宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

浮世博史『もう一つ上の日本史、近代~現代篇』(61)百田氏の誤り①:第二次大戦の「まやかし戦争」について、英仏に「戦争する気がなかった」と言うのは誤りだ!

2021-04-03 13:41:00 | Weblog
※浮世博史(ウキヨヒロシ)「もう一つ上の日本史、『日本国紀』読書ノート、近代~現代篇」(2020年)「大東亜戦争」の章(235-314頁)  

(61)百田氏の誤り①:第二次大戦で英仏が「本心は戦争する気がなかった」と百田氏が判断するのは、根拠がなく誤りだ!(244-245頁)
C 百田尚樹『日本国紀』は、「第二次大戦は不思議な戦争だった。イギリスとフランスはドイツに対して宣戦布告したものの(1939年9月)、実際にドイツに攻め込むことはしなかったからだ。」「8か月間、陸上での戦いはほとんどなかった。そのためイギリスでは『まやかし戦争』、フランスでは『奇妙な戦争』と呼ばれた。つまりイギリスもフランスも、建前上、ドイツに宣戦布告したものの、本心は戦争する気がなかったのだ」(百田379頁)と述べる。
C-2 百田氏の誤り①:英仏とも、「本心は戦争する気がなかった」と百田氏が判断するのは、根拠がなく誤りだ。「誤認」だ!(浮世245頁)
(ア)「まやかし戦争」と言われるのは「『西部戦線』の一時的状況」であって、「初期の状況全般」の話でない。(※ドイツは、ソ連と1939年8月独ソ不可侵条約を結び、1939/9/1ポーランドに侵攻。英仏は9/3ドイツに対し宣戦布告。他方、9/17ソ連がポーランドに侵攻。1か月でポーランドは、ドイツ軍とソ連軍に敗れ、ナチスドイツとソ連に分割占領された。)
(イ) 「宣戦布告をしても具体的な戦闘が始まらなかった」のは、イギリスの場合、「ドーバー海峡を挟んでヨーロッパ大陸と対峙していた」ことが一つの要因だ。
(イ)-2 フランスは「戦闘準備状態」に入っていたが「マジノ要塞線」を堅持し、ドイツ側の「ジークフリート戦」を挟み、「にらみ合い」の状態だった。
(ウ) イギリス首相チェンバレンは、「早期の和平実現」を開戦直後の方針とし、「経済的圧力によってドイツを疲弊させ、領土拡大がドイツの利益にならないとヒトラーに思わせる作戦」を考えていた。チェンバレンは「第一次世界大戦」のような「西ヨーロッパが主戦場となる戦争」を回避する計画を立てていた。
(エ)「ソ連がフィンランドに侵攻した」時(1939/11月-1940/3月)、英仏は「フィンランド支援の軍を派遣し、ノルウェー北端のナルヴィック港を占領し、ドイツへの鉄鉱石供給地のスウェーデンのキルナなどを攻撃する準備も進めていた」が、ソ連とフィンランドの早期講和で実現しなかった。英仏はドイツと「戦争する気でいたがそれを隠していた」。(浮世245頁)

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ベンジャミン・フランクリン『若き商人への手紙』・『富への道――プア・リチャードの教え――』(その1):「時はお金なり」!「お金は子どもを生み、殖え続けるもの」! 

2021-04-03 10:50:24 | Weblog
※ベンジャミン・フランクリン(1706-1790)『若き商人への手紙』Advice to a young Tradesman(1748年)、『富への道――プア・リチャードの教え――』The Way to Wealth(1758年)。後者は1757/7/]7リチャード・ソンダース(ベンジャミン・フランクリン)の署名がある。以上ともに、ベンジャミン・フランクリン(ハイブロー武蔵訳)『若き商人への手紙』総合法令、2004年、所収。

(1)『若き商人への手紙』:「時はお金なり」!「お金は子どもを生み、殖え続けるもの」!
『若き商人への手紙』は「あなたたちのお望みにしたがい、いくつかのヒントを書きましょう」と始まる。「時はお金なり」ということを忘れないでくださいと、ベンジャミン・フランクリンが最初に言う。そして「お金は子どもを生み、殖え続けるもの」と言う。
《感想1》「商人」の心得だ。資本主義への信頼、そして「自由の国」(民主主義の国)への信頼の下で、「お金は子どもを生み、殖え続けるもの」と、ベンジャミン・フランクリンは言う。

(2)「勤勉と節約」!
『若き商人への手紙』の最後に、彼は言う。「二つの言葉が重要です。勤勉と節約です。時間とお金を決して浪費せずに、この二つを最大限に活用してください。」
《感想2》ベンジャミン・フランクリンは「プロテスタント」だったが、同時に彼は有用性・効用(utility)を求める「功利主義」(utilitarianism)の立場だった。「事業の成功」あるいは「お金持ち」になるため、有用・効用ある生活態度が、「勤勉と節約」だった。
《感想2-2》功利主義は、総和主義とも呼ばれ、「最大多数の最大幸福」をめざす。つまり「すべての人に幸福を求める権利がある」とする点で、功利主義は、民主主義(基本的人権)を前提する。
《感想2-3》かくて功利主義者フランクリンは、民主主義・自由主義・資本主義の国アメリカの独立宣言の起草者の一人となった。

(3)『富への道』:「怠け者」になるな、「見栄」を張るな、「愚か者」になるな!
ベンジャミン・フランクリン『富への道――プア・リチャードの教え――』は、エイブラハム老人が「プア・リチャードの暦」に載る格言を紹介するという形式で書かれている。政府の「税金」が高いとの不平に対し、エイブラハム老人が諭して言う。「怠け者であることで2倍の税金、見栄を張ることで3倍の税金、愚かであることで4倍もの税金を背負わされていると言えるのです。」
《感想3》「怠け者」にならず、「見栄を張る」ことがないようにするのは、自分の努力で可能だ。これに対して「愚かである」と自分への打撃は大きく、4倍の税金を払うのと同じ位、損するのだ。「愚か」でないためには、社会(世の中)・他者を知らなければならない。日々、社会(世の中)・他者の動きについて、注意を怠らず、情報を収集し、工作し、利口に行動しなければ成功できない。

(4)「眠っているキツネには、ニワトリは捕らえられない」!
エイブラハム老人が言う。「必要以上の睡眠時間をとってはいけない」。「眠っているキツネには、ニワトリは捕らえられない」。そして「お墓に入ればたっぷりと眠れる。」
《感想4》日本なら「朝寝、朝酒、朝湯」が大好きな小原庄助さんのようでは、身上(シンショウ)を潰すということだ。確かに「お墓に入ればたっぷりと眠れる」!「死んで花実が咲くものか」と言う。生きて成功を目指すのだ!

(5)「骨を折らずに稼げることはない」!
プア・リチャードの暦には「怠け者の足はのろまで、貧乏がすぐに追いついてしまう」と書いてある。また「骨を折らずに稼げることはない」とも書かれている。
《感想5》「稼ぐに追いつく貧乏なし」と日本の諺にもある。一生懸命、努力して働けば、貧乏に追いつかれることはない!(Cf. 「貧乏暇なし」は、「貧乏なため、生活に追われっぱなし」ということ。貧乏なため、怠ける暇などないのだ。)
《感想5-2》「骨を折らずに稼げることはない」、つまりどんな仕事もキツイ!一生懸命やらないと、成功できない。Cf. 唐時代の禅僧で臨済宗の開祖、臨済義玄は「随所に主となれ」と言っている。
《感想5-3》今の日本ではブラック企業が人を使い捨てる。また、非正規雇用あるいは「日雇い」仕事ばかりで、この場合も、従業員は使い捨てされる。そして搾取される。かつて「人は石垣」と大事にされたが、今は違う。企業が社会的責任を果たさない。「怠け者」でないのに、「貧乏」に陥る。ひどい世の中だ。

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