教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

転校するSさんへ

2012年03月12日 | 学校の話題
転校が決まったと聞き、新しい学校で活躍して欲しいと思うと同時に、残念で寂しく思います。

「どんな時にも公平な目で人を見ることができる子です」小学校の先生が、そう話してくれたのがSさんでした。本当にその通りの生徒でした。

しかし中学校のスタートは、大変辛い事件が続きました。クラスで何度も話し合いを持ちましたね。お父様や、お母様とも何度も相談しました。人の希望を踏みにじるような手紙に、私は心から怒りを覚えると同時に、担任としてSさんに申し訳ない思いでいっぱいでした。ある日、放課後教室の机の中を調べたときに、Sさんの机に、あなたが自分で書いた手紙が入っていました。「どうして、手紙を入れるのですか。もうやめて下さい。」手紙を読んだ私は、Sさんの悩みを思うと、胸が苦しくなりました。

でもSさんの周りには、自分のこととして共に怒ってくれる仲間がいました。ピンチの時に傍にいてくれるのが本当の仲間です。そんな仲間が自然に集まっていたのも、Sさんの人柄のおかげだと思います。

Sさんが、転校先の中学校で、今以上に充実した日々を送ることを心から祈っています。持ち前の正義感と人情深さにより、あなたが○中学校で多くの友人を得たように、新しいクラスでも、きっと素敵な仲間に囲まれていることと思います。

最後に、お父様とお母様へ。入学間もない時期の執拗な嫌がらせに対し、担任の取り組みを暖かく見守っていただきありがとうございます。

学校の指導、特に子どもたちの内面に関わる指導というものは、即効性がなく、時間と手間ひまをかけながら解決していくものだと思います。嫌がらせ手紙の差し出し主は分からないままの『解決』となってしまいましたが、心の通じる友人を得たことが、あの『事件』の『解決』になったと今では考えています。一緒に二人三脚を組んでいただき、本当にありがとうございました。

最後に皆様のご健康を祈って、お別れのご挨拶にいたします。