
7時5分前に目覚ましが鳴る。
起きるのがつらい。起きたくない。
一年の疲れが澱(おり)のように身体に蓄積している。しかもこの時期、布団の中は暖かくて天国のようだ。
布団から出たくない。
しかし、起きぬわけにもいかぬ。
5分ほどぐずぐずし、意を決して布団をはぐ。
ベッドを出て、カーテンを開ける。
寝間着を脱ぎ去り、洗濯機へ放り込む。上半身裸の姿で、今日の服装を考える。
シャツやセーターをどれにしようか。それによって、下に着るTシャツも変わる。何となれば、何を着ていくかを決めないうちは、上半身は裸のままだ。
寒さに震えながら考える。しかし起き抜けの頭に、これはなかなか難しい事柄。
毎朝、パンツ一枚で震えている。
この問題を、いつか解決しないといけない。
服を身につけ、キッチンへ。
コーヒーを沸かし、トーストを焼き、ヨーグルトをよそう。
これらの作業は自動的に身体が動くので、何も迷うことはない。
あらためて外を眺めると、富士山と奥多摩の山塊のあいだに、ひときわ白い山並みが見える。
南アルプス連峰の一部だ。
信じられないことだが、東京港に面したこの高層住宅から、見ることができるのだ。
大気中の水分が極めて少ないこの時期の、ひとつの贅沢。
8時20分、出掛ける時間となる。
身体が重い。朝日がまぶしい。
来年は仕事のやり方を、もっと効率的にしようと決意する。
無意味な労働はきっぱりと断ろうと思う。
そんなことを思いつつ、今年も暮れていくのであった。