教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

中学校入学!こんなクラスにしたい!!②

2008年04月28日 | 小中連携
 皆さんには今までに「このクラスで過ごせて楽しかった」と思えた経験があったでしょうか。楽しかったクラスには、必ずクラスを盛り上げてくれた誰かがいたはずです。今のクラスを楽しいクラスにするためには、あなた方がその『誰か』になって欲しいと思います。もちろん個性の違う皆さんが、丸ごと誰かになりきることなど不可能です。でも自分の得意な分野でクラスを盛り上げて下さい。例えばスポーツの得意な人は体育行事で、勉強の得意な人は教え合い学習の場で、友達を作るのがうまい人は昼休みにクラスの人を遊びに誘ってみるなど。なんにも得意が無い?それなら朝、友達に出会った時に「おはよう!」と声をかけてはどうでしょうか。きっとすがすがしい気持ちで朝を迎えられることと思います。皆さんのちょっとした努力が素敵なクラスを作る一歩になるのです。今回は2組のみなさんの作文を紹介します。

【2組 ○○○○】私は○○小学校からこの○中に来ました。クラスが決まったとき、○○小と○○小の人数の差があまりなかったのでびっくりしました。1年2組は、あまり○○小と○○小の人が話しているのを見かけません。でも最近は話しているのを見かけるので2・3日で仲良くなることができてよかったと思いました。女子は10人中3人しか○○小の人がいなくて話しにくいかもと思っていたけど、○○小の人が普通に話しかけてくれたので、すぐに友達になれてよかったです。とてもいいクラスだと思います。これからはもっと仲を深めていきたいです。

【2組 ○○○○○】○○小の人とあんまりしゃべってないから○○小・○○小関係なくみんなが仲良くできるクラスにしたい。イジメや悪口のない、みんなが安心して教室に入れるようなクラスにしたいです。たまに笑いがあって授業の時は集中して自分たちで行動して人に頼り過ぎないクラスがいいです。授業中の人が発表している時もバカにしたり笑ったりからかったりしないように一人ひとりが気をつけていると、とってもいいクラスになると思います。

【2組 ○○○○】まず○○小の人達といっぱいしゃべり、早く友達になりたいです。自分の係りを頑張って技術と家庭科の時にみんなをまとめられたら良いです。誰一人仲間はずれにせずに思いやりがあって、様々な事を頑張る勇気をくれるクラスになったらいいと思います。学年の目標もみんなで守っていきたいと思っています。

【2組 ○○○○】ありがちだけど、やっぱり楽しいクラスがいいです。あと一つはみんなが過ごしやすいクラスです。人の悪口を言わないということもあるし、いじめがないっていうことも、みんなが過ごしやすいクラスの中にふくまれていると思います。自分はもしだれかがいじめられていたら絶対に過ごしにくいと思うし、悪口を言われたら教室などに自分の居場所がないように感じたりするので、みんなが過ごしやすいクラスがいいなと思いました。

【2組 ○○○】ぼくはイジメがなく明るいクラスになってほしいです。けんかをしても仲直りは2日ぐらいでできるけど、イジメがあればそう簡単には解決できないと思います。もしイジメがおきればみんなで仲直りできるようなクラスになってほしいです。また昼休みのときとかに、ひとりで行動するんじゃなくて、みんなが遊べるようなクラスになってほしいです。誰かがイジメられたら、それを止められるようなクラスになってほしいです。

【2組 ○○○○】楽しく、まじめに、仲良く、まわりの人の気持ちを考えて行動できるクラスにしたいです。何事にも真剣に取り組めるクラス。約束を守れるクラス。物を大切にするクラス。整理せいとんができるクラス。あいさつがきっちりできるクラス。    (次号では2組の作文の続きと3組の作文を紹介します)
『かけはし97号』4月28日発行より

学校事故;傘目に刺さり男子生徒重体~横浜・桐蔭学園

2008年04月27日 | 子どもの事件
横浜市青葉区鉄町、桐蔭学園(榊原滋理事長)は19日、高校の教室で同級生が振り回したビニール傘が男子生徒(16)の左目に刺さり、意識不明の重体になったと発表した。学園によると、18日午後3時50分ごろ、同校北棟の教室で、同級生の男子生徒(16)が野球のバットを素振りするようにビニール傘を振り回したところ、握っていた柄の部分から本体が抜け、近くにいた男子生徒の左目に突き刺さった。救急車で病院に運ばれ、脳挫傷と眼球損傷などのけがをし、意識がないという。事故当時は放課後で、教室には生徒が十数人いた。(4月19日『毎日新聞』より)

 小中学生の皆さんは廊下や運動場で傘(かさ)を振り回して遊んだ経験がないでしょうか。傘は金属バットのような重みがないため、危険性が分かりにくいものです。確かに金属バットで叩かれたら命の危険がありますが、傘で叩かれてもそんなに痛くはないでしょう。しかし傘の柄は、握る部分と本体とは別の部品からなり、少し力を入れたり振り回したりすると抜けてしまうことがあります。抜けて飛び出した傘は凶器です。報道された事故は、野球でも有名な神奈川県桐蔭学園高校で起こりました。傘が刺さった高校生の目は二度と見えることはありません。皆さんがこのような事故を起こさないため、絶対に傘を振り回さないようにしましょう。

全国学力テスト/一律の実施は必要なのか

2008年04月26日 | 教育資料
 神戸新聞
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2006/05/12

 小中学生を対象にした大掛かりな全国学力テストが二〇〇七年度から実施される。
 文部科学省によれば、対象は小学六年と中学三年の全員で、国語と算数(数学)の二教科に絞って行う。
 全国学力テストは、一九五〇年代から六〇年代にかけて行われたことがあるが、学校間競争が過熱し、批判が高まったことから中止された。近年は、数年に一回程度、地域や学校を一部抽出する形で実施し、学校ごとの結果分析なども控えている。
 最近、学力低下を指摘する声が高まってきた。要因として「ゆとり教育」をやり玉に挙げる向きもある。今回、文科省は学習到達度の把握を目的に全国テスト復活を決めた。しかし、学校間競争や序列化の懸念から反対論も多く、愛知県犬山市のように不参加を表明する自治体も現れている。
 先ごろ文科省の専門家会議がまとめた報告では、国が行う結果公表は、都道府県単位にとどめるとされた。無用な学校間競争などを避けるためには当然の配慮だ。
 ただ、市町村や学校が自ら結果を公表することは「それぞれの判断に委ねる」としている。これでは、国がレールを敷いておいて、最終責任を地方に丸投げすることにならないか。
 全員対象の学力調査の必要性についても疑問が残る。学習上の問題点や課題傾向を把握するなら、すでに国が実施している抽出方式で十分だし、児童・生徒それぞれのつまずき解消なら、学校ごとの試験やクラス内指導にこそ力を入れるべきだろう。
 自治体レベルでの学力調査が、さまざまな形で実施されていることも忘れてはなるまい。兵庫県教委は昨年度、文科省が実施した学力テストと同じ問題を使って全県基礎学力調査を実施した。神戸市を除く公立の小学五、六年と中学一、二年から、受験者を抽出して行った。学校単位の結果公表は控え、地域間などの要素で分析した。
 このように、既存のテストで十分に対応できる。強制力を伴う全国テストは教育現場の負担も大きい。国が多額の費用をかけてまで行う意味がどれほどあるだろう。
 犬山市の不参加理由にも傾聴すべき点が多々ある。地方分権の時代に国が押し付ける「○×式」の画一的な試験は受け入れがたいという。「自ら学ぶ力」をはぐくむ教育を掲げ、小人数学級を推進して注目された犬山方式の精神に反するともいう。
 全国一律のテストは、またぞろ「知育偏重」「試験至上主義」を助長しかねないのではないか。屋上屋を架すようなテストの実施には、さらに熟考が必要だ。
社説(2006年5月19日朝刊)沖縄タイムス
[全国学力テスト]
序列化の懸念が消えない
 かつて競争の過熱が問題となった全国学力テストが四十数年ぶりに復活する。
 前文部科学相が「競争意識を持たせよう」と提起したのがきっかけで、同省の専門家会議が審議を重ねてきた。背景にあるのは学力低下批判だ。
 来年四月実施が明らかになったテストは小学六年と中学三年の全員を対象とし、国語と算数(数学)の二教科で学力を測る。結果の公表は都道府県単位にとどめるが、市町村や学校が自らの判断で公表することは拒まない。
 専門家会議は、その目的を国の教育施策の検証と教育委員会、学校の指導改善としている。子どもの学習の到達度を把握することで、教育施策の改善に結び付けるほか、学校が自校を評価する際、指標の一つにしたい考えだ。
 すべての子どもに確かな学力を保障することが教育の役割であり、つまずきを知るためのデータとしてテストが有用であることは否定しない。
 しかし競争をあおる懸念が消えない。
 四十年余り前、全国の中学で実施されたテストは、試験当日に成績の悪い生徒を休ませるなど、過度の競争という「負の遺産」を残した。
 当時と比べ、学校や教師に対する視線が厳しい今、保護者が結果の公表を求めるのは必至だ。学校選択制が広がる中、その結果が学校選びに反映されるのは自然の流れである。さらに数字が独り歩きすれば、地域や学校のランク付けにつながる恐れもある。
 教育施策の検証が、必ずしも全員対象の調査である必要はなく、既に実施しているサンプル調査で十分ではないか。子どもの学習到達度の把握も、日々の指導の中で行われるべきものだ。
 競争により活気が出て意欲が高まればいいが、点数至上主義への逆戻りは意欲を削ぐことになりかねない。
 テストで測定できるのは、子どもの力のほんの一部にすぎない。表現力や思考力、生きる力といった、測りにくいが必要な力にこそ関心を向けるべきだ。





旭川学力テスト事件大法廷判決からみた学力テストの問題点

2008年04月25日 | 教育資料
全国いっせい学力調査と個人情報保護をめぐる法的問題 Ⅱ
平成19年4月18日
全教弁護団

2007-04-18 00:00:00

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当弁護団は、本年実施される全国学力テストが、個人情報保護法等の個人情報保護の立場からみて重大な疑念のあることを明らかにしてきた。本稿では、あらためて、全国学力テストについて、旭川学力テスト事件大法廷判決からみても、個人情報保護法上、極めて大きな問題を孕むものであることを指摘する。

1 遵守されるべき旭川学力テスト事件大法廷判決
全国学力テストに関しては、昭和51年5月21日、旭川学力テスト事件大法廷判決がある。この判決は、文部省(当時)の企画等と教育委員会の実施行為とを区別して、後者の行為を合法とした。結果として学力テストの実施を認めることとなり、その論理には十分な説得力はなく、批判されなければならない内容となっている。しかしながら、当時の文部省の関与について違法と結論したこと、そのことは、今回の学力テストの実施にあたって、重要な指針とされる意義を有している。

すなわち判決は、当時の文部省が、学力テストを企画、立案し、実施を要求することにつき、次のとおり違法と判断している。

「 地教行法54条2項が、同法53条との対比上、文部大臣において本件学力調査のような調査の実施を要求する権限までをも認めたものと解し難い」

「 文部大臣は、地教行法54条2項によっては地教委に対し本件学力調査の実施をその義務として要求することができないことは、さきに三において述べたとおりであり、このような要求をすることが教育に関する地方自治の原則に反することは、これを否定することができない。」

今回の学力テストについて、文科省は、全教との交渉の場で、平成19年4月12日、この旭川学力テスト事件大法廷判決を遵守すると表明している。文科省は、遵守の内容として、学力テストに参加するかどうか、各地の教育委員会の判断に委ねられているとしている。

ところで、学力テストの実施の有無が、各教育委員会の自主的判断に委ねられているとすることは、それ自体は重要なことである。しかしながら、旭川学力テスト事件大法廷判決は、参加するかどうか、各地の教育委員会の判断に委ねられている場合、その実施が全て合法化されるといった簡単な内容ではないことが指摘されなければならない。本件学力テストの実施にあたって、旭川学力テスト事件大法廷判決からみて違反することがないかどうか、文科省が遵守すると表明している立場からみて、十分な検証が必要とされる。中でも、新しく浮かび上がった問題として、個人情報保護法が制定されて、個人情報の保護が法益として認められた現在において、旭川学力テスト事件大法廷判決と個人情報保護との整合性につき、新たに検討される必要があるのである。

2 大法廷判決の意味する内容
(1) 同判決は、学力テストにつき、教育法制に沿って十分に検証されなければならないとして、その学力テストの全体像において検討されなければならないとしている。

「 原判決は、本件学力調査は、その目的及び経緯に照らし、全体として文部大臣を実質上の主体とする調査であり、市町村教委の実施行為はその一環をなすものにすぎず、したがってその実質上の適否は、右の全体としての調査との関連において判断されなければならないとし、文部大臣の右調査は、教基法10条を初めとする現行教育法秩序に違反する実質的違法性をもち、ひいては旭川市教委による調査実施行為も違法であることを免れない、と断じている。本件学力調査は文部大臣において企画、立案し、その要求に応じて実施されたものであり、したがって、当裁判所も、右調査実施行為の実質上の適法性、特に教基法10条との関係におけるそれは、右の全体としての調査との関連において検討、判断されるべきものとする原判決の見解は、これを支持すべきものと考える。」
判決は、結論としては、文部省の違法な企画、立案、要求と、各教育委員会の実施行為とを区別して、各教育委員会自体が学力テストを実施することは違法ではないとした。しかし、この判旨にあるとおり、全国学力テストが、「文部大臣において企画、立案し、その要求に応じて実施され」ることは、「教育に関する地方自治の原則に反すること」としたのである。そうであるならば、教育委員会の判断の自主性がそこなわれるかどうか、そのことは調査全体の違法にかかわる問題となる。また、全国学力テストに参加するかどうか、その判断が形式的なもので、実質的に判断されていない状況にある場合には、そのような企画・立案・要求のもとで実施される学力テストはその全体において違法とされなければならないと考えられることとなる。

本年の学力テストは、テストの集約、採点、評価とそれらの全体が文科省の主導のもとで実施されるのであり、「教育に関する地方自治の原則に反する」とされる事態はさらに拡大しているのである。

(2)同判決は、文部大臣の関与について、地教行法54条2項を根拠にして、学力テストの実施を各教育委員会に要求することはできないとし、地教行法54条2項による文部大臣の権限は、教育委員会が実施した学力テストの結果を入手しうることにとどまるとしている。旭川学力テスト事件大法廷判決に立つ限り、学力テストの実施主体は、各教育員会である。

この判断は、「調査結果の整理集計は、原則として、市町村立学校については、市町村教委が行い、都道府県教委において都道府県単位の集計を文部省に提出するもの」との実施態様によることを前提としてなされている。本年の学力テストのように、文科省主導のもとに、すべてのテストが、そのまま文科省に集約されて、それらの全てが、民間の営利企業に提供されるといった乱暴な措置は全く前提とされていない。

この旭川学力テスト事件大法廷判決の意味するところを、個人情報保護法の立場からみると、個人情報を第1次時的に取得して、その保護をはかる安全管理責任者は、各教育委員会であるということである。同時に、そのことは、文科省が、「都道府県単位の集計を文部省に提出するもの」として取得される以上の個人情報を保有することは認められないことを意味しているのである。

(3) 同判決は、学力テストの実施目的についても、注意深く限定を行っている。

すなわち、判決は、学力テストの実施目的につき、個々の生徒に対する教育の一環としての活動と明確に区別して、全国中学生の学力の一般的調査であることとしているのである。

「 学力調査としての試験は、あくまでも全国中学校の生徒の学力の程度が一般的にどのようなものであるかを調査するためにされるものであって、教育活動としての試験の場合のように、個々の生徒に対する教育の一環としての成績評価のためにされるものではなく、両者の間には、その趣旨と性格において明らかに区別があるのである」
この判旨からみても、本件学力調査は、「全国中学校の生徒の学力の程度が一般的にどのようなものであるかを調査するためにされるもの」でなければならない。氏名、出席番号まで明示した悉皆調査は、この目的を逸脱していることになる。また、このことを、個人情報保護法の立場からみると、文科省は、「全国中学校の生徒の学力の程度が一般的にどのようなものであるかを調査するため」という目的以上の個人情報の保有は、一切認められないこととなる。

(4) 更に判決は、学力テストが、学力の一般的調査の場合に認められるとして、その場合でも「許された目的のために必要な範囲において、その方法につき法的な制約が存する場合にはその制約のしたで、行われなければならず、これに違反するときは、違法となることを免れない。」としていることが重要である。「許された目的のために必要な範囲」を超えてはならないことは記述のとおりであるが、「その方法につき法的な制約が存する場合」としては、当然、その制約の中に個人情報保護法制が組みこまれることになるからである。

3 問題となる本件の実施態様
この旭川学力テスト事件大法廷判決からみて、今回の学力テストの実施態様は、前記のとおり、極めて問題とされなければならない。その上で、個人情報保護の見地から再度問題点を指摘したい。

(1) 判決は、地教行法54条2項によって、文科省が、市町村教委が行った整理集計した結果を、都道府県教委から都道府県単位で提出される情報を入手する場合を認めている。しかし、そのことから、本年の調査のように、文科省主導のもとに、すべてのテストが、文科省に集約されるということを容認することにならないことは明らかである。

また、各生徒のテスト結果を、文科省が全て集約するということは、「全国中学校の生徒の学力の程度が一般的にどのようなものであるかを調査するためにされるもの」という目的を超えた、個人情報の保有ということとされる。そのことは、行政機関等個人情報保護法3条のいう目的外の保有の禁止、最小限保有という原則からみても、違法である。全生徒の各人別の情報保有が文科省に認められる余地はないとされなければならない。

2.  民間の営利企業に、試験のすべてを提供することの問題点は、これまで論じてきたとおりである。その上で、指摘されるべきことは、個人情報の安全管理責任の所在である。ベネッセ等と契約して、ベネッセ等へ提供して、個人データの返却、破棄、削除の実施、複写の禁止、盗用の禁止を監視する主体は誰かという問題である。

仮に、学力テストを実施して、個人情報を取得することが、教育委員会にみとめられたとして、その個人情報保護の安全管理は、当該教育委員会が責任を有すべきことである。各教育委員会が責任を持たないことは、安全管理義務違反である。

再三私的するとおり、旭川学力テスト事件大法廷判決は、学力テストを文科省が企画、立案、要求することにつき違法であるとして、各教育委員会がその判断において実施する形態においてかろうじて違法ではないとしたのである。その文科省が、安全管理措置を教育委員会に代行するなどということは法が全く予定していないところである。

4 重要な情報の開示と教育委員会の責任
旭川学力テスト事件大法廷判決は、学力テストの実施が教育委員会の判断と責任において実施されるものであることを明らかにしている。そのことから、緊急な事態を前にして、特に各教育委員会の責任について指摘をしたい。

まず、今回の学力テストの実施が、各教育委員会の自主的な判断で実施されていることを、理由を示して、市民、父母、生徒に対して、明らかにしなければならない。

次に、各教育委員会は、個人情報保護法体制のもとで、学力テストの実施目的からみて、氏名、出席番号当、各人を特定したテストの情報保有が個人情報保護法のもとで許されること、そして、教育委員会自身の固有の責任として個人情報の安全管理措置を徹底していること、それらを、各生徒、保護者に説明責任を果たさなければならない。そのことは、行政機関等個人情報保護法4条が「あらかじめ、本人に対し、その理由目的を明示しなければならない」と求めているところである。

しかしながら、そのような説明責任が果たされ、生徒・父兄に対して、教育委員会が責任をもって理由目的を明示したとは思えない事態が、現在に至っても続いている。結果として、旭川学力テスト事件大法廷判決の法理に反し、個人情報保護法制上の疑念が払拭されない場合、拙速にして、疑念の多い、今回の学力テストの実施は中止し、延期されなければならないこととなる。

なお、本意見書では、教育委員会の責任について主要に論じている。しかし、文科省が実施主体となり、各地教育委員会は参加にとどまるという、今回の実施の方法そのものからみると、旭川学力テスト事件大法廷判決からみても、個人情報保護法違反ということにとどまらず、旭川学力テスト事件大法廷判決の結論が一歩進められて、本学力テスト全体が、違法性を有するものとなりうることを、念のため、指摘しておきたい。





中学校入学!こんなクラスにしたい!!①

2008年04月24日 | 小中連携
 「中学校にイジメはありますか」「学校生活は楽しいですか」過去の中学校説明会で小学校6年生から必ずこのような質問を受けました。私はいつもこんな風に答えていました。「たとえ○中にイジメがなかったとしても、中学校生活が楽しかったとしても、それはあくまでも先輩たちの中学校生活がそうであったということに過ぎません。みなさんのこれからの中学校生活が楽しいものになるのかそうでなくなるかは、みなさんの行動にかかっています。先生や親は、みなさんの応援はできますが、中学校生活を楽しいものにできるかどうかは、みなさん一人ひとりの努力にかかっています。」

 中学校の新入生は4月15日『中学校入学にあたって』という作文を書きました。その中でどんなクラスにしたいかという願いを思い思いに書きました。一部を紹介します。

 自分と同じような願いを見つけることができるでしょうか。それとも自分には思いもつかなかった深い考えの願いを見つけることができるでしょうか。

 今回は1組です。
【1組 ○○○○○】楽しいところがあるのはいいと思います。なので、楽しいところにしたいです。中学というのは固いイメージがあって、あまり楽しくできないように思います。その中で、楽しいクラスであってあって欲しいと思いました。クラスが一番楽しいと思えたら私にとっては嬉しいです。

【1組 ○○○○】楽しいクラスにしたいけど、けじめのないクラスはだめなので、けじめがあって楽しいクラスにしたいです。あとは友達を増やしていろんな人とかかわりを持てるようにしたいです。

【1組 ○○○】最後まで集中力が続くように自分を入れてがんばりたいです。いじめのないクラスにしたいです。

【1組 ○○】一部の仲の良い人とだけではなく、○○小の人たちとも仲良くなれるよう自分を変えたいです。そうするとクラスも変わってくると思います。

【1組 ○○○○○】最近新聞などでイジメ問題が多発しているので、イジメもなく思いやりを持ったクラスだといいと思えます。あと先生や人が前で話されているときは、しっかりと聞き、途中で話のジャマをしないことが一番大事だと思います。

【1組 ○○○○】休み時間にはリラックスして笑い話ができ、授業の時は、ちゃんと緊張して授業に取り組めるような、切り替えの早くできるクラスにしたいです。また小学校との違いにあせらず、みんな良い成績でいられたらいいと思います。そしてあまり先生に怒られないように一人ひとりがちゃんと先生の話を聞き、言われた事を実行していけるクラスにしたい。

【1組 ○○○○】何事にも一生懸命に取り組む、明るくてまっすぐなクラスにしていきたいと思います。今は○○小学校と○○小学校が一つのクラスになったので、最初だから話かけることがすごく難しいと思います。だけど先輩たちのクラスを見るとみんな仲良くしているのを見ました。なので、僕たちも時間がかかると思いますが、みんな仲良くなると僕は思います。

大阪府不登校対応専任教員の配置と任務

2008年04月21日 | 不登校問題
 大阪府独自の取り組みにより府下に14名が選任教員として配置されました。私は今年4年目の担当となりました。

大阪府不登校対応専任教員の配置と任務
1 主旨(略)
2 任務
  不登校対応専任教員は、おおむね次の事項を担当する。
  ○ 配置市町村における不登校の課題解決のために、学校内外にわたって活動する。
  ○ 配置拠点校においては、不登校児童生徒及び保護者の対応、スクールカウンセラーや相談員等との連携、校内適応指導教室などへの関わりなど、不登校解決のための核となる。
  ○ 家庭、地域や関係機関との連携を担うことにより、学校内外からサポートの充実を図る。
  ○ 各中学校及び小学校との連携を図り、市町村内の不登校児童生徒の状況を把握するとともに、不登校児童生徒に対する取組及び不登校の予防・早期発見についての調査研究を進める。
  ○ 大阪府教育委員会が主催する研修及び研究会等に参加し、配置市町村内にその成果の普及にあたる。
3 資格
不登校対応専任教員は教諭のうちから、次の各号に該当するものを市町村教育委員会が任命し、府教育委員会に報告するものとする。
○ 生徒指導及び不登校の課題解決に熱意と識見を有し、実践力、企画・調整力に優れた者
○ 教職経験が豊かな者

参考
大阪府指導総合コーディネーターの配置と任務
3.資格
指導総合コーディネーターは教諭のうちから、次の各号に該当するものを市町村教育委員会が大阪府に報告するものとする。
○ 教育指導に熱意と識見を有し、実践力、企画・調整力に優れた者
○ 教育経験が豊かな者

不登校問題を考える①子どもが学校に来るということ

2008年04月18日 | 不登校問題
子どもたちの不登校を考える前に、子どもたちと学校がどのように繋がっているのかを考えてみたいと思います。言い換えると、子どもたちがなぜ学校に来ているのかを考えなければなりません。私は子どもが学校に来る要因を次のように考えています。

 ≪第1に規範意識≫学校には行くものだし、行かねばならないと親子共に考えている場合です。
 ≪第2に家庭の力≫子どもを学校に送り出す力で、衣食住の安定を基本としながら子どもの就寝や起床習慣を身に付けさせたり、子どもの抱える問題を解決してやったり時にはほめたり励ましたりしながら登校させるという環境作り全般を指します。
 ≪第3に利益誘導≫将来○○高校に行き××大学に入り安定した生活をしたいという願いです。
 ≪第4に目標≫中学校生活に目標を持っている子どもです。クラブ活動・行事・学校生活・友人関係・学習などに自分なりの目標を持っていて、それを達成したいと考えている子どもたちです。
 ≪第5に楽しさ≫とにかく学校に行くのが楽しく学校が好きと考えている場合です。

 規範意識は大切ですが、既に形成された規範意識に頼っているとそれが崩れると学校は窮地に陥ります。家庭の力も大切ですが、親たちの生活も脅かされている今、家庭の教育力も危うくなります。利益誘導も、それが達成されないことが分かるや否や消え去ります。ようするに第1から第3は学校が作り出したものではないので、そんなものに頼っていては(もちろん「ある」に越したことはないのですが・・)子どもたちと学校の絆はできません。
 
 学校が頼れる子どもとの繋がりは、第4の『目標』と第5の『楽しさ』です。この二つは、学校の取り組みによって伸ばすことができます。不登校・生徒指導・集団づくり・学習指導の取り組みの中で、第4第5の要因がどのように生かされているか意識しなければならないと思います。
 
 

改定 千里の歴史①~服部緑地が海岸だった縄文時代

2008年04月16日 | 北摂T市の歴史
私たちの町に人が住みだしたのは、いつごろでしょうか。文字が無かったので正確な年代はわからないのですが、市内各地で発見された土器を調べると1万年ぐらい前の縄文時代には人が住んでいたようです。
 
 今地球温暖化が問題になっていますが縄文時代の地球も温暖な時期でした。海面は今よりも3~5mも高く、大阪湾は右の図(大阪自然史博物館資料)のように生駒山のふもとまで入り込んでいたのです。(この湾を考古学者は河内湾と名づけています)中央に半島のように突き出ているのが大阪城のある上町台地です。

 1万年前は、阪急でいえば曽根駅、地下鉄でいえば緑地公園駅から南は海でし
た。地下鉄に乗って千里中央から梅田に向かったときの景色を思い浮かべて下さい。千里中央駅・桃山台駅・緑地公園駅まではプラットホームが地下にありますね。それが緑地公園駅を出るとすぐに大きな下り坂となり、線路は地上2~3階ぐらいの高さになります。この緑地公園駅と江坂駅の間の段差は、縄文時代に波で削られた崖(海岸段丘)のあとなのです。
 
 この時代に作られた縄文土器は、野畑・桜井谷周辺で発見されています。縄文時代の千里地区の様子については、1960年代の大規模開発により地表がごっそりと削りとられたので詳しいことはわかりません。しかし今から1万年ほど前の千里地区を縄文人が猪(いのしし)や鹿を求め移動していたことは確かです。

 私たちの町は古くから開けた地域です。古墳が並び、万葉集にも歌われ、菅原道真や織田信長もこの地に足を踏み入れました。みなさんと千里の歴史を学んでみましょう。


留守家庭児童会~自主運営のころ

2008年04月15日 | 子育て
 もうすぐ26歳になる息子が小学生のころのことです。当時市内の小学校では留守家庭児童会(○○小学校では『めだか学級』、○○小学校では『かしの木学級』)の整備が進んではおらず、夏休みなど長期の休みには閉鎖されていました。

 子どもだけを残して仕事に行くのが心配な親たちは、交代で休暇をとり留守家庭児童会を自主運営することにしました。校長先生を相手に交渉を行い学校施設の利用を許可していただきました。また夜中に親たちが集まって休暇をとれる日を出し合い、簡単な時間割を決めました。私の当番のときは『調理実習』と称して子どもたちとそうめんを作って食べたことを思い出します。

 留守家庭児童会のために一日休暇をとるのは確かに負担でした。しかし共働きの父親である私も、わが子の友だちの顔や名前も覚えることができたし、目の前で起きたケンカの仲裁を通じ親同士の連帯感も生まれたと思います。何よりも小学校低学年の子どもを何十人とお世話をされている指導員さんの苦労を知ることができました。

 今は、夏・冬・春の休みも留守家庭児童会は当たり前のように開催され、働く親にとっては随分と便利になりました。しかし留守家庭児童会の運営に関わることによって得た、家庭で見るとは違うわが子を見つめなおすチャンスを失っているようにも思えるのです。

少数力~山高きが故に貴からず 樹あるを以って貴しと為す

2008年04月10日 | 小中連携
山高きが故に貴(たっと)からず 樹(き)あるを以って貴しと為す
 平安時代に記された『実語教』の一説。山はただ高いから貴いので
 はなく、そこに樹木があるから貴いと説く。ここでいう樹とは内容
 や実質を指している。いくら外見がりっぱでも、内容が伴わなけれ
 ばすぐれているとは言えないということ。空海の作と言われるが、
 定かではない。

○○小学校離任の挨拶より

 私が○○小学校に行き、最初に子どもたちと出会ったのは入学式の準備のときでした。私が係に当たっていた体育館準備に集まったのは教員4人と6年生児童6人だけ。私はこの人数でどうやって体育館の清掃と椅子出しをするのかと考え、絶望的な気持ちになりました。私の今までの『中学校の常識』で言えば、入学式の体育館準備と言えば『2クラス80人』の生徒で行うものだったからです。

 当時の6年生は全員で26人。そのうちの20人は10人ずつに分かれて新入生2クラスの教室や校舎の清掃、新しい机の搬入などの仕事に当たっていたのです。

 ところがたった6人の子どもたちは準備が始まるや否や体育館床のモップをかけを終え、床にシートを張りめぐらせ、椅子を並べ、長机を運び、トイレ清掃を済ませました。その時間は40分足らず。私には衝撃的でした。

 ~常識がひっくり返るとは、こんなことをさすのか。小学生の力は侮(あなど)れない!~中学校で大量動員をかけて行っていた準備は、いったい何だったのか。あの中学生より非力な小学生に、こんなパワーがあったのか。私は身の引き締まる思いがしたのです。

 驚きはこの日だけではありませんでした。子どもたちは実によく働きました。広大な敷地面積にたった170人の小学生。清掃分担地区は3人や4人で1ヶ所を受け持つのが普通でした。

 この子たちは今までの5年間も、こうやって学校生活を送ってきたことが伺えました。少ないが故に、子どもたち一人ひとりが自分の役割を自覚していたのでした。「私ひとりぐらい、僕ひとりぐらいサボっても・・」という甘えは子どもの中にはなかったのです。子どもたちの中に『協力する力』が、はっきりと根付いていました。

 それだけではありません。6年間クラス替え無しで育った子どもたちは、『友達と仲良くする力』も身に付けていました。少人数であることを弱点ではなく長所に変えていました。私はそれを『少数力』と名づけました。○○小学校には、地域・家庭・学校が力を合わせ、一人ひとりの子どもの力を伸ばしていく素晴らしい教育があったのだと思います。

 今、○○小学校は児童数が321人になりました。この3年間で150人もの子どもたちが増えたことになります。増えたとはいえ、まだまだ○○小学校が小規模校であることに変わりはありません。体育館の入学式準備を6人で行った先輩たちがいたことを忘れず、みなさんの一人ひとりが『少数力』をつけて欲しいと思いました。

ある卒業生の就職活動

2008年04月09日 | 進路保障
【卒業が失業の始まり】
 「A君の家から電話がかかってきました。」春休みになろうかという頃、中学校の職員室で元担任の先生から呼び止められました。A君は、この春めでたく府立高校を卒業した生徒です。中学校卒業後も度々職員室を訪れ、高校生活の報告を行ってくれていました。

 「それが、就職先が見つからないまま卒業してしまったようなんです。」私たちは驚くとともに高校がどのような進路の取り組みを行っていたのだろうかと怪訝(けげん)に思い、校長を通じて高校側に問い合わせを行うことにしたのです。
校長よると電話で対応したのは高校の教頭先生でした。担任でないにもかかわらず教頭先生はA君の進路指導の経緯をメモも見ずに実に詳細に伝えてくれたようです。それによると高校が斡旋した就職先は2件。いずれも寮生活をしながら工場で働く会社でした。しかしA君は2度とも内定を辞退し、その後の就職斡旋はいずれも不合格となったのです。

【内定を断った理由】
 A君の家に電話すると、職業安定所でみつけた市内にあるスポーツ用品製造会社の面接に行ったと連絡を受けました。その採用が決まる春休みのある日、元担任・私の二人でA君宅に家庭訪問を行いました。面接結果は不合格でした。ご両親もそろっての話し合いの中で家族の病気のことが打ち明けられました。「家族の病気が心配なんやろ。」と言うとA君は黙ってうなずきました。家を離れることを嫌がった理由がわかったように思えました。A君は「明日も面接に行きます。」といい、今度は大阪府下にあるクッションの縫製会社を目指していました。「それが駄目ならプラスチック加工会社。」A君の意欲的な姿勢に、私たちは少しホッとしました。

【依然として続く若者の就職難】
 日本経済の上向き転換とは裏腹に、若者の雇用は改善しません。高校教員をしている友人から聞くと、これまでも何度かの転換期はあったものの2000年以降、高卒就職者に対する求人状況は崩壊ともいえる異変を起こしたといいます。製造業の求人は激減し、派遣会社など不安定な進路を選ばざるをえなくなっています。「1年間派遣で頑張れば正社員になると言われたが派遣先の会社からは無理だと言われた。」「派遣先が全国となっており、どこに回されるかわからない。」「1年間の契約社員の募集で見通しが立たない。」など、学校が責任を持って紹介できない求人が増えています。

 【岡山駅殺人事件】
 私たちがA君の就職問題でやきもきしていたそのときに起きたのが大阪の高校卒業生によるJR岡山駅での殺人事件でした。「派遣会社」に勤めるという私とは同世代のお父さんの謝罪会見には胸が押しつぶされる思いでした。またこの春小学校に入学するという被害者の娘さんの作文「お父さんがいなくなってもがんばります。」には言葉もありません。経済的な理由で大学進学への道が絶たれたことがきっかけとなったと報じられていますが、それでも私には進学断念と無差別殺人事件の間には大きな隔たりがあります。
 努力が普通に報われる、若者に、わが子に、そんな社会を残すことが私たち大人の責任ではないでしょうか。入学式に並ぶ小中学生の顔を眺めながら思いました。


ご入学・ご進級おめでとうございます!~○中校区では小中連携を進めています

2008年04月08日 | 小中連携
 ○中学校・○小学校・○小学校の3校は、2004年度より小中連携の取り組みをすすめてきました。中学校体育大会や総合学習発表会への小学生参加、小学校6年生を対象にした中学校体験授業(昨年度は国語・数学・理科・美術・社会で実施)や冬休み・春休みを利用した小学生のクラブ体験入部などがそうでした。

 教職員の間でも中学校教員の小学校への兼務を実現し、3校合同での職員研修を行い生徒指導の諸課題や高校再編・入試制度改変など子どもたちが直面する課題について考えてきました。今年度は更に小学校算数と中学校数学、小学校英語体験と中学校英語授業の連携を深め、学力保障の取り組みを一層進めるつもりです。

 さらに2006年度から校区新聞『かけはし』を○中学校・○小学校・○小学校の3校すべての保護者の皆さんにお届けしています。今年も『かけはし』で学校の様子や子どもたちの声を紹介するとともに、様々な教育問題を保護者のみなさんと考えていきたいと思います。