来てくれました

来てよかったと
あなたが好きだと

見たこともない
素敵なお土産を差し出す
その笑顔
その心

けれども
最も
わたしが尊いと思ったのは

帰り際に
歩道に落ちていたゴミを
その人が
ためらいなく拾い
ポケットにしまったことでした

わたしがその人に
心惹かれる理由が
親愛の情を抱かずにいられない理由が
その時
わかったような気がしました

遠ざかっていく
その人を見送りながら
わたしもまっすぐに
まっすぐに生きますと
あなたを忘れませんと
心の中で
叫んだのです















そのままで

2013年06月16日 | Weblog

お腹のなかにいる赤ちゃんに
もうすぐ
会えるね

愛してあげられるかしら・・・

わたしには
できないのではないかしら・・・

あなたはとても
こわいのね

あなたのお母さんも
きっと
そうだったように


そんなあなただからこそ
いつか
わかる

愛せないことがあっても
うまくできなくても
愛したいという願いが
根底にあるのだと

それがわかった時
子供を抱きしめるあなたの手に
あなたのお母さんの手が
重なるでしょう

その手が
あなたの心を
そっと
包むでしょう

そんなあなたを
子供たちは
あなたを凌ぐ大きさで
いつの日も
愛してゆくでしょう


自信がなくても
不安でも
そのままで
ちいさな手と一緒に
歩いていけたら

あなたが探してきたものを
きっと
見つけられるでしょう











直感

2013年06月15日 | Weblog


神さまが
お空から
プレゼントを落としている

見えないけど
ちゃんとわかる
ちいさなプレゼント

それは
幸せになるヒント

ひとりひとりに違うものを
神さまはわざわざ
落としているの

気づいてくれるかな
喜んでくれるかな

ワクワクしながら


でもみんな
知らんぷり

頭に落ちたのに
知らんぷり

手で受けたのに
気のせいにして

前と同じに
生きていく


神さまは
さみしそう









しあわせ

2013年06月14日 | Weblog


きれいなものがあることよりも
きれいなものを得ることよりも
きれいなものを見たときに
きれいだねと
伝えたい人がいること

それこそが
しあわせなんだと

その人が
そばにいるうちに
気付くことができたら