くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

骨太単独行 哀愁の奥多摩

2004-10-08 03:09:14 | 連載もの 骨太単独行
oume400 10月3日、日曜日。
 午後1時40分、東京駅発の青梅特快に乗車。青梅で乗り換えをして奥多摩駅に着いたのが4時頃。
 2時間20分という長旅だ。
(右画像:青梅には懐かしい映画看板がたくさんある)
 雨が惜しみなく降っている。予報によると今日から三日間は大雨である。見送ってくれた友人は
「なんでこんな雨のときに...」
 と呆れていた。僕としては万事繰り合わせて作った貴重な休みなのだ。天候を選べる立場ではなかった。
 ザックにしっかりとレインカバーをつけて、地図をじっくりと眺めて、いよいよ歩行開始。この瞬間はいつもワクワクする。自由への第一歩だ。
okutama.io250
どしゃぶりだよ


 今日は尾根にとりつく前のどこか平坦地にキャンプ
 明日は鷹ノ巣山登頂 同避難小屋そばでキャンプ
 明後日は雲取山登頂 同避難小屋そばでキャンプ
 ~最後は金峰山まで縦走 増富より下山 

 駅前で1.5リットル水筒に水を満たした。登山道までの車道を傘をさして歩く。郵便局前を右折するとかなりの急勾配となった。雨水がどうどうと流れてくる。歩く人、車、まったくなし。両側を杉に覆われた道は暗くて陰気だ。小さなトンネルを抜けるときには何となくぞっとした。杉林というのはどうしてこんなに陰気なのだろう。日の入りまでまだ一時間以上あるのに、木々は黒くしずもっている。こんな寂しいところでのキャンプは嫌だな。
 背中の重量は恐らく25kg。一週間分の荷物としては適正だ。しかし重い。膝がきゅうきゅう鳴っている。山道に入る前から息が上がっている。誰もいないことをいいことに思いきり荒い息を吐きながら登る。どういうわけか頭の中ではブルース・スプリングスティ-ンの『My Home Town』が延々と流れている。何故だ何故だ切ないぞ。yamamichi120
 いよいよ山道へと入ると、道の真ん中を雨水が流れている。まるで沢登りである。「固い背骨固い背骨...」と呟きながらガンバッテ登る。今回のトレールのテーマは“固い背骨を取り戻すこと”なのだ。ウォッチキャップを脱ぐと頭から湯気が立ちのぼる。ああ苦しい。一歩一歩が重すぎて、まるで月面を歩いているような気分だ。行ったことはないのだが。

つづく