教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

遊びの中で子どもたちの心が癒されます~大阪少年鑑別所研修会

2006年08月10日 | 生活指導
6月29日にT地区生徒指導主事連絡協議会が大阪少年鑑別所で開催されました。施設見学を行った後、所長の藤原さんから次のような講話をいただきました。

大阪少年鑑別所は日本で一番忙しい鑑別所で、現在186人の定員に対して、187人の少年が入所しています。これは東京鑑別所(練馬にあるため『ネリ鑑』と呼ばれた)が定員100人に対して、だいたい50人ほどしか入所していないのに比べても大阪が際立っていると思います。大阪の少年犯罪の特徴は①ひったくりと②暴走族にあると言われます。ひったくりは同じ関西でも京都や神戸では少ないのに大阪だけが突出しています。ひったくりを犯した少年たちの罪の意識が薄いのですが、ひったくりのときに相手を脅せば強盗、ハンドバック等を奪おうとして相手が転倒しけがをすれば強盗致傷となり、凶悪事件となるため大変重い罪になります。また暴走族がらみの事件も、恐喝や対立グループとの暴力事件、時には殺人や車を使った強姦事件にもつながります。

大阪少年鑑別所には、一年間で約2500人の少年が入所しますが、昨年は開所以来始めて小学生の入所がありました。中学生の入所も365人にのぼっています。少年犯罪の低年齢化を象徴するような数字です。鑑別所に入所する少年の特徴として、「遊ばない」ということがあげられます。自由時間にグランドに出る少年はわずかで、だるそうにじっとしている少年が多いのが気になります。心理学の立場から言うと、遊びには心を癒す治療的な効果があると考えます。しかし少年たちの多くはテレビやファミコン等の機械に遊んでもらうことはあっても、自分たちで遊びをすることができなくなっているように思います。

刑務所(少年刑務所も含む)が懲罰機関あるのに対し、少年院は少年を社会に送り出すための教育機関です。退院するときには卒業証書も渡します。一方、少年鑑別所は懲罰機関でも教育機関でもなく、ありのままの少年を観察するための場で、その少年に最も適した処遇を家庭裁判所に通告します。鑑別の結果少年院入所が望ましいという結論になることもありますし、学校や地域に戻すという結論になることもあります。少年院や鑑別所に対してまったく違った期待を持たれその期待が外れたからと言って不満を述べられることもあります。しかし少年院や鑑別所に課せられた役割を正しく知っていただくことが、連携を深めるために必要だと思います。
東町中学校生徒指導部だより「千里馬」17号1998年7月2日