(「障害って、なんだろう?どんどん」 1985年発行 「障害児教育自主教材編集委員会」編より)
おばさんね、きのうゆめを見たの。とってもこわいゆめ。
なあんにもないところに、おばさんがたったひとりなの。だれもいなくなって、大きなこえを出そうとおもうんだけど、こえも出ないのね。つめたいあせが出てね、ううっていったとき目がさめたのよ。
おふとんの中から、ぐるっと見まわすと、いつものおばさんのへやなのね。ジュンも、おじさんもぐっすりねむっていたので、とってもあんしんしたの。でも、ゆめがとてもこわかったから、おばさんの心ぞうがどきどきいって、すこしの間、ねむれなかったわ。
きのう、ジュンが学校からかえってくるなり、おばさんにきくの。「ねえ、おかあさん、こころってどこにあるの?」って。おばさんびっくりしちゃってねえ。だって、そんなこと考えたことなかったもの。それでね「さあ、どこにあるのかなあ」ってジュンといっしょに考えることにしたの。
「こわかったり、びっくりすると、むねがどきどきするから、こころって、むねにあるんじゃない?」っておばさんがいうと、ジュンったら「どきどきするのは、心ぞうっていうんだよ。血がはやくながれるから、どきどきするんだよ」って、えらそうにいうの。
夜、ジュンがねむってから、おばさんね、「こころって、どこにあるのかなあ」っていろいろ考えてみたの。だから、あんなこわいゆめを見たのね、きっと。
でも、ほんとうに、こころってどこにあるのかしらねえ。どんなかたちなのかしら。よくわからないけれど、こころって、かなしくなったり、うれしくなったりするところでしょ。どうしてそうなるのかなあ。
きょねんね、おばあさんが死んだの。そう、ジュンのおとうさんのおかあさん。それで、おじさんがポロポロないてね、とてもかなしそうだった。そりゃそうでしょう、おかあさんがいなくなったんだもの。ジュンもおばさんも、そんなおじさんのかなしそうなかおを見ていたら、とてもかなしくなったわ。きっと、おじさんのこころがわかったんだとおもうのね。こころって、きもちと同じものかもしれないね。
おばさんには、ジュンやおじさんがいるから、よろこんだり、かなしくなったりできるのよね。もしだあれもそばにいなかったら、おばさんのこころって、はたらかないとおもうのね。そこの花びんにいけてある花をみて、ああきれいだなあっておもうのも、こころのはたらきね。
おばさんね、こころって、からだの中にあるんじゃなくって、おばさんとジュン、おばさんとおじさん、おばさんと花のあいだにあるとおもうのね。
おばさんのまわりにいるひとやものと、おばさんのあいだには、見えない何かがあって、それが、こころじゃないかしら。
このあいだも、ジュンといっしょにテレビを見ていたらねえ、アフリカのこどもたちが、たべものがなくって、こまっているってうつっていたの。
つぎの日ね、学校のきゅうしょくのじかんにジュン、そのアフリカのこどもたちをおもい出したんだって。きっと、ジュンとアフリカのこどもたちのあいだにも、こころがあるんだなあって、おばさんもおもったのよ。
おばさんね、きのうゆめを見たの。とってもこわいゆめ。
なあんにもないところに、おばさんがたったひとりなの。だれもいなくなって、大きなこえを出そうとおもうんだけど、こえも出ないのね。つめたいあせが出てね、ううっていったとき目がさめたのよ。
おふとんの中から、ぐるっと見まわすと、いつものおばさんのへやなのね。ジュンも、おじさんもぐっすりねむっていたので、とってもあんしんしたの。でも、ゆめがとてもこわかったから、おばさんの心ぞうがどきどきいって、すこしの間、ねむれなかったわ。
きのう、ジュンが学校からかえってくるなり、おばさんにきくの。「ねえ、おかあさん、こころってどこにあるの?」って。おばさんびっくりしちゃってねえ。だって、そんなこと考えたことなかったもの。それでね「さあ、どこにあるのかなあ」ってジュンといっしょに考えることにしたの。
「こわかったり、びっくりすると、むねがどきどきするから、こころって、むねにあるんじゃない?」っておばさんがいうと、ジュンったら「どきどきするのは、心ぞうっていうんだよ。血がはやくながれるから、どきどきするんだよ」って、えらそうにいうの。
夜、ジュンがねむってから、おばさんね、「こころって、どこにあるのかなあ」っていろいろ考えてみたの。だから、あんなこわいゆめを見たのね、きっと。
でも、ほんとうに、こころってどこにあるのかしらねえ。どんなかたちなのかしら。よくわからないけれど、こころって、かなしくなったり、うれしくなったりするところでしょ。どうしてそうなるのかなあ。
きょねんね、おばあさんが死んだの。そう、ジュンのおとうさんのおかあさん。それで、おじさんがポロポロないてね、とてもかなしそうだった。そりゃそうでしょう、おかあさんがいなくなったんだもの。ジュンもおばさんも、そんなおじさんのかなしそうなかおを見ていたら、とてもかなしくなったわ。きっと、おじさんのこころがわかったんだとおもうのね。こころって、きもちと同じものかもしれないね。
おばさんには、ジュンやおじさんがいるから、よろこんだり、かなしくなったりできるのよね。もしだあれもそばにいなかったら、おばさんのこころって、はたらかないとおもうのね。そこの花びんにいけてある花をみて、ああきれいだなあっておもうのも、こころのはたらきね。
おばさんね、こころって、からだの中にあるんじゃなくって、おばさんとジュン、おばさんとおじさん、おばさんと花のあいだにあるとおもうのね。
おばさんのまわりにいるひとやものと、おばさんのあいだには、見えない何かがあって、それが、こころじゃないかしら。
このあいだも、ジュンといっしょにテレビを見ていたらねえ、アフリカのこどもたちが、たべものがなくって、こまっているってうつっていたの。
つぎの日ね、学校のきゅうしょくのじかんにジュン、そのアフリカのこどもたちをおもい出したんだって。きっと、ジュンとアフリカのこどもたちのあいだにも、こころがあるんだなあって、おばさんもおもったのよ。