教育相談室 かけはし 小中連携版

ある小学校に設置された教育相談室。発行する新聞「かけはし」が、やがて小・中3校を結ぶ校区新聞に発展しました。

電話の印象②~東町中学の対応

2006年07月31日 | 学校の話題
東町中学校の小さな改革が行われたのは、2年前だったと思います。新しく来られた事務の方の電話の応対が、とても素敵だったのです。「東町中学校○○です」と必ず自身の名前を告げていました。たったそれだけのことですが、電話をかけた先方にとっては、誰に用件を伝えたのかが分かり、安心できるものになりました。私のように外から中学校に電話をかけることが多い者も、それを感じました。中学校の多くの職員も同じように考え、電話応対の仕方について職員会議の論議にもなりました。それで各職員が「東町中学校の○○です」という電話の応対をするようになったのです。

組織が変わるのは大変難しいと言われますが、東町中学校が常により良いものを取り入れ続けていける学校でありたいと思います。

電話の印象①~命の電話

2006年07月30日 | 学校の話題
『関西命の電話』という相談機関があります。自殺願望のある人から電話相談を受ける機関です。大阪府教育委員会が主催する中学校生徒指導主事研修会で、その相談員の方を講師に招き、お話を聞く機会がありました。

よく練られた話と心地よい言葉の響き、講演に引き込まれていたとき、「私たちの仕事は、相手が電話を切ってしまえば、それで終わってしまうのです。」という言葉がずしりと胸に響きました。そうなんだ、相手が電話を切ってしまえばその人の命が消えてしまうかもしれない、なんとか引き止めたい、そんな思いが電話を切らせない話し方や工夫に結びついていたのです。

最後にこんな宿題を頂いてしまいました。「私は今でも電話相談の内容をテープにとって、その内容を振り返ります。先生たちも話のプロであるという点では同じです。授業の内容を記録にとり、不正確な言葉・不適切な表現・無駄な言葉を省くとともに、声の表情を豊かにする訓練を行って下さい。」

授業をこんな視点から振り返ることも大切だと考えさせられました。
電話について考えさせられたことを3回に分け連載します。


天秤

2006年07月26日 | 短歌・詩
天秤に不幸と幸せ掛けてみる 支点をどこに定めるべきか     高専2年

亡くなった河島英五が「天秤ばかり」という歌を唄っていました。大学生になったばかりの春に、たった3畳しかない友人の下宿で聞いた歌は、衝撃的でした。支点を「金持ち」と「貧乏人」、「権力者」と「弱者」のどこに置くべきかを世に問うていました。あの時代を彷彿させる歌でした。
現代の若者の歌では、支点は自分の中に置かれています。若者たちの視点が内向きになったことの表れではないでしょうか。

ガラスに映る

2006年07月25日 | 短歌・詩
直接は見つめられない歯がゆさに ガラスに映るあなたを独占   高校3年

「現代の高校生が、こんな恋の詩を作ることができると知り、本当にホッとした。」中学校職員室での会話です。
古(いにしえ)から歌い継がれる月も富士山も、たどり着けば石ころがゴロゴロするだけで、遠くから眺めているときの美しさはありません。えっ、違います。この詩とは、まったく関係ありません。

実習の朝

2006年07月24日 | 短歌・詩
実習の朝のはじまりおはようを 笑顔で返す失語の患者    看護学校2年

数年前まで大阪府には府立の看護士養成高校=白菊高校がありました。中学生を連れての高校見学会、授業参観、卒業生の戴帽式と何度か訪問させていただきました。その際に高校の先生から様々なお話を聞く機会もありました。

看護学校では2年生で病院実習が始まります。この病院実習に行く前と行った後では、子どもたち一人ひとりの様子が全く違うことを教えていただきました。患者さんたちから看護士として頼られ、子どもたちは責任感を持ち、大きな成長を遂げるのだと思います。声を失った患者さんにも挨拶をかけることができる、声にならない声を受け止めることができる、患者さんの気持ちを大切にしようという姿勢こそが一番の医療ではないでしょうか。

男の子の自立家事を通して 田中千富美(主婦35歳)~朝日新聞投稿記事

2006年07月23日 | 子育て
この新聞記事は、「かけはし」27号(7月20日発行)に掲載した記事の参考資料としたものです。すてきなご意見だったので、皆さんにも読んでもらおうと思います。ブログの7月17日の記事とあわせ、お読みください。

夏休みを前に、男の子を持つ親として思うことがある。
夫の暴力を取り上げた本紙の社説を読んだ。暴力で「威厳」を誇示する夫たちと、依然として社会にはびこる男女不平等の根強さに、私は幻滅した。問題の夫たちは子ども時代に家事手伝いをした経験が薄いのではないだろうか。男だからという理由で勉強や好きなことのみに専念させられ、生活の場からはずされていたのではあるまいか。
生活を営むには、面倒で、時には汚く、時には危ない、しかも無償の仕事がつきものだ。実際に手を動かさずして、その大変さと重要さを知ることはない。共同生活者である家族への感謝の心、いたわりの心も育たないだろう。真に生活能力のある男性を育てることは、男の子を持つ親の責務だと思う。家事ができないということは、自分のことができないということだ。
夏休みは生活を体験する絶好の機会だ。勉強や部活動、遊びなどの以前に、生活があることを伝えたい。心の育つ時期を逸するわけにはいかない。

◆大阪府の不登校施策の考え方 平成17年8月29日

2006年07月20日 | 不登校問題
不登校施策について、不登校の児童生徒を持つ保護者の方をはじめ、府民の皆様から、「不登校半減という言葉のみが先行するのではないかという不安を感じる」、「当事者の身になってその声を十分聞いて欲しい」、「不登校の原因は本人にあるのではなく、学校の側にある場合もあるので、そちらを変えることが必要」、「地域の人による働きかけは、かえって子どもと保護者を追い詰める」などのご意見をいただきました。
 不登校につきましては、平成15年4月、文部科学省の不登校問題に関する調査研究協力者会議の「今後の不登校への対応の在り方について(報告)」の中で、「不登校が増加し続けている現状にあって、豊かな人間性や社会性、生涯学習を支える学力を身につけるなど、すべての児童生徒がそれぞれ自己実現を図り、また、社会の構成員として必要な資質・能力の育成を図るという義務教育制度の趣旨から、不登校に関する取組みの改善を図ることは、我が国社会にとって喫緊の課題であって、早急に具体的な対応策を講じ、実行する必要がある。」と述べられています。
 大阪府におきましても、公立小・中学校の不登校児童生徒数は、近年減少傾向にあるものの、なお毎年合計1万人を超えている状況が続いています。不登校の背景には、いじめや校内暴力、体罰や児童虐待など、現代社会や学校教育に対する問題提起が含まれている場合もあり、子どもが発する悩みのシグナルという受けとめも必要です。また、子どもたちが、自分の受けている様々なストレスを和らげるためやいじめから自分を守り立ち直るため休養期間が必要な場合など、学校に行かないことが一定の意味を持つこともあります。
 大阪府では、こうした子どもたちを含めた全ての子どもたちが楽しく充実した学校生活を送れるようにしたいと考えています。
 そのため、府内の全中学校でスクールカウンセラーが子どもたちの相談に応じるとともに、特に不登校児童生徒の多い学校には専任教員を配置して、学校の対応力を高めます。さらに、地域の人材も活用しながら、多面的な支援に取り組んでいこうと考えています。
 大阪府といたしましては、不登校児童生徒一人ひとりの状況をしっかり把握し、子どもや保護者の方々一人ひとりの願いやご意向を十分に受けとめ、時には、寄り添い見守り、時には積極的な働きかけを行ないながら、子どもたちが学校に復帰し、将来、精神的・経済的にも自立し、豊かな人生が送れるよう、その社会的自立に向けて支援していきたいと考えています。
(問合せ先)
大阪府教育委員会市町村教育室小中学校課生徒指導グループ
TEL:06-6941-0351(内線 3437)


薄めのカバー

2006年07月19日 | 短歌・詩
あなたのとおそろいの本読んでいる 気づいてほしい薄めのカバー   中学2年

 薄めのカバーを選んだのには、そんな深い意図があったのですね。しかし多くの男の子は、そこまで深い観察力を持っていないと思います。男の子の観察力の弱さや油断、更にはウッカリが、「些細な」もめごとに結びつきます。そして「些細な」ことの積み重ねが、後に大きなしっぺ返しとなることもあります。観察力という点において、男子は女子に大きな差をつけられていることを忘れてはいけません。(誰に言ってるのやら)

夏休みに家族の一員としての仕事分担を

2006年07月18日 | 子育て
大人に成長するきっかけを与えよう

大人になるとは、どういうことでしょうか。中学生や小学生のみなさんは、どう思うでしょうか。保護者のみなさんは、どうだったでしょうか?

私の場合は「まき割り」の仕事を任された小学5年生のとき、少し大人になった気がしました。まきをまっぷたつに割る爽快感以上に、それまでは手に触れることも禁止されていた斧という刃物を任されたことが嬉しかったのだと思います。中学2年生の冬休みは、祖父の店を手伝うため、夜明け前から福島区の中央市場で働きました。初めて手にした給料袋(給料明細書も入っていた)には、お年玉とは全然ちがう重みがありました。自分の働きぶりが社会的に認められたように思えたのです。

振り返れば、私たちの子ども時代には、手伝いを通して、大人になるためのたくさんのステップを親や社会から与えてもらっていたと思います。現代は大人になるきっかけをつかみにくい時代だといわれます。子どもが家業を支えるために働くどころか、家事を支えることも少なくなりました。大阪大学生の母親殺害事件も、テストの点数をとれても、自立のてがかりをつかむ事ができない現代の若者たちの弱さが生んだ事件だと思えます。

 次の記事は、1998年7月に朝日新聞の投書欄に載った記事です。「実際に手を動かさずして…家族への感謝の心、いたわりの心も育たないだろう。」という一節に深く納得しました。あの大学生も、家族から、何より母親から、たくさんの愛を受けていたことと思います。しかし「実際に手を動かさなければ」、家族の愛情を感じる心すら育たないのです。いつも「してもらっている」子どもの心は、感覚が麻痺します。まるで甘いものを食べた後は、舌の味覚が麻痺するように。遊びも、学習も、クラブも頑張ってほしいと思います。しかし夏休みに家族のための仕事を一つでもしてみては、どうでしょうか。

社会科「新聞」の授業を受けて 小学校5年生の感想

2006年07月16日 | 小中連携
以下は中学校の教員である私が、初めて小学生を前にして行った2ヶ月間の授業の感想を子どもたちからアンケートで聞き取ったものです。職員会議の資料として配布しました。

①以前より新聞を見るようになりましたか。
( 3)新聞を見るようになった
(12)何回か新聞を見た
(14)以前と変わらない
(  )新聞を見なくなった

②社会のできごとに興味がわきましたか。
( 7)興味がわいた
(16)少し興味がわいた
( 4)以前と変わらない
( 2)興味がなくなった

③授業の内容について聞きます。あてはまるものすべてを選んでください。
( 4)授業の内容は興味がなかった
(21)授業の中で考えることができた
( 2)授業の進め方が速すぎた
(17)もっといろんな話を聞かせてほしい
( 4)プリントの内容が分かりにくかった
(19)授業の内容は興味がもてた
(10)授業の内容は難しかった
( 2)授業の中で考えずにいることが多かった
(17)プリントの内容は分かりやすかった
( 3)授業の進め方が遅すぎた
(15)もっと写真や絵を見せてほしい
( 2)授業のときはたいくつだった
(23)授業の内容は分かりやすかった
( 4)授業の内容が聞き取りにくかった

④授業についての要望があれば書いて下さい。
・めちゃくちゃ楽しい授業にしてほしい。
・今までは社会がきらいだったけど、○○先生がわかりやすかったから社会がすきになりました。
・すごくおもしろかったです。これからも社会は○○先生に教えてもらいたいなーと思いました。
・今までどおり楽しく、おもしろく社会で学んでいきたいです。
・おもしろかったです。これからも○○先生の授業がいいです。
・授業がはやかったので、よくわかりにくかったです。
・話だけ聞いてもよくわからないのもあるので、絵や写真をどんどん見せてほしい。
・○○先生の授業になって楽しくなったのでとくにありません。


⑤授業のねらい
・社会科の授業に興味を持たせるため、新聞社の仕事について、できるだけ活き活きとした生の情報や働く人の努力・工夫を伝える。
・社会=暗記ととらえさせず、「どうなっているのか」「どうしてそうなったのか」を考える時間を与える
・社会科の授業で学んだことが、自分たちの子ども世界の中ではどうなっているのか振り返る機会を持つ。

⑥考察
・子どもたちの意見や数字については、『初物である』、馴染みのない教員に対する『思いやり=ご祝儀相場もある』ことを割り引いて考えたい。
・興味付けを大切にしたため、本来なら3時間程度の時間数で行うであろう「新聞」についての授業に、6時間ほどの時間を費やし、様々なエピソードを付け加えた。その中で「分かりやすかった」(23人)「考えることができた」(21人)「興味が持てた」(19人)の結果があり、一番の狙いは達成できたと考えたい。
・一方で「難しかった」(10人)「聞き取りにくかった」(4人)という意見もある。これは、言葉が難しかったり、話のテンポが速すぎるからではないかと思われる。今後難しい言葉は板書し言葉の説明を加える、みんながついてこられるよう大切な箇所はゆっくり説明するといった工夫をしなければならない。
・また写真や絵などを求める声も多く(15人)、視覚に訴える教材の収集に努め、子どもたちの印象に残るような工夫も必要である。

品川区大井地区小中一貫教育研究報告会参加および大崎地区日野学園建設現場見学報告

2006年07月15日 | 小中連携
1.日時 2006年2月10日(金)~2月11日(土)

2.場所 品川区立原小学校
     品川区立日野学園建設現場(現日野第二小学校)

3.指定 内閣府 『構造改革特別区域研究開発校』指定
     品川区教育委員会 研究学校

4.研究主題
  小中学校9年間を一貫とした柔軟な教育課程の研究開発
   「教養豊かで品格のある人間を育てる教育課程の編成に向けて」

5.品川区小中一貫教育取り組みの紹介
(1)品川区教育改革の概要
1998年   全小中学校での学校公開スタート
2000年   教育改革「プラン21」スタート
        小学校での学校選択制導入
2001年   中学校での学校選択制導入
2002年   文部科学省の小中連携カリキュラム研究開発校の指定
        外部評価者制度導入
        学力定着度調査導入
2003年7月 構造改革特区小中一貫教育特区認定
2006年4月 品川区全小中学校で小中一貫教育を開始
        品川区大崎地区で小中一貫校開校
2007年4月 品川区大井地区で小中一貫校開校
 
(2)品川区小中一貫教育のねらい
小・中学校間に存在する学力観や指導観、教育観の違いを是正し①子どもたちから学習上の負担を取り除くとともに②人間形成上の連続性をもたせる
特に小中学校の教職員の間に横たわる相互不信を払拭し、小中学校の文化の違いを埋めるため子どもたちの9年の成長を保障する場としての小中一貫校の開校に踏み切った

(3)品川区小中一貫教育の基本
①4-3-2のまとまりで教育課程を考える
1~4年 児童期前期 基礎・基本の定着を図る
5~7年 児童期後期 基礎・基本の徹底 
8~9年 青年期   教科・内容の選択幅拡大と個人の個性・能力を十分に伸ばす

前半の1~4年は子どもと教師の信頼関係を築くことを大切にしながら基礎・基本の徹底に重点をおいた指導を行う
後半の5~9年は教科や学習内容の選択の幅を増やしたり、一人ひとりの学習の習熟状況に応じて学ぶ「ステップアップ学習」を導入

②小学校「英語科」の開設
単なる英語活動からの脱却
・ゲームや歌などで単に英語を「聞く」「話す」活動を楽しくしていていいのか
・小学校での指導材料の基準はどこにあるのか
・教育活動として取り組むなら評価が必要ではないか
     ↓

21世紀を生き抜くため国際的共通語としての英語のコミュニケーション能力を
身につけるための小学校英語科の開設
・授業時数 1年・2年…20時間   3年~6年…35時間
・指導者  担任+ALT(外国語指導助手)・ボランティア
・指導内容 コミュニケーション場面を設定し指導計画と評価基準を設定
      区としてワークシート・カード・歌等の副教材を作成
・評価   1年~4年…所見  5年・6年…観点別所見記入

③市民科の開設
「人間らしい生き方を自覚」させ「自分自身の生きる道筋を発見するための教養」を身につけさせることを目標とする
その実現のために「社会の構成員としての役割を遂行できる資質・能力」と「確固たる自信をもち、自らを社会的に有為な存在として意識しながら生きていける」力をつけることが市民性であると考え、市民科を開設した
市民科は、今まで独自に取り組んできた「道徳」・「特別活動」・「行事」を否定するのではなく、それらを総合的に取り組むものである

・市民科の領域と身に付けさせる能力(5領域・15能力)
《自己管理領域》………自己管理・生活適応・責任遂行
《人間関係形成領域》…集団適応・自他理解・コミュニケーション 
《自治的活動領域》……自治活動・道徳実践・社会的判断行動
《文化創造領域》………文化活動・企画表現・自己修養
《将来設計領域》………社会的役割遂行・社会認識・将来志向

・授業時数
1年~4年 70時間 5年~7年 105時間 8年~9年 105~140時間
・指導内容は5領域・15能力に見合った区独自の副読本を作成
・評価は文章表記で行う

④ステップアップ学習についての説明
・意義 基礎基本の定着と優れた能力を伸ばすことを目的とする
・学習の実際
ステップアップⅠ 5年~9年 各教科の横断的な基礎基本の定着を図る
ステップアップⅡ 8年・9年 生徒の実態にあわせ必修教科の補充学習と発展学習に分かれる
ステップアップⅢ 8年・9年 生徒自身が課題を設定・追求する課題学習を実施し、特定分野の能力や学ぶ力を伸長させる
課題に関係する教科担当が指導にあたり、学習計画作成・学習・中間報告・最終報告(論文・作品・実技発表など)を行う

6.品川区教育委員会 若月秀夫教育長の挨拶
 品川区の教育改革のねらいは、教員自身の内部努力で教育が見捨てられる状況を阻止することにある。いくつかの地方で民間人校長が導入されている。そのことの是非をここで論ずるつもりはないが、品川区としては考えていない。民間の知恵に学ぶことは大切であるが、学校を変えていくのは最終的には教員の力でないとできない。
 小中一貫教育を推進する背景は、いろいろあると思う。都市部や過疎地での統廃合がきっかけになっている地域もあると思う。品川の背景は、不登校やイジメで悩む子どもの現状を変えたいという意欲の現われだ。
 教育界では中高一貫という流れもある。受験に便利なのだろうと思うが、「~に便利」という発想とは別に、小中という義務教育を高めることを品川では大切にしたい。
 市民科について一言。教科指導と道徳指導は違う。教科指導はやれば力がつく。しかし道徳の授業をやれば道徳の力がつくかといえばそうではない。品川は今までの道徳を実りのあるものに変えるために、市民科に衣替えし計画的に子どもたちの市民としての力を身につけさそうと考えている。
 みなさんのご批判により、更に品川の改革が実り多いものになることを願っている。

7.大崎地区日野学園建設現場視察
 登下校中に子どもたちが被害にあう事件が続いている。そのため新たに建設される日野学園の通学路について現場を歩きながら調査を行った。
 現日野中学は校区のほぼ中央にあり、第一日野小とは道を隔てて、校区の東端にある第二日野小からは直線距離で約1.2Km、西端にある第四日野小からは約500mの位置関係にある。
新しく建設される日野学園は東端にある日野第二小学校の校地に建てられるため、西端の第四日野小学校からは直線距離にして約1.4Km、途中に京浜急行・首都高速・JR山手線の三つの高架、の距離となる。更に、第四小学校の端にあたる西五反田4丁目周辺の子どもたちにとっては1.9Kmの通学距離となる。通学距離として妥当かどうか疑問である。
都心部の学校であるため、耕地面積は極端に狭く,半地下の温水プールと体育館の屋上が運動場になるという工夫を凝らし、狭い校地面積を立体的に使う工夫がされている。しかし、小中学生が広くはない同じ空間で生活する際の安全性確保が今後重要となると思われる。

京都市東九条地域小中合同研究発表大会報告

2006年07月14日 | 小中連携
以下の文は、上記の研究会に参加した私=教育相談員が職員会議で報告した骨子です。研究会での報告者の意図を十分に反映できていないかもしれませんが、その報告の一端をお伝えします。

1.日時 2005年11月22日(火)9時~17時

2.場所 京都市立陶化中学校  9学級 253人
     京都市立山王小学校  7学級 125人
     京都市立東和小学校 14学級 329人
     京都市立陶化小学校  7学級 192人

3.指定 内閣府 『構造改革特別区域計画認定・小中一貫教育特区』指定
     京都市教育委員会 『みやこ学校創生事業』指定

4.共通主題
自らの生き方を切り拓く子を支える東九条連携教育
    ~なりたい自分になるための東九条リンケージ 地域・人・学校~

5.取り組みの紹介
(1)2003年までの取り組み
東九条地域は京都駅の南側に位置する。産業革命期に染色工場が立ち並び1910年以降は朝鮮半島から1万人を超える労働力が流入させられた。また『オールロマンス事件』の舞台にもなり、住民の住宅改良運動が取り組まれた歴史を有する。以前から『東九条4校小中連絡会』(校長・教頭・教務・人権・生徒指導・道徳担当)が年に数回、『4校生徒指導会』が毎月もたれ、人権教育と生徒指導を軸にした連携が行われてきた。

(2)特区申請への思い
①論理的に筋道を立て考える子どもを育てるため算数・数学の基礎的力の定着、②民族学級の取り組みのうえに京都駅に隣接し国際観光都市の文化・伝統を発信できる子どもを育てる英語コミュニケーション能力③不登校問題や学習難易度の急激な変化を視野に中学校へのスムーズな移行

(3)2年間の取り組み
①算数・数学一貫事業
学力分析をふまえ「数と計算」領域を中心に9年間の学習プログラムを整え、専科制を取り入れながら小中TT授業を実施する。

②英語フロンティア事業
総合的な学習の時間を基盤に英語活動(文字は教えず3年~4年で15時間、5年で20時間)と英語科(6年35時間)を小中TT授業で行う。英語科については中学校1年1学期の内容を目標とし(アルファベット大文字・小文字の定着基本的な単語20個の発音と綴りの定着簡単な挨拶や日常会話ができる)評価・評定を行う。使用教材は『ペンマンシップ』(明治図書)『小学生の英語』(啓林館)中学1年後半は英語表現活動に重点をおき『英語表現科』を開設。小学校の英語を担当する中学校英語教員は、火曜日を小学校授業の日として固定し水曜を小学校の先生との打ち合わせ日としている。中学校内では1年英語のTT担当として位置づけられ行事が重なる場合は小学校の授業を優先している。英語科開設初年度は動機付けのため6年生全員に中1の教科書を配布した。しかしカリキュラムの前倒しの印象が強く英語嫌いの前倒しをつくりかねないと反省した。今は中1の内容を2年間でゆっくり行うことを目標としている。週に1度の授業を次回までの準備が1週間もあるというようにプラスに考え、小学校でのさまざまな活動の中に英語を取り入れてもらうよう依頼した。具体的には朝は日本語・朝鮮語・英語の挨拶、音楽では英語で歌う(カーペンターズのCDを聴き『スィング』を歌っていた)、6年の班活動名簿は英語表記にするなどを行い、英語に慣れる取り組みを行う。

③小学校選択教科開設事業
3小学校とも小規模校で保育所から12年間クラス替えがなく濃密な子ども集団が形成されている。しかし他方では環境の変化に対し弱い面もある。そのため小小連携の必要性も考えられてきた。小学校6年生で前後期計15時間を中学校での課外学習として位置づけた。開設講座は次の5講座。
音楽:英語の歌とリコーダー 美術:デザイン技法 技術:黄銅のキーホルダー
体育A:バレーボール 体育B:タグラグビー

④キャリア教育事業
今までの取り組みをキャリア教育からとらえなおす。自立した社会人として歩んでいける能力と姿勢を身につけ自己実現の喜びを発見させることを基本とする。具体的には将来設計能力をつけ生き方の方向性を考える自分で決める意思決定力情報活用能力人間関係育成能力の4つの力を目指す。そのため小中9年間の個人成長カードを作成し情報を共有する。
取組内容として友だちのキャリアに触れる(クラブ活動・委員会活動の紹介)図書や新聞切り抜きで情報伝達「よろしく先輩」中学校職業体験発表会参加職員のキャリア紹介

6.当日の内容
(1)講演会 北尾倫彦 京都女子大学教授
学校改革は評価方法の改革と連動しなければならない。子どもを伸ばす評価は、どうあるべきか一人ひとりの頑張りや良さを見出す眼力が教師に必要。机間巡視中の子どもへの発言・指示は生きた評価だ。全体として学習が到達していなくてもこれがあれば子どもの元気が出る。「求同・求異の教育」基礎学力の定着をはかる教育=求同、個性と創造性を伸ばす教育=求異の二つを学校で統一する。キャリア教育は仕事を教えることではない。

(2)公開授業 
①山王小学校 英語科(6年)中学英語教師+小学校担任のTT
What~?で始まる疑問文に的確に答える。相手の好きなもの、持ち物をたずね英語コミュニケーションをつける。
②陶化中学校 英語科(1年)中学校英語教員2名
 世界の時刻
③陶化中学校小学生選択授業(6年)中学校教員+小学校担任
 違う小学校の子どもたちとチームを作り学習活動を行うところに英語などとの違いがある。

(3)シンポジウム 小中一貫教育を考える 
【陶化中学校校長】地元の子どもの通学率は7割。私立にない地域の教育力をいかに一つにするかが公立学校の力。差別偏見を打ち破る子どもたちを育てることが大切。
小学校選択講座開設により小中連携に係わる職員が飛躍的に増え、意識変化に大きく役立った。また入学以前に小6の子どもに係わることにより生徒指導面でもプラスになる。
小中の通過儀礼は必要と思う。今やっていることは段差と残しつつ、魚道をつくるようなものだと考えている。東九条ブロックでの人事異動・交流を実現したい。
【山王小学校校長】英語という新しい教科に対する小学生の期待と不安は大きい。小6英語は、それに応えるもの。1年かけ、ゆっくり中学英語の準備をするものにしたい。小中連携で一番変わったのは職員。選択授業で小小連携ができ、中学校入学して友だちができるかの不安が大きく減った。
【田中統治筑波大学院教授】英語を軸とすることに異論はあったと思う。しかし表情・ゼスチャーなど全身を使い伝えようとする姿勢は日本語の会話では見られなかった。こういったコミュニケーションの方法論の違いは国語では身につけることが困難。小中連携でカリキュラムの前倒しを行う傾向がある。東京では学校選択の自由化と並行して進んでいる。しかし関西では地域にこだわりカリキュラムを深める方向での小中連携が進んでいるように思う。どちらが良いのか、歴史が証明する。ただ基本目標を見失わず、あれもこれもにならない取り組みが必要である。実行し、考え、再提案することが大切。キャリア教育では夢と今の自分とのギャップをどう埋めるか考えさせたい。遠回りの学習ほど学ぶものが多く、近道の学習は薄っぺらい。

保護者の声

2006年07月13日 | 読者の声
“かけはし”楽しみにしています。第1号(NO.1)を手にしたとき、思わず中学校を卒業した長女、二女に見せました。東町中の卒業式が…に始まり34期生、35期生の二十歳の同窓会…ふたりの子供たちのことでした。もちろん、いま中学校にかよう息子にもこのことは伝えました。…それからNO.18、19の教育実習生のこと。姉たちの同期生の名前がありました。その教育実習の先生に息子が授業を教わったと聞きました。色々子供の事件の記事が多い中、懐かしさと、あの子が先生にという時代の流れを感じました。世の中悪いことばかりではない、“かけはし”が東町中生の励みとなり、みんなそれぞれの道をみつけ歩んで行ってほしいと感じました。一学期間お疲れ様でした。これからも楽しみにしています。頑張って下さい。

 教育相談宛のメールで感想をいただきました。「かけはし」の記事で二十歳を過ぎた娘たちの成長を思い返し、かつて聞いた懐かしい名前が教育実習生の名前と重なる。そんな歴史を感じながらこの新聞を読んでいる方もおられることが分かりました。 
 私が東町中に赴任し、13年目を迎えました。(前任校には16年でした)長い間一つの学校に留まることが必ずしも良いことだとは思いません。しかし生徒たちを中学生としてだけ見るのではなく、卒業した後に高校生・大学生・社会人・親として再会できる喜びを味あわせていただきました。卒業生との再会の中で「人は変わる」ということを何度も体験することができました。「かけはし」紙面でも、NO6の「素敵な再会」、NO22の「もう二度と会うことがないと思っていた」という記事は、私が味わった喜びを皆さんにも伝えようとしたものです。
 これからも、子どもたちと保護者の子育てを応援する新聞を出していきたいと思います。励ましのメール、ありがとうございました。

東町中→カブトムシのプレゼント→小学校

2006年07月11日 | 学校の話題
 東町中学校の理科室では、春から腐葉土を使ってカブトムシの幼虫の飼育を続けています。7月になって、続々と成虫になったカブトムシが地面から這い出し、飼育箱の中はケンカが絶えません。それで北町小学校3年生と東町3丁目小学校の2年生に、カブトムシがもらわれて行くことになりました。           
 カブトムシたちが元気に生活でき、来年はそれぞれの小学校で新しい命が生まれることを願っています。

クラス写真

2006年07月10日 | 短歌・詩
クラス写真君との距離が遠いので 写真を折って近づけてみる   高校1年

 私が中学生の時のことです。他のクラスにいる友人から「オレのぶんもクラス写真を申し込んでくれ」と言われ、クラス写真を2枚買ったことがありました。40年近く前になります。当時の中学生にとって、気になる子の写真は、簡単に手に入るものではありませんでした。アイツは、あのクラス写真をどう使っていたのかと、この短歌で思い返しました。

 携帯で手軽に写メールという時代になっても、クラス写真は特別なものなのかもしれません。せっかくの二人の間にいる(「二人」と思っているのは「私」だけかもしれませんが)邪魔者を「消去」するため、写真を折ってみる。そーと近づけるだけで、ドキドキする。ささやかな至福の時間ではないでしょうか。