教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

進路を前に考えたこと

2010年02月26日 | 進路保障
 2月最後の学活は、進路を考える時間でした。学年の打ち合わせでは、目前にせまった合唱コンクールの練習に割り当てられていたのですが、沈滞したクラスの状況を考えれば、お互いの気持ちを少しでも共有することが大切と考え4人の作文を紹介しました。一年間、せっかく同じ教室で机を並べたのに、隣に座る友人が、どんなことに悩んだり喜んだりしているのかを知らないと、一緒のクラスでいる意味がない、そう言い続けてきた一年でした。どんな効果があったのかは、今後検証していきます。以下は紹介した作文の内容です。

○僕はこの一年間進路について様々なことを考えました。中でも、今考えていることが、自分の進路を決めるにあたって、最も重要なことです。それは、サッカーが強いけれど、とても遠い私立高校に行くか、それとも、それほど遠くなくて、サッカーは普通くらいの公立高校に行くかです。自分の中では、どちらを選択するかはだいたい決まっていますが、もし高校に行ったとして、その私立高校に行っても試合に出してもらえず、ずっと応援しているようなら公立高校に行けば良かったなと思うことです。僕はこの一年間を通して、努力して自分の道を広げるか、それともいける高校に行くのかで、大きく違ってくると思うし、人生を大きく左右することを学びました。高校に入ってもサッカーはするので、サッカーも勉強も両方充実しながら高校生活をおくりたいです。《◎◎◎◎》

●クラブ活動を中心に高校を選んだ者にも、強豪校に入ったためレギュラーになれなかったらどうしよう、という大きな不安があることを知ることができる作文でした。我がクラスには、他にもクラブ活動を判断基準にしているケースが多いので、同じような不安を代表する意見だったと思います。

○僕は、進路・受験を甘くみていた。1・2年はクラブに没頭して楽しくしてきたけれど、3年になって急にみんなの雰囲気が変わってとまどった。口を開けば志望校・内申点・テストの点数・塾のことばかりだった。もっと平和的に仲良く受験することができればいいのに、内申点は取り合いだし、そんなこと言っている自分も他の人の点数を確認して一喜一憂したりと、本当に辛かったし、不安だった。そして夏休みには、朝からクラブで終わったら塾に直行して10時過ぎに帰るという生活が続いた。そうして2学期になって、だらけた。どの教科も点数は落ちて、焦りを覚えた。とりあえず、嫌になった。毎日そんなことばかり考えていて、しんどくなった。そして、なんとか私学を決めて、頑張ろうという気持ちになって、勉強を今までで一番長い時間、濃い内容をしたと思う。特に数学と英語は自分でもわかるぐらい伸びたし、いい点を取るたびに嬉しく感じた。友達と一緒に特別教室に行ったりもした。だけど、友達は超難関校に挑んで落ちてしまった。初めて、人の事であんなに落ち込んだっていうぐらい、気持ちが重くなった。その人の努力を知っている分、本当に悔しくなったし、自分もそうなるかもと大きな不安が生じた。そこでまた、受験の怖さを知った。《◎◎◎◎》

●何をしてもピカイチの生徒は入試に動じることのない日々を送っているのでは、とクラスの生徒は思っていたようです。しかし加熱する受験競争や友人の不合格にも心を痛めるという作文を聞き、小さな衝撃を受ける生徒もいたようです。

○最初は進路について知らなかったので、あまり深く考えていなかった。だけど受験が近くなると、自分でも焦りだして、ちゃんと考えるようになった。自分の学力ならどこの高校に合格できるかだとか色々考えた。2学期までなら大丈夫な高校でも、3学期になって内申点やテストが悪くなったりすると、その高校に合格できないんじゃないかと思ったりして、余計に不安な気持ちになった。入試が近づくと、何を勉強すればいいのか分からなくなったり、勉強して分からないところがあったりすると、余計不安になり、時間もなくなっていった。入試当日も、不安な気持ちのまま家を出て高校に向かった。試験を終えてからも、自分ではあまりできなかったと思っていた。だけど第一志望に受かった時は、とても嬉しかった。これから公立の後期入試もあり、まだまだ気を抜けないけれど、これからは今まで以上に頑張って公立の入試に臨みたいと思った。周りはもう入試が終わって高校が決まっている人がいて、たまにつられてふざけてしまう時がある。だけど流されないようにして、頑張りたい。《◎◎◎◎》

●不安な気持ちのまま家を出て高校に向かったという意見は多くの生徒の共感を得たものでした。小さな集団に閉じこもりがちな生徒たちは、少しは視野を広げるこができただろうか。