ドライブ

あら
わたしの前に
ゆっくりの車さん

ほんとにほんとに
ゆっくりの

この車は
何かからわたしを
守ってる

そんなふうに
考えて

ゆっくりゆっくり
ついてくの

そのうち
曲がって
ゆきました


あら
わたしの後ろに
ぴったりの車さん

ほんとにほんとに
ぴったりの

何か
相当な事情がおあり

そんなふうに
考えて

お先にどうぞ
ご無事でね

すぐに見えなく
なりました


青空に
ゆったりゆったり
白い雲

気持ちのよい
野原

大好きな
この道は

小さな小さな
道だから

仲よく行けたら
うれしいな

こんなに
こんなに
きれいだもの

笑顔

尊いね

涙のなかの笑顔

やっとやっとの
ものだから


きれいね

涙のなかの笑顔

瞳も心も
ひたむきで


まぶしいね

涙のなかの笑顔

新しい
はじまりのようで

雲

真夏の
青空に浮かぶ
ぽっこりとした
雲が好き

ふんわりと
そこに乗れたら

どこまでも遠くへ
行きたいの


大丈夫

操縦は
心でするの

大丈夫

お腹がすいたら
ちょこっとちぎって
食べちゃうの

大丈夫

戻ってこれるわ

わたしが
そう望めば


だから
行っても
いいでしょう？

もしも
雲が
迎えにきたら

たんじょうび

ずっとまえの
きょう

母が
いのちをかけて
くれました

ずっとまえの
きょう

父が
いのりつづけて
くれました


ずっとまえの
きょうからずっと

このよのひかりを
もらいつづけ

ずっとまえの
きょうからずっと

このよのくうきを
もらいつづけ

ずっとまえの
きょうからずっと

たくさんのいのちを
もらいつづけて

いま
わたしが
ある


いきている
ということは

まもられてきた
ということで

いきている
ということは

たくされている
ということだから


さいごまで
いきて

わたしのなにかを
なしていこう


おたんじょうび
ありがとう