ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

『あなたの道』

2015年02月26日 | Weblog

あなたに手を引かれ
母は行く



あなたは
好きなところへ行く

道のないところでも
崖のようなところでも

あらかじめ
決まっていたように
進んでく




ものすごい道でも
分け入れば

そこには
人がいたりして

素敵な場所が
待っていたりして


胸いっぱいの
母を見て

嬉しそうに
わらうのね





瞳がこんなに輝くなら

生きるのが
今日もたのしいなら

とても変わった
この道こそ
あなたの道に違いない


とても変わった
この道こそ
わたしの道に違いない















春 *日々のつれづれ*

2015年02月25日 | Weblog

福寿草が輝き、
ふきのとうが顔を出し、

わたしの村にも、春がやってきました。




この冬わたしは、とても静かで、とても豊かな時間を過ごすことができました。

森の木々のように、春(未来)のことを想い描き、夢見て過ごしました。


この時期の強いイメージが、わたしの未来を型どっていくのでしょう。

そして、これから、そこへと踏み出すのです。





4月からの朗読会(予定が決まり次第お知らせいたしますね)、

次なる詩集出版への準備、

そして、息子との新しいスタート。





冬に描いた、ささやかでも美しい花が、元気よく、開いていきますように。















真の幸せ*日々のつれづれ*

2015年02月16日 | Weblog

心に、愛する人がある。

心に、大好きな人がある。



それこそ、真の幸せ。

そう思う。










お日さまが輝く日には、思いきって外に出よう。


そして、誰かに出会ったら、思いきって、心を開いてみよう。


そしたら世界は、素晴らしくなる。







さみしい気持ちでいる人ならば、なおのこと。



その人は、これから出会える友だちを、うんと、うんと、大切にしていけるから。














『苦しいことがあった日は』

2015年02月13日 | Weblog

苦しいことがあった日は

出来うる限りの
時間をとって

苦しいままでも
そのままを
じっと過ごしてみるのです


そのうち一時
ほんの一時
心が静かになれるから

その瞬間に
決めるのです

あの出来事があってこそ
そう言えるように生きようと



決意をしっかり固めたら
そちらへ向かって歩くのです

今日はほんの一歩でも

明日もほんの一歩でも



痛む心はそのままに
ざわめく心はそのままに

ただ
行く方を間違えず

ただ
描くものを間違えず

ゆっくり歩いていくのです















『今よりもっと』

2015年02月09日 | Weblog


今よりもっと豊かなら

憧れだったあの土地へ
行ってみることになるかしら


今よりもっと豊かなら

見るだけだったあの服を
買ってみることになるかしら


今よりもっと豊かなら

子どもの瞳が
これ以上
輝くことになるかしら



今よりもっと豊かでも

今と変わらぬよろこびを
子どもは選んでいくでしょう

今と変わらぬよろこびを
わたしも選んでいくでしょう


今よりもっと豊かでも

森を歩いて
夢をみて
それで幸せでいるでしょう

ちいさなことに驚いて
それをみんなで分けあって
きっと幸せでいるでしょう




















学ぶよろこび、生きるよろこび*日々のつれづれ*

2015年02月03日 | Weblog

“自分の力で空を飛びたい”


男の子は、夢見ていました。




男の子は、鳥が好きでした。

飛行機もすごいけど、鳥は、自分の力で飛ぶ。

そして、自由だ。


きれいな羽根。

なんて上手に、風に乗るんだろう。



男の子は、お母さんを引っ張るように、鳥の集まる場所に行き、時を忘れて見とれるのでした。





さて、男の子は、鳥の図鑑をもらいました。

お誕生日プレゼントに、お願いしたのです。

嬉しくて嬉しくて、抱きしめます。

隅から隅まで、夢中で読みました。



もっともっと知りたくて、図書館にも行きました。

たくさん、鳥に関する本を集めました。

より詳しい本は、読み仮名が付いていないので、辞書で調べながら読みました。



漢字の成り立ちって、おもしろいなあ。

いろんな物を組み合わせて、その意味をあらわそうと、一生懸命かんがえたんだなあ。

ちょっと変な組み合わせもあるけど、そこがまた面白いなあ。



男の子は、『鳥のノート』に、覚えたことを、どんどん書いていきました。


そこには、鳥の絵、名前、そして、
大きさを表す単位、
速さを表す単位、
覚えた漢字とその成り立ち、
などが、ぎっしりと書かれています。



夜、眠る前に、自分で描いた鳥の絵に、色を塗りました。

図鑑の色よりも、自分で実際に見た鳥の色を塗りました。


それは、どんなに楽しい作業であったことか。

あんまり楽しくて、鼻歌も歌います。



枕元にそのノートを置いて、男の子は眠りました。







ある日、知り合いのおじいさんが、竹トンボをくれました。

おじいさんの手作りです。



男の子は、飛ばし方を教えてもらいました。

最初はすぐに落ちてしまいました。

でも、だんだん飛ばせるようになりました。

くるくるときれいに回転して、空に大きな曲線を描きます。



男の子は、考えました。

なぜ、飛ぶのか。

なぜ、回転なのか。



男の子は、さまざまな素材で“飛ぶもの”を作ってみることにしました。


様々な厚さの紙、
薄いセロファン、ビニール、
ストロー、
小枝や葉っぱ、
いろいろ、いろいろ。


何日も、何日も、“飛ぶもの”を作りました。


上手くいかない日もありました。

くやしくて、涙が出る日もありました。

でも、作るのをやめなければ、いつかは必ず、思ったようなものが作れるようになる、と、知りました。




風に乗ること。

回転すること。

もうすぐ、何かがわかりそうな気がしました。





男の子は、お母さんと、森を歩きます。

お母さんは、森が大好きでした。

男の子も、森が大好きでした。


森に入ると、力がたくさん湧いてくるのです。

そして、素晴らしいことを思い付くのです。


『鳥のノート』には、木の実や葉っぱ、季節ごとの森の様子、動物の足跡、雪の結晶、虫や微生物のこと、自分で建てたい木の家と庭の設計図なども、書き加えられました。

いつの間にか、表紙が『けんきゅうノート』に訂正されています。



その日も、楽しい気持ちで森を歩いていました。

すると、男の子の目の前に、くるくると回転しながら、何かが降りてきました。

なんでしょう?



見るとそれは、プロペラのような形をしています。



すごい!

これは、何かの種だ。

回転してきた!



男の子は、少し高い地点から、その種を下ろしてみました。


すごい、回転する!

竹トンボとおんなじだ。


植物が、何かの木が、この種を飛ばしたんだ。

真っ直ぐじゃなくて、回るように。

それは、どうしてだろう?



男の子は、何度も何度も、種を回転させてみます。



プロペラが付いていなかったら?

真っ直ぐ下に落ちる。

でも、プロペラを付けた。



それは、

それは、

遠くへ、遠くへ、

種が飛ぶように。



きっとそうだ。



すごいなあ。

すごいなあ。



男の子は、深々と満足そうにため息をつき、乾いた草のところに腰を下ろしました。

お母さんも、腰を下ろして、木々を見つめています。




森、

ぼくの大好きな森。

ぼく、今日、思ったよ。


種は、種のお母さんかお父さんが、がんばれ、って、飛ばすんだね。

遠くへ行けるように、特別なプロペラを付けて。

そしたら、風に乗ることができるんだ。


回る、ってことは、遠くへ、ってことなんだ。

回る、ってことは、風に乗る、ってことなんだ。


それは、お願いなんだ。

夢なんだ。


そのプロペラを付けたのは、種のお父さんとお母さんかもしれないし、もっとすごい何かかもしれない。


よく思いついたなあ。

すごいなあ。



ぼくにも、あったらなあ、プロペラ。



でも、ぼくにもあるんだ。

ぼくのお父さんとお母さんが、ぼくにくれた力が、きっと。

それが何か、今はまだ、わからないけど。




“この種は、森からの贈り物なんだよ。”

男の子は、その種を、大事にポケットに入れました。




帰り道、男の子はスキップをしながら話します。



調べたいことがたくさんあるんだ。

種のこと。

何の種かなあ。

他にはどんな種があるのかなあ。


それから、

プロペラを作ってみよう。

それを回すしくみを考えてみよう。

いろんな大きさのものを作ってみよう。


ぼくはとっても忙しいんだ。




男の子は、夢中になって、お母さんに話して聞かせたのです。









いつか、男の子が、自分の力で空を飛べるようになるのか、

それは、わかりません。



今もそれを目指しているのか、

もしかしたら、

もっと他のことに、心ひかれているのかもしれません。


そして、それは、どちらでもいいのですよね。




学ぶことは、よろこび。

ひとつの興味のなかに、あらゆる分野の学びが詰まっている。

それらは、分断されず、連なっている。


それは『真理』へと続くもの。

人はみな、異なる方法で、そこに至ることを目指しているのかもしれません。




男の子の毎日が、よろこびでありますよう。

世界中の子どもたちも。

そして、大人たちも。