犯罪被害者の法哲学

犯罪被害・刑罰・裁判員制度・いじめ・過労死などの問題について、法哲学(主に哲学)の視点から、考えたことを書いて参ります。

4年に0.1秒

2008-08-23 11:46:32 | 実存・心理・宗教
◎ 柔道女子48キロ級・銅メダルの谷亮子選手のコメント

「5大会連続のメダル獲得。自分自身の中では全力を出し切った結果なので、うれしく思う。日本で応援してくれた人や、会場で応援してくれたファンに感謝の気持ちでいっぱい」
「4年に1度のチャンスしかない五輪に、5回連続で出場できたことを誇りに思う」

◎ 夫の谷佳知選手(巨人)のコメント

「メダルの色は違ったけれど、僕には金色に輝いて見える。これからも彼女が選んだ道を全力でサポートしたい」


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◎ 柔道女子78キロ超級・銀メダルの塚田真希選手のコメント

「負けてしまったけど、すっきりした気持ち。達成感の方が強い」
「全力で前に出て戦った。すがすがしい気持ちです」
「自分の持っているものを出し切って勝負したかった。出し切れたと思う」


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◎ レスリング女子48キロ級・銀メダルの伊調千春選手のコメント

「アテネからの4年、妹の馨と一緒に歩んできた道は最高の道だった。その道を歩んで来られたことが私の誇り。このメダルも金メダルです。頑張って来られた自分に感謝です」
「相手が本当に強かった。納得している。支えてくれたみんなに感謝の気持ちでいっぱい。4年間、馨と歩んできた道は金メダルだと自信を持って言える」

◎ 妹の伊調馨選手(63キロ級・金メダル)のコメント

「姉の千春の存在が力を貸してくれた。姉妹で金が目標だった。かなわなかったけど、この金メダル1個が自分にとっても千春にとっても最高の1個」


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◎ レスリング女子72キロ級・銀メダルの浜口京子選手のコメント

「アテネの時もうれしかったけど、北京の銅メダルはアテネよりうれしいです。北京五輪は、私の一生の宝です。ここまで来るのに、レスリングができないんじゃないかと思う時があったけど、自分を信じて続けてきてよかった。父にはメダルを首にかけてあげたい」
「母には本当に迷惑を掛けていたので、恩返ししたいと思っていた。自分を信じて続けてきてよかった。3位決定戦は、15年レスリングをやってきて最高の試合だった。悔しさはまったくない。アテネより中身が濃い銅メダル。人生の宝になると思う」


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「ママでも金」と言い続けてきた谷亮子選手。残り11秒で金メダルが逃げた塚田真希選手。「姉妹で金」が合言葉だった伊調千春選手。アテネ五輪での銅メダル以来、金メダルだけを目標にしてきた浜口京子選手。誰もが金メダルを目指して、4年間の時を過ごしてきた。そして、金メダルを獲る実力がありながら、時の運によって金メダルを逃した。しかしながら、誰もが表彰台では晴れやかな笑顔を見せていた。「この銀メダルは金メダルだ」。「銅メダルが金色に輝いている」。これは本当に満足しているわけではなく、単なる負け惜しみでもない。言葉にならない複雑な思いの詰まったコメントには、多くの含蓄がある。観客はそれを聞いて、また言葉にならない感動を覚える。

史上最多となる1大会8冠を達成した水泳のマイケル・フェルプス選手(アメリカ)は、次のようなコメントを残した。「誰も成し遂げていないことをやりたかった」。「夢を描いて頑張れば不可能なことは何もない」。「僕の夢は進行中だ」。史上初となる世界新を記録しての金メダル3冠を達成した陸上のウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)は、次のように述べた。「何だって可能だと思っているよ」。「素晴らしい気分だ。夢がかなったよ」。「もう何も言うことはない」。圧倒的な自己肯定感、全知全能感、世界を征服したかのような興奮のコメントも、オリンピックの魅力ではある。しかしながら、含蓄という点では、なぜか金メダルを逃した選手のコメントには及ばない。

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