犯罪被害者の法哲学

犯罪被害・刑罰・裁判員制度・いじめ・過労死などの問題について、法哲学(主に哲学)の視点から、考えたことを書いて参ります。

三浦博史著 『あなたも今日から選挙の達人』より

2012-12-14 21:10:35 | 読書感想文

p.62~
 通勤ラッシュのときに駅頭で辻立ちをしたり、候補者が目立つ格好をし、運動員のボランティアがノボリを持って商店街を練り歩くといった運動(桃太郎)をすることも一法ですが、ドブ板選挙の中心は何といっても「個別訪問」です。候補者は、普段ベンツに乗っていても、立候補表明と同時に大衆車に乗り換えるのは常識でしょう。

p.67~
 一般的に、教育、高齢者福祉、医療問題、犯罪防止、青少年問題、環境問題など、どの陣営でも通用しそうなグローバルインタレストの政策だけを並べるというだけでは勝てません。候補者のこれまでの人生のなかで、自分が経験した仕事、スポーツ、趣味などから発想したエキスパートイシューを1つでも打ち出すことは効果的でしょう。

p.90~
 ポスター等の広報物をつくる際の重要なポイントとしてカラーがあります。私が常に勧めている「勝ちカラー」とはその人に最も合ったカラーのことで、このカラーリングは欧米の選挙では常識となっています。この手法は広告代理店やデザイナーが候補者の持つイメージ等から選ぶのではなく、世界的に多く採用されている本人の生年月日から勝ちカラーを割り出すカラーリング手法です。

p.193~
 ウグイス嬢が乗っているとウグイス嬢にマイクを任せることが多いのですが、候補者本人が乗っているときは、マイクはなるべく候補者が自ら握りましょう。たとえば、交差点の信号で止まったとき、横の赤いライトバンから人が手を振ってくれた場合、候補者がマイクを取って「赤いライトバンの中から、熱いご声援ありがとうございます。山田太郎です。頑張っています」というわけです。

p.242~
 選挙においてマスコミ的な建前では、有権者はその候補の政策から判断して投票することになっています。けれども、これはあくまでマスコミおよび有権者の建前であって、本当に政策で選ぶ人など、私は5パーセントもいないと思います。有権者が山田太郎という候補者に投票したとすれば、「対抗馬の政党が嫌い!」「山田さんって感じがいい」「駅前で山田さんが街頭演説しているところを見たから」「山田さんは近所だから」といった理由が本心でしょう。


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 18世紀の思想家ジャン=ジャック・ルソーは、「選挙民が自由なのは議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるや、否や選挙民は奴隷となり無に帰してしまう」と述べました。しかし、候補者を当選させるための戦略・戦術が高度化し、専門的な選挙プランナーの手に国民がかかっている状況下では、事態は逆になっていると思います。私自身の実感としては、議員を選挙する間のほうが奴隷であるような気分です。

 三浦氏によれば、選挙プランナーの仕事は、選挙が終わった次の日から再び始まるそうです。すなわち、次回の選挙での再選に向けて、休む暇もないということです。政治家としてのイメージアップ、支持者への後援会報やネット戦略など、プランナーの仕事は長期にわたっているようです。「国民のレベル以上の政治家は生まれない」との格言もありますが、国民が選挙の間まで奴隷となる状況では仕方がないと思います。

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