教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

中学校進学への不安

2008年07月30日 | 教育相談
【保護者】
 いつも、かけはしを楽しみに読ませていただき、勉強させていただいております。実は私の子供達は、最近マスコミでも取り上げられるようになりました化学物質過敏症を発症して、小学校の先生がたにもご配慮してくださるようお願いにあがりました。噂で聞いたので真偽の程は確かではありませんが、◎中の生徒の中に香水をつけている人がいるそうです。公立の中学に進むつもりでも、そんな状況では教室に入ることさえ不可能です。もし、そういう状況が改善される(例えば、指導すれば生徒は言うことを聞くのか)指導しても無理なのか、建前でなく本音で教えてください。はっきり言いますと、命がかかっています。それによって、子供達の進学を考えてやらねばなりません。何卒、よろしくお願いします。もし、返答が世間に出て困るのであれば口外はいたしません。

【相談員】
 おたよりありがとうございます。いつものように本音で話します。
 香水をしている生徒というのを私は見聞きしていないので、念のため◎中学校生徒指導主事の◎に確認しました。やはり香水をしている生徒は、いないということです。ただし私も経験したのですが、体育の授業の後、汗の臭い消し(デオドラントだと思います)を使う生徒がいます。でも事情を説明すれば消臭剤を使うような生徒はいないと思います。
以前、◎小学校の卒業生で耳が聞こえない生徒が◎中に入学したことがありました。保護者の方は、「耳が聞こえないため呼びかけられても気づかず、そのことが原因でイジメにあわないか」と心配されました。その時はご家庭との話し合いで、入学式では一年生全員に、始業式では全校生に、耳が聞こえない新入生がいることを知らせ学校生活の中で配慮するように伝えました。その結果、無事中学校生活を終え、今は高校生活を楽しんでいます。(3年間、私が担当しました)
 車椅子の生徒、癌治療で頭髪を失った生徒、事故で片手をなくした生徒など様々なハンディーを負った生徒が過去に、そして今も◎中で学校生活を送っています。安心してください。説明すれば分かりあえる生徒たちですよ。今のクラスの友人たちがそうであるように。
 不安があれば、いつでも学校見学に来てください。授業の様子も見れます。お話だけでもかまいません。お待ちしています。

平成20年度 不登校対応専任教員の取組について~大阪府教育委員会への報告から

2008年07月26日 | 不登校問題
1. 配置市及び配置校における不登校の現状について
       市中学校    市小学校  ◎中学校   在籍生徒数
 平成16年 348(3.60)  73(0.35)  21(6.38)  329
    17年 342(3.58)   96(0.45) 11(3.93)  280
    18年 279(2.96)   77(0.35)   6(2.44)  246
    19年                 3(1.32)  227
   ※小規模校のため数人の転校生により不登校出現率が大きく変化し統計的な意味は薄い。

2. 平成18年度の活動計画及び取組状況について
(1)配置校における今年の「不登校の未然防止に向けた取組」について
①これまでの取組(3月~10月)
・小中連絡会(3月と6月)   
・欠席がちな生徒への支援について(4月 基本方針論議)
・別室登校支援体制開始(該当者1名…月と木の週二日登校が本人目標)
・校内ケース会議開始および社会福祉協議会との連携と家庭訪問(5月)
・生徒会主催中学校新入生歓迎会(5月)  
・支援室夏季登校(宿題の取組みと調理実習~週2回)
・三校合同研修会(8月 中学校スクールカウンセラーの取組についての報告)
・夏休み明けの子どもたちの欠席をどうみるか(対策委員会・職員会議9月)
・小学校キャリア教育への中学校教員参加(9月)

②今後の取組(11月~3月)
 11月 校区不登校対策委員会…行事の中で子どもたちの変化の報告を中心に
 12月 小中一貫教育研究発表会(不登校・学力保障・行事交流を中心に)
 2月 校区不登校対策委員会…中3の進路と小6の課題を中心に

(2)小中連携による取組の状況
 子どもを繋ぐ…クラブ体験(11月~3月)・夏祭り企画・文化祭招待(9月)・体育大会招待(10月)・中学生絵本読み聞かせ(12月)
 職員を繋ぐ…小中連絡会・三校合同研修・校区人権研修・研究授業参加・校区不登校対策委員会
 中学校を知る…中学校見学会・体験授業・合同特設授業
 小学校への支援…中学校スクールカウンセラーの教育相談・キャリア教育授業実施
 校区教育相談室…小中三校を対象とした教育相談・校区新聞発行
 小中連携での教材作成…算数(数学)・国語
(3)不登校対応専任教員として配置市全体の取組に対する活動状況
 市不登校対策研修会講演(8月)市立中学校夏季研修での講演(8月)
 少年文化館だよりを通じた校区の取り組み紹介
 担当指導主事との連絡会

3.取組の成果と課題について
 ①中学校新入生への丁寧な指導を踏まえ不登校数の激減ができた。
 ②職員組織(校区不登校対策委員会・校内不登校対策委員会)を機能化させ、中学校入学前の情報を収集できた。また別室登校支援体制を定着させ引きこもり→別室登校→教室登校という道筋を作れた。
 ③異年齢集団交流により同世代のつながりだけでは見ることのできない中学生の優しさを引き出すことができ、生徒集団の安定につながった。
 ④これら成果は小中連携で可能となったが、まだまだ担当者間で小中が繋がっている側面が大きい。生徒指導・学力保障・自主活動などで多くの分野で小中の絆を深めたい。

小学校A先生へのアドバイス

2008年07月23日 | 教員像・教員論
 今日の教育相談は実りがありましたか?私は明日から五年生と鉢伏高原へのキャンプです。

 2ヶ月ほど教室に入り気になっている点を伝えます。それは、子どもたちからの「先生!」の声を大切にして欲しいと言う事です。

 私は教室に入っていて、「◎年◎組の子どもたちは担任の先生から認めて欲しいと願っているんだな」と感じました。その証拠に子どもたちは、しょっちゅう「先生!」とAさんを呼びます。子どもたちは、Aさんが誰かと話していても、おかないなしで呼び続けます。
 
 もちろん子どもたちのマナー違反なのですが、気になるのはが子どもたちの声に反応できれていない点です。5~6回に一度しか返事ができていません。子どもの声が聞こえてないなら聞けるように頑張って下さい。視野を広げ、生徒の誰かと話していても視野の隅には教室全体が入るよう努力して下さい。難しいですが、意識して臨めば、徐々に視野は広がります。

 子どもたちの声が聞こえるようになれば、反応してあげて下さい。それは、すぐに子どもの話に乗ると言う事を言ってるのではなく、「今、○○さんと話してるから待ってね」と笑顔で言い聞かせる時もあれば、「さっき説明したのに聞いてなかったの!」「質問や意見は後で聞きます。今は先生の話を聞く時間です。」と諭す場合もあります。

 大切なのは、「先生を呼んでるのに無視された」と子どもに思わせない事です。 子どもは、先生が良い話をしてくれるよりも、自分の声に耳を傾けてくれる方を 選びます。教員と言う仕事を続けていく上で大切な事です。ぜひ頑張って下さい。

 それでは、おやすみなさい。

夏休みに家族の一員としての仕事分担を 2008年

2008年07月22日 | 子育て
 つい先日、愛知で中学2年生によるバスジャック事件が起こりました。犯行の動機を新聞は、「父親から彼女との交際について注意されたことを恨み、親を困らせてやろうと思った」と伝えていました。イタリア・フィレンツェ大聖堂への大学生の落書きが話題にもなりました。どちらも幼稚な行動が目立ちます。

 保護者の皆さんは、大人へのステップをどのように歩まれたでしょうか。私の場合は「まき割り」の仕事を任された小学校4年生のとき、少し大人になった気がしました。まきをまっ二つに割るという爽快感以上に、それまで手に触れることのできなかった斧という刃物を任されたことが嬉しかったのだと思います。中学校2年生の冬休みには、祖父の営んでいた食料品店を手伝うため、夜明け前から福島区の中央市場で働きました。初めて手にした給料袋(給料明細書も入っていた)には、お年玉とは全然違う重みがありました。自分の働きが社会で認められたように思えたのです。ふり返れば、私の子ども時代には、手伝いを通じて大人に近づくステップを親や社会からたくさん与えてもらっていたと思います。

 現代は子どもが大人になるきっかけを掴みにくい時代だと言われています。大人になるというのは、誰かに頼る割合を少なくし(お互いが支え合っているのでゼロにはなりません)、周囲の人を支え合える存在になるということです。学校での係活動や掃除活動、家庭での家事分担のように、誰かの為に働くことを積み重ねる中で、責任感・計画性・協力・優しさなどの社会性を身につけ、大人に近づきます。数学の因数分解が解っても、英語が話せるようになっても、それだけでは大人にはなれないのです。

 右の記事は1998年7月の朝日新聞投書欄に掲載された記事です。「実際に手を動かさずして・・・家族への感謝の心、いたわりの心も育たないであろう。」という一節に深く納得し、いろんな場で紹介してきました。(『かけはし』では2度目)バスジャックを行った少年も、もっと思い起こせば医師である母親と弟妹を殺した奈良県東大寺学園の生徒も、家族から、何よりも母親からたくさんの愛情を受けていたはずです。しかし実際に手を動かさなければ、家族の愛情を感じる心も育たないのです。いつも「してもらっている」子どもは、感じる心が麻痺してしまいます。甘いものを食べ続けると、舌の感覚が麻痺するように。麻痺した舌には、いつもは美味しいはずのコーヒーも苦く感じるのです。

 いよいよ夏休みです。遊びも、クラブ活動も、学習も頑張って欲しいと思います。しかし、子どもたちが家族のため何か一つでも家事(仕事)をする、そんな経験を積ませてみてはどうでしょうか。

進路を聞く会2008年⑤

2008年07月17日 | 進路保障
【◎◎◎◎:◎◎小→大商学園高校】
(進路決定について)部活動を重視した。ずっと野球がしたかった。野球をするからには、甲子園を目指そうと思った。悩んだのは学力について。とにかく自分の学力で進学できて、野球ができるところを探した。

(高校生活について)クラブでは、上下関係が厳しい。言葉遣いもタメ語は許されなかった。高校は、社会人となる第一歩であると思った。社会の厳しさを感じた。その後、何をしたいという思いは無かったが、とにかく勉強を始めるのが遅かったことに苦しんだ。そのうち「自分が」がんばらないといけないと思うようになった。高校の先生にあこがれて、教師になりたいという目標ができ、その先生によく話を聞いたりした。

(中学時代の過ごし方)今から勉強しておけば、今後、自分がやりたいことを見つけたときに役立つ。今、自分が何をしたいか。自分が知っておかなければならないことは何かを考えて、一歩大人に近づいていってほしい。

進路を聞く会2008年④

2008年07月15日 | 進路保障
【◎◎◎◎:◎◎小→府立箕面高校】
(進路決定について)公立高校を希望していたが二つの学校を迷った。総合学科と普通科。総合学科は授業の選択の幅が広いが制服。普通科は授業については決まっているが私服。結局、姉が通っていたので想像しやすかった箕面高校にした。

(高校生活について)高校はいろんなところから集まってきている。新しい友達がたくさんできる。どこから通っているの、などの話もある。入学して後悔したのは、信頼できる先生と出会えなかったこと。友達や親に愚痴を言いながら、高校に通っていた。けれど、高校で自分が何をしたいか、自分が何を好きなのかについては、じっくり考えることができた。だから入ったときの後悔は取り消したいと思った。

(勉強方法について)勉強がキライだった。クラブを引退してから、短期集中で取り組んだ。予習・復習をしていなかったので、今まで学んだ内容が残っておらず、消えてしまっていた。後で役に立ったと思うことは、朝の勉強会。入学試験は、朝からなので、朝に頭が働くようにしておかなければいけない。「朝方」に変えておこう。私は家の台所で勉強して父・姉・兄などに分からないことを聞きまくった。「私は受験生なんだ」という雰囲気を強く出した。自分で「勉強する環境」を作って勉強していった。集中できる環境を自分で作ろう。

進路を聞く会 2008年③

2008年07月07日 | 進路保障
【○○○○ ○○小学校→北野高校】
(進路決定について)
 自分の学力と、自転車で通えるということと、私服であるという理由で決めようとした。しかし、すごく悩んで受験の2週間前に変更した。考えたことは、はたして、高校生活がゴールだろうかということ。自分に目標はあるだろうかということ。やりたいことは、年をとっていったら見つかっていくだろうから、いろんなことができそうな可能性を考えた。自分の場合、1学期には、内申が30~40点たりなかった。がんばって上げることはできる。がんばってください。悔いを残す選択はしないように。目標とする高校に向かって努力を。

(高校生活)
 春休みから宿題が出る。いい加減にしていたところ、いきなり試験があり、追試、追追試を受けることになった。中学生活との違いは、より自由なこと。けれど、それゆえに、自分がこうだと思ってすることが大切。

 サッカー部での経験。中学校では、顧問の指導で練習したが、高校では自分たちで練習を考えた。グランドではなく河川敷で練習をすることもあった。昼休みに河川敷を整地したりもした。勉強では、予習の時間が長くなる覚悟を。

(勉強方法)
 家では集中できないという人は、場所を変えるという方法もある。家では、テレビなどの誘惑が多い。中学校の朝の勉強会や、千里中央に新しくできた施設、塾の学習室を使う方法もある。

(中学時代をどう過ごすか)
 自分は、遊びも勉強委もクラブも、めいいっぱいした。全力でやって後悔することはない。自分が何をしたいかを考えて、何事にも全力で取り組んでほしい。



進路を聞く会2008年 ②

2008年07月01日 | 進路保障
【***:**小→府立池田高校】
《進路決定について》私は豊中高校に進学したいと思っていた。けれど、3者面談で担任の先生から、きっぱりと「今の学力では届かない。もし受験したいなら、私立高校へ行く覚悟をしなさい」と言われた。けれど、私には、兄も弟もいるので、家族で経済的なことも考えて、どうしても公立高校へ進学しようということになり、池田高校を受験した。
 もし、第1希望の高校への進学をあきらめても、「気持ちの切り替え」が大切。入学してから、池高を楽しもう!と思った。入った高校を、愛してください。
《勉強方法について》みなさんはどのタイプ?①1年から予習復習をきちんとしてきた。②2年から予習復習をしてきた。③テスト1週間前にしている。④テスト前日に一夜漬けをしている。
 私は、④。経験者は語ります!その方法は身につきません!!高校に入ってからも一夜漬けでしていたところ、赤点の教科が5~6個も出てしまった。やはり、普段の予習・復習は大切です。
《中学と高校の違い》中学と高校との違いは、スケールの大きさ。私の頃は、中学4クラスだったが、高校は、8クラス。クラブ活動でもがんばりました。