いのちのけはい

竹林のなか、その先は森。
私の暮らす家は、そんな場所にあります。

幼い頃から何となく感じていた「いのちのけはい」を、ここに暮らしてからより一層強く感じるようになりました。

竹、それだけではなくて、そのけはいのようなもの。
杉、それだけではなくて、そのけはいのようなもの。
スミレ、それだけではなくて、そのけはいのようなもの。

植物なら植物の姿と、そこに揺らめく気配、それをいつも感じるのです。

竹にはさっぱりとした気性を、
杉には素朴で力強い性質を、
スミレには密やかな気品と静寂を、
まるで様々な個性をもった人がそこにいるように、感じるのです。

だから、ちょっと、ドキドキします。

いのちと、それだけではない何か。
そこは、人の力の及ばない領域です。

なんだかわからないけれど、わからないからこそ感じる畏れ、不思議さ。
太古の人々はそこに「神」を見ていたのかもしれません。

現代を生きる私の内に僅かでも残っているこの感覚に、あれこれ想像が膨らみます。

あの鳥は、あの花は、何を思っているのでしょう。

いつか、わかるようになれるでしょうか。