「トリクルダウン」と「先富起来」の功罪について、ともに
先に一部が恩恵を得て、それが多数への恩恵へとなる
という意味でしょうが、充分に配慮する必要があります。
トリクルダウン論
Wikipediaによれば、トリクルダウン理論(trickle-down effect)とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴(したた)り落ちる」というもの。
先富論(せんぷろん)
Wikipediaによれば、先富論(せんぷろん)とは、1985年頃から小平が唱えた改革開放の基本原則を示すもので、「可能な者から先に裕福になれ。そして落伍した者を助けよ。」というもの。
先富起来(シェンフウチイライ)
また黄文雄は次のように述べています。
かつての中国は「政治掛師」(政治優先)というスローガンの下で、すべての人民が革命家、政治家であるといった時代もあった。しかし改革開放後には、「先富起来」(先に豊かになることが許される)というスローガンに変わり、10億以上の中国人は揃って「向銭看」(金銭優先)となり、すべてが総ゼニゲバになった。:P.3 黄文雄「日本人が知らない中国人の本性」徳間文庫 2007年11月5日 2版
私の見解
- 機を見るに敏なる一部の「大企業」などが政府の支援でまず好景気を享受することは、それが賢明な人たちであった場合には、望ましい方向と言えます。そうではない例も多いですね。
- その反対に、先に一部の「中小企業」が先に政府支援を受けたあと、大企業にも恩恵があることは、実現不可能ではないとしても、その数と予想される混乱対立を考えると、実際にはかなり困難な選択かと思われます。ただし例外があることは承知しております。
- 「大企業」の横暴と「中小企業」のわがままを比較すれば、とんとんでしょうが、視野の広さを考えるとき、現段階ではやや前者に望みがあると思われるのですが、100年後の社会では、これが逆転しているかも知れません。
- どちらも悪くすると、一部だけが恩恵を得て、それっきりになってしまう危険があり、この場合、多数への恩恵はありません。
- これは中国の「先富起来」の結果、まるで中国人全員が「金・カネ」と言い始め、他人を蹴落としてでも自分の利益を追求するという、もう目も当てられない悲惨な社会を迎えていることと、韓国の「大企業優先政策」が、中小企業その他を切り捨て韓国経済を大混乱に陥れた現実を、間違いなく連想させます。
とちらが正しいのでしょうか。
日本の安倍政権が選ぼうとしている方向については、気楽な評論家風の「何でも反対」ではなく、充分にチェックし、多数を背にした横暴で危険な点を是正しながら、国民を味方にしながら、協力すべきことは協力すべきでしょう。
「なんでも反対でなければならない」としたら、文字通り「何でも反対」「反対のための反対」である韓国社会と同じですね。