ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

松 *日々のつれづれ*

2015年11月11日 | Weblog

息子が、庭先で呼んでいます。

行ってみると、何かを両手に包んでいます。



「ぼく、これを育ててみたい。」


それは、松の小さな苗でした。

苗というのか、若芽というのか。




息子は、大切そうに、松を鉢植えにしました。

水をやり、慈しむように見つめています。





その様子を見ていたら、突然、心が震えるような感動をおぼえました。

小さな松が、息子に見いだされ、愛を注がれ、どんなに嬉しく感じているか、突然、伝わってきたのです。


大げさに感じすぎているかもしれません。

でも、その感動は、あまりにも強く、大きく、

しかも、わたしが生み出したものではないため、

松が教えてくれたとしか思えませんでした。






土を変えられ、移されたことは、松にとってよいことではなかったと思いますが、

松にとって、ちいさな子どもが注ぐ愛情は、土や光にも勝る重要なものではないでしょうか。

わたしには、どうしても、そう思えるのです。




「どうしたら、元気に育ってくれるの?」

息子は尋ねました。



「そんな風に、言葉や想いを送ってもらうことが、松は一番嬉しいんじゃないかしら。」

わたしは応えました。





「うん。」

息子は、それからしばらくの間、松と二人きりで過ごしました。






松は生きるでしょう。

息子の想いに応えようと、強く大きく育つでしょう。

今もきっと、慈しみに満ちた想いを、息子に送っているでしょう。


この先、息子に何か起ころうとした時、息子を助けようとするでしょう。

想いの力によって。


息子によきことが起こるなら、その全身を喜びに震わせるでしょう。






植物とは、そういうもの。

人の想いを受けた植物とは、そういうもの。



わたしは、息子に教えられながら、人と植物との素晴らしい交流を、見守っています。