文部科学省では、児童生徒の問題行動等について、今後の生徒指導施策推進の参考とするため、標記調査を実施しています。今般、平成19年度の調査結果がまとまりましたので、公表いたします。
1.調査項目・調査対象
1)暴力行為(国公私立・小中高等学校)
2)いじめ(国公私立・小中高特別支援学校)
3)出席停止(公立・小中学校)
4)高等学校の不登校(国公私立・高等学校)
5)中途退学等(国公私立・高等学校)
6)自殺(国公私立・小中高等学校)
7)教育相談(都道府県、政令指定都市、市町村・教育委員会)
小中学校不登校の調査結果は、本年8月7日(木曜日)、学校基本調査(速報)の調査結果公表と同日に公表しています。
2.調査結果の主な特徴
1)暴力行為の発生件数は約5万3千件と、小・中・高等学校のすべての学校種で過去最高の件数に上ること。
2)いじめの認知件数は約10万1千件と、前年度(約12万5千件)より約2万4千件減少しているが、依然として相当数に上ること。
3)高等学校における、不登校者数は約5万3千人(前年度約5万8千人)、中途退学者数は約7万3千人(前年度約7万7千人)と、近年、減少傾向にあるが、なお相当数に上ること。
4)自殺した児童生徒が置かれていた状況として、「いじめの問題」があったケースが5人(前年度6人)計上されていること。
3.調査結果の要旨
(1)暴力行為の状況(PDF:227KB)
暴力行為の発生件数は約5万3千件と、小・中・高等学校すべての学校種で、調査開始以来、過去最高の件数である。
暴力行為の発生件数は、小学校5,214件(前年度より1,411件増加)、中学校36,803件(前年度より6,239件増加)、高等学校10,739件(前年度より485件増加)の合計52,756件(前年度より8,135件増加)。
「対教師暴力」は6,959件(前年度より565件増加)。
「生徒間暴力」は28,396件(前年度より5,132件増加)。
「対人暴力」は1,683件(前年度より19件増加)。
「器物損壊」は15,718件(前年度より2,419件増加)。
暴力行為が発生した学校数について、
暴力行為が学校内で発生した学校数は8,204校(前年度より493校増加)で、全学校数に占める割合は21.0パーセント(前年度より1.4パーセント増加)。
学校外で暴力行為を起こした児童生徒が在籍する学校数は2,918校(前年度より62校増加)、全学校に占める割合は7.5パーセント(前年度より0.2パーセント増加)。
加害児童生徒数は56,424人(前年度より8,633人増加)。
加害児童生徒のうち学校が何らかの措置をとった児童生徒は、小学校で74人(前年度より8人増加)、中学校で1,612人(前年度より265人増加)、高等学校で10,975人(前年度より680人増加)。
加害児童生徒のうち関係機関により何らかの措置がとられた児童生徒は、小学校で182人(前年度より81人増加)、中学校で3,872人(前年度より305人増加)、高等学校で648人(前年度より107人減少)。
なお、今回初めて調査した、加害児童生徒に対する学校の対応における「連携した機関等」では、「警察等の刑事司法機関と連携した対応」(「サポートチーム」の取組など)が最も多く、小学校で187人、中学校で4,219人、高等学校で755人。
(2)いじめの状況(PDF:240KB)
いじめの認知件数は約10万1千件と、前年度(約12万5千件)より約2万4千件減少しているが、依然として相当数に上る。
いじめの認知件数は、小学校48,896件(前年度より12,001件減少)、中学校43,505件(7,805件減少)、高等学校8,385件(前年度より3,922件減少)、特別支援学校341件(前年度より43件減少)の合計101,127件(前年度より23,771件減少)。
いじめの現在の状況で「解消しているもの」の件数の割合は79.7パーセント(前年度より1.2パーセント減少)。
いじめを認知した学校の割合は46.9パーセント(前年度より8.1パーセント減少)。
いじめの発見のきっかけは、
「本人からの訴え」は24.7パーセント(前年度より1.2パーセント増加)で最も多い。
「アンケート調査など学校の取組により発見」は22.7パーセント(前年度より0.8パーセント減少)。
いじめられた児童生徒の相談状況は「学級担任に相談」が69.2パーセント(前年度より2.8パーセント増加)で最も多い。
いじめの態様のうち携帯電話等を使ったいじめは5,899件(前年度より1,016件増加)で、いじめの認知件数に占める割合は5.8パーセント(前年度より1.9パーセント増加)。
いじめの日常的な実態把握のための学校の取組について、
「アンケート調査の実施」がいじめを認知した学校で74.6パーセント、いじめを認知していない学校で57.6パーセントの合計65.5パーセント(前年度より6.0パーセント減少)
「個人面談」がいじめを認知した学校で88.0パーセント、いじめを認知していない学校で70.3パーセントの合計78.6パーセント(前年度より0.8パーセント増加)
「家庭訪問」がいじめを認知した学校で61.6パーセント、いじめを認知していない学校で51.4パーセントの合計56.2パーセント(前年度より3.4パーセント増加)
(3)出席停止の状況(PDF:52KB)
出席停止の措置件数は40件で、前年度と比べて20件の減少である。
出席停止の措置件数は、小学校0件(前年度より2件減少)、中学校40件(前年度より18件減少)の合計40件(前年度より20件減少)。
いじめを理由とする出席停止の措置件数は2件(前年度0件)。
(4)高等学校の不登校の状況(PDF:209KB)
不登校生徒数は約5万3千人と、調査開始以来、減少傾向を示している。
高等学校における不登校生徒数は53,041人(前年度より4,503人減少)で、在籍者数に占める割合は1.56パーセント(前年度より0.09パーセント減少)。
不登校生徒のうち中途退学に至った者は19,774人(前年度より1,711人減少)。
不登校生徒のうち原級留置となった者は5,243人(前年度より460人減少)。
不登校状態が前年度より継続している者は20,672人(前年度より704人減少)。
不登校となったきっかけは「その他本人に関わる問題」が35.1パーセント(前年度より0.5パーセント増加)で最も多い。
不登校状態が継続している理由は「無気力」が27.3パーセント(前年度より0.8パーセント増加)で最も多い。
学校外の施設や機関等で相談・指導を受けた不登校生徒数は10,361人で不登校生徒数に占める割合は19.5パーセント。(今回はじめて調査)
(5)中途退学の状況(PDF:128KB)
中途退学者数は約7万3千人と、近年、減少傾向を示している。
中途退学者数は72,854人(前年度より4,173人減少)で、在籍者数に占める割合(以下、「中退率」という)は2.1パーセント(前年度より0.1パーセント減少)。
「学校生活・学業不適応」を事由とした中途退学者の割合は38.8パーセント(前年度より0.1パーセント減少)。
「進路変更」を事由とした中途退学者の割合は33.2パーセント(前年度より0.2パーセント減少)。
懲戒による退学、原級留置、再入学、編入学について、
退学者は474人(前年度より45人増加)。
原級留置者は16,374人(前年度より1,312人減少)。
平成19年度以前に中途退学した者のうち再入学した者は923人(前年度より130人減少)。
平成19年度以前に中途退学した者のうち編入学した者は7,232人(前年度より70人減少)。
(6)自殺の状況(PDF:101KB)
自殺した児童生徒が置かれていた状況として、「いじめの問題」があったケースが5人(前年度6人)計上されている。
自殺した児童生徒数は、小学校3人(前年度より1人増)、中学校34人(前年度より7人減少)、高等学校121人(前年度より7人減)の合計158人(前年度より13人減少)。
自殺した児童生徒の状況において「いじめの問題」があった生徒は5人(前年度6人)。
(7)教育相談の状況(PDF:74KB)
都道府県・政令指定都市教育委員会、市町村教育委員会が所管する教育相談機関数は、いずれも減少しているが、教育相談件数はいずれも増加している。
都道府県・政令指定都市の教育委員会が所管する教育相談機関は174ヵ所(前年度より10ヵ所減少)。
相談員は1,758人(前年度より114人減少)。
教育相談件数は217,493件(前年度より4,075件増加)。
市町村(政令指定都市を除く)教育委員会が所管する教育相談機関は1,318ヵ所(前年度より150ヵ所減少)。
相談員は4,887人(前年度より49人増加)。
教育相談件数は783,019件(前年度より16,641件増加)。
[お問い合わせ先]
初等中等教育局児童生徒課
課長 磯谷 桂介(内線2385)
生徒指導室長 岸田 憲夫(内線2387)
電話:03-5253-4111(代表)
文部科学省ホームページより
(初等中等教育局児童生徒課)